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公園に住民登録が認められると、公園に住みつくホームレスが増えるのか

住民登録が認められても公園に住みつくホームレスは増えない

住民登録が認められても公園に住みつくホームレスは増えません。なぜなら、住民登録が認められたとしても、これは公園にテント小屋を建てる権利を保障するものではないからです。公園のテント小屋は「運よく」築けているだけであり、住民登録が認められたとしても、公園にテント小屋を建て易くなるわけではありません。都市の中でテント小屋を建てられるスペースは限られています。そして、どんな公園でも空き地があれば建てられるというわけではないのです。

テントを建てるとはどういうことか

一般的にテント小屋があるのは、地域の広域避難所にも指定されているような大きな公園ないし、中規模の公園、そして、河川敷といった、人通りが一定途切れており、周囲から隔絶されているようなスペースです。これだけホームレスの人たちが都市に溢れている現在、テント小屋を建てられるようなスペースはほぼ先住者があると見てよいでしょう。

また、すでにテント村が築かれている公園に、1軒、2軒とテント小屋を建てられるスペースがあったとしましょう。しかし、スペースがあるからといって「それじゃあ」と住み着けるようなものではありません。ホームレスの人たちはホームレス状態にあるというだけで一枚岩というわけではなく、基本的に他人同士です。その他人同士が狭いスペースにひしめき合って暮らしているのですから、お互い日常的に距離をとり、トラブルにならないように気を遣っています。

筆者はかつて、のべ2ヶ月弱、大阪市内のとある公園のテント村で住み込み調査をしたことがあります。その時、頻繁に起こる近隣のテント住民間のトラブルと、公園生活において維持しなければならない気遣いの多さに辟易した思い出があります。

この公園には、日中、公園の外のホームレスの人たちが水やトイレを使うために出入りしていました。その中のある人は「俺もこういうところにテント建てたいと思うけどな、こういうところに入るためには誰かの紹介とかいるんや。いろいろ人間関係があるからな」というようなことを言っていました。

筆者が公園で住み込み調査が出来たのも、公園に住むホームレスの夫婦が、空き部屋を貸してくれたからです。この夫婦にしても、そもそも先住者が声をかけてくれたから小屋を建てることができたということでした。

このように、公園での住民登録が認められることが、公園に住む権利を保障するものではない以上、テント小屋を建てることの基本的な困難は変わらず、それを原因として公園のテント小屋が増えるということはありえないのです。

住民登録が認められなければホームレスが増える?

しかし、公園に住民登録が認められたからといって公園にテント小屋は増えませんが、公園に住民登録が認められなければ、ホームレスの人たちが増えるという見方は成り立つかもしれません。普段、私たちは気づかずにいますが、仮にでも住民登録された住所がなければ、基本的な社会生活を送ることが困難な社会に私たちは生きています。住所がなければ、生活の困難を一時的にフォローするための福祉制度の利用や、仕事を探して就職することも難しくなります。言うまでもなく、これらはホームレス生活を抜け出すための当たり前の手段です。この当たり前の手段を用いるための条件、つまり住所がなければ、ホームレス生活から抜け出せない人が増え続けるという結果が推測されます。