[チョムスキー・アーカイヴ日本語版]

アメリカはテロリスト国家である:チョムスキー

US a terrorist state: Chomsky

Ashraf Mumtaz
gegendenkrieg訳(メールにて提供|誤字脱字修正)

ラホール発、11月24日:アメリカの著名な学者ノーム・チョムスキー(Noam Chomsky)博士は土曜日、世界全体が関与するとアメリカの一国主義的な行動力が制限されるかもしれないからという理由で、アメリカがアフガニスタン空爆を開始する権限を国連に求めていなかったと語った。

彼は講義をし、満員になったホテルのホールで出された質問やカラチでオンライン中継を見ていた聴衆からの質問に答えた後、ロシアと中国は自国にとって利益があるので満足しているのだと語った。

何百人もの聴衆はこの学者の主張に耳を傾けるようになった。その多くは(この講義に)招待されていたわけではなく、大半が床に座らねばならなかった。チョムスキーがホールに入ってくると、聴衆は教授に盛大な喝采を送った。チョムスキー教授は、国際連携の側に立つ以外、パキスタンにはこの状況下における選択肢がほとんどないと語った。その理由の一つには、過去におけるイスラマバードの役割、とりわけCIAを支持した後、タリバンを支持したことがある。

彼は、ムスリムの世界全体がきわめて困難な状況にあると語った。彼はアラブ国家にあからさまに言及し、これらの国家はそう長くは続かないであろう石油資源で生き延びていると語った。これらの国々の資源は西洋に輸出するために枯渇しつつあり、この状況が変わらない場合は、次世代の将来は望ましいものにはならないだろう。

彼は、アメリカ人がアフガニスタン攻撃を支持したとか、この点に関する世論調査の結果が彼らの考えを反映していると述べることに同意していない。実際、アメリカ人の答えは課された質問に依拠している、と彼は語った。軍事行動が9月11日の世界貿易センタービルとペンタゴンへの攻撃の犯人に対してなされるべきか否かを問われれば、彼らの答えは肯定的なものになるだろう。しかし、罪なき人々がターゲットにされるべきか否かを問われれば、彼らの答えは全く異なったものになるだろう。質問者がアフガニスタンの「抑圧的な」体制に対するアメリカの軍事行動を支持しようとしているために、抑圧的な体制に対して攻撃をするのはアメリカではない、とチョムスキー博士は語っているのだ。彼は、インドとパキスタンの政府は「きわめて抑圧的だ」と語ったが、このことはこの二つの政府が破壊されるべきだということを意味しているのではない。

彼によれば、アメリカのシステムは世界でもっとも原理主義的であり、イランのそれよりも原理主義的である。彼は、原理主義的なシステムは民主主義においても存在し得ると語った。

このアメリカに不賛成の人物(=チョムスキー)は、質問に答えつつ、テロリズムの定義を判断の基準にすれば、アメリカ自身がテロリスト国家だと語った。

彼は、アメリカ人は政府がアフガニスタンで行っていることに対して支持していると述べることに同意していない。メディアは全体像を描写していないために、人々は根本的な状況にあまり気づいていない、と彼は語った。彼は、アメリカはアフガニスタン空爆という脅威を取り除くべきだという国連機関の要請を思い起こさせた。空爆の脅威はこの国における人道支援を妨害し、何百万人もの人々が飢餓に陥るという危険を生み出すからである。しかし、これはメディアによって無視されていると彼は嘆いた。記事を掲載する新聞は、別の話題の後でわずかに言及したにすぎない。

アフガニスタン攻撃後、別の国―イラクはその一つだが―をターゲットとするだろうというアメリカ政府の主張に対する質問の中で、チョムスキー博士は、アメリカは最初からすべての者、すべての防衛できない者をつかえまるつもりだったと言っている、と語った。

彼は、アメリカは自国の利益を損なう国々には手をつけないだろうと語っている。石油の豊富なサウジアラジアはその一例だ、と彼はつけ加えた。

彼は、オサマ・ビンラディンの主張とブッシュ大統領ないしブレア首相の主張は、両者が互いを別様に解釈しているとはいえ、ほぼ同じものだと指摘した。アフガニスタンの外へ侵略者を追い出すべく武力を用いるだろうとオサマが述べているのに対し、ブッシュとブレアはこのような人々を世界から追い出そうと意図している。

チョムスキー博士は、オサマを「本国へ送還する」のではなく「引き渡す」よう、アメリカはアフガニスタンに圧力をかけていると語った。なぜなら、オサマが本国へ送還される場合、アメリカは国連安保理の承認が必要となるからだ。

彼は、反テロ戦争が世界からテロリズムだと非難されている国によってなされているのは奇妙だと語った。アメリカの宇宙防衛構想に言及し、他国はいずれもアメリカに対抗できず、アメリカだけがその競争相手となっていると語った。

彼はアメリカのイスラエル支援に批判的で、イスラエルのヘリコプターが人々を殺害したとき、ユダヤ人国家はヘリコプターを製造できないからという理由で、これをアメリカのヘリコプターだと見なした。

チョムスキー博士は、エクバル・アーメッド(Eqbal Ahmad)博士を尊敬しているが、失敗しようとも彼の主張が揺れ動くことはないだろうと述べ、パキスタンとインドの良好な隣人関係を常に支持していると語った。彼はまた、この二つの国家の宗教的・世俗的熱狂に終止符が打たれることを望んだ。

この二つの国家の核兵器競争と抑圧のサイクルは、エクバル博士にとってもう一つの重要な関心事だとチョムスキー博士は語った。

この講義は週刊新聞『金曜タイムズ』とエクバル・アーメッド協会によって主催された。これは一連の講義の四番目であり、来年の来賓演説者はエドワード・サイード (Edward Said)教授の予定である。ペルベース・フッドボーイ(Pervaiz Hoodbhoy)博士と Najam Sethi、Jugnu Mohsinも発言した。大臣、政治家、外交官などがこの講義に参加し、この講義はカラチのホールでも中継された。



チョムスキー・アーカイヴ日本語版