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どうして生活保護をもらわないの?

確かに憲法25条の生存権を保障する生活保護法は、野宿から脱却するのに有効な法律です。しかし、長年にわたって生活保護法は適法に運用されてきませんでした。日雇労働者や野宿者に対しては「住所不定」を理由に特に差別的に運用されてきた歴史があります。

野宿者が一人で生活保護の窓口である福祉事務所に相談に行っても、「働け」「住所がなければ生活保護は申請できない」と冷たく追い返されることがほとんどでした。病気になれば病院や施設に収容され(収容主義)、一定期間保護された後、また野宿に戻ることを余儀なくされるというような扱いを受けてきました。

2003年7月31日、ようやく「居住地がないことや稼働能力があることのみをもって保護の用件にかけるものではないことに留意し、生活保護を適正に実施する」との厚生労働省通達が出されました。さまざまな支援団体の活動によって、その前後から多くの野宿者が生活保護により敷金の支給を受け、アパートでの生活を獲得することが一定できるようになったものの、その同じ年に成立した野宿者特措法により、現在では野宿者に対しては生活保護法よりもこの特措法が優先して措置される傾向にあります(稼働能力のある野宿者に対しては自立支援策の活用を前提とするなど)。

野宿者の中には「自分は若いし、身体も元気なので生活保護は受けられない」と考えている人がたくさんいます。他にも住民票がないことや借金があることを理由に生活保護は受けられないとの認識を持っている人もいます。生活保護が基本的には申請制度といって、自らこの法律による救済を申し立てることによって保護が開始されるということになっていることから、野宿者自身が生活保護をよく知り、自ら活用していく必要があります。

また、高齢であっても「自分はまだ働けるので、国や行政の世話にならず自力でがんばりたい」と言う野宿者にも多く出会います。実際に公園や路上で暮らす野宿者は、空き缶や廃品を回収するなどして自前で収入を得て生活を成り立たせているので、行政に「保護される」ということに対して強い拒否感をもつということは決して不合理な感覚ではないと思います。