はじめに読みもの実用調べもの・学習《ピックアップ》メディア連絡先More ... | テントのおっちゃんって、なんで犬や猫を飼ってるの?おっちゃんたちは、なんで犬や猫を飼うの? 大阪市内なら扇町公園や大阪城公園、長居公園といった市民の憩いの場所で、テント村さながらのテント小屋と、その周りで通勤や散歩するひとにワンワン吠え立てる犬たちに出くわすひとも多いとおもいます。 【Q 】でも紹介しましたように、「日本のホームレス」は単身の男性野宿者が圧倒的に多いです。中には、夫婦で暮らすひとや2,3人で共同生活するひともいますし、家族と離れていて、今も連絡を取り合っている野宿者もいます。でも、公園で犬やネコを飼っているひとには家族と音信不通の状態でいるひとが少なくありません。 公園でのテント生活は「自由」がありますが、その自由はその日暮らしと隣り合わせの自由です。テントを潰されれば彼ら?野宿者はたちまち明日の寝床と食料に事欠きます(また、公園に住むテント住人の多くが違法占拠であることを自覚しています。違法占拠の負い目を持っていない野宿者も私たちが想像しているよりはずっと少ないと言えます)。 テントを立てるのは寝床と缶集めしたときにその商品を置く場所が必要だからであって、実際のところテント暮らしには何の保証もありません。住人が仕事などでテントを離れていると盗難に遭うことはままありますが、大事な商品や商売道具が奪われても、公園に住んでいるのが違法である以上、盗難届も出しようがないし泣き寝入りするしかありません。その日暮らしは過酷さと隣り合わせの自由なのです。 そういった野宿しているおじさんたちの多くが、犬やネコを可愛がっているのは、犬は番犬になるとか、知り合いに頼まれてネコをもらうことになったとか事情は千差万別ですが、あえて言いきると、みんな家族代わりにそばにおいているのだと思います。テント生活している人の中には人づきあいの苦手なひとも少なくありませんが、犬や猫を飼うことで、孤独から癒されているのかもしれません。 中には放し飼いをして、公園を利用する人に迷惑をかけているおじさんもいるでしょう。しかし、私の知っているおじさんは、「市民」がわざわざ車で公園に乗り付けて捨てていった犬もいっしょに飼っているとのことでした。そのひとは7?8頭の犬の世話をしています。私がいちばん驚いたのは、30頭あまりの犬を夫婦で世話しているひとです。こうなると、もうエサ代を稼ぐために働いているとしか思えませんね。 犬・ネコ問題は私たちが想像するよりはるかに深刻です。というのは、もうテント暮らしも身体がついていかないし先も見えないからできれば福祉を受けたいと思い、そういう条件がかなうような場合でも、犬がアパートで飼えないという理由で二の足を踏むのです。居宅保護の受給範囲内で移れるアパートは、基本的に犬猫は禁止されています。また、同じ理由でシェルターや自立支援センターも犬やネコを大事にしている野宿のひとから見れば、きびしい入所条件になっています。 大阪では3つのシェルター(一時避難所:大阪の場合は、「公園適正化」のために立てられた期限付きの宿泊施設。)がありました。今も機能しているのは大阪城公園のシェルターのみですが、ここはこれまでのシェルターとちがって、犬猫もいっしょに入所できます。犬小屋も提供してくれて、動物病院での避妊手術もしてくれているそうです。これは、行政側が用意した箱物としては、特筆すべきことだと思っています。 |