はじめに読みもの実用調べもの・学習《ピックアップ》メディア連絡先More ... | ホームレスって、なんでおっちゃんばっかりなの(男性なの?)?確かに目にするホームレスのほとんどは男性です。こうしたジェンダーの偏りが生み出されるのには、複数の理由が考えられます。 第一に、仕事と住むところを失ったとき、女性の場合には、それでも働けるような住み込みや寮の完備された職(旅館の接客係や水商売など)が多いことがあげられます。第二に、男性と比べて女性は福祉制度を利用しやすいということがあります。一般的に、女性が生計を立てていけるだけ稼げる仕事は男性と比べて少ないため、生活保護をはじめとする福祉制度を利用する道が、男性の場合よりも開かれているのです。第三に、男性と比べて女性は、生活に困ったときに親族の世話になりやすいということがあります。離婚した後、女性が実家に帰るということは少なくありません。他には、路上生活をしていくことは女性にとって大変なため、女性は何としてでもホームレスになるのを避けようとするとも言われています。 しかし数は少ないですが、女性のホームレスもいます。2003年の厚生労働省による全国調査では、ホームレスのうち3%が女性でした。男性が圧倒的に多い中で、ホームレスの女性たちは暴力の危険に怯えながら暮らしています。そのため、少しでも危険を避けようと男装したり身を隠している人もいて、実際の女性の割合は3%より多いことが考えられます。 欧米諸国でも、1970年代までは、ホームレスのほとんどは男性でした。しかしその後、ホームレスに占める女性の割合は少しずつ増えはじめ、現在では3割前後が女性になっています。このことから、ホームレスの数の男女差には、女性の自立度が大きく関わっていると考えられます。日本では男女の経済的格差が大きく、また社会福祉・社会保障の制度、人々の意識がまだまだ家族を標準的なものとしているため、そもそも女性が家を出るという選択をすること自体、非常にハードルが高いのです。しかし最近では、日本でも少しずつ女性のホームレスが増加してきており、今後欧米の状況に近づいていくのではないかという予測もあります。 |