はじめに読みもの実用調べもの・学習《ピックアップ》メディア連絡先More ... | 大阪市が長居公園のホームレス強制撤去(日刊スポーツ)大阪市は5日、今夏の世界陸上の会場となる長居公園(大阪市東住吉区)のホームレスのテントや小屋を行政代執行法に基づき強制撤去した。対象となったホームレスは9人。その中の1人、藤田則義さん(56)は昨年1月の大阪城公園に続き、2度目の強制撤去を経験した。リュックに家財道具を詰め込んだ藤田さんは「話し合いの場すらなかった。行政には世話にならん」と大阪市への怒りをぶつける。一方で「今夜どこで寝たらええねん」と不安も漏らした。 午前9時。大阪市側の強制撤去作業が始まると、藤田さんは仮設舞台で仲間と寸劇を演じた。強制撤去を風刺したストーリー。藤田さんは失職した元サラリーマン役で、市に対し、芝居を通じて“最後の抵抗”を見せた。舞台の後方では、藤田さんが約10カ月暮らしたブルーテントを大阪市職員がはがしていた。愛用した食器なども次々に運び出された。 (写真)テントや小屋の強制撤去をめぐり、ホームレスや支援者ともみ合う市職員ら(共同) 「何も好きこのんで公園にいるんやない。生きていくにはテントが必要なのに…」。藤田さんは中学卒業と同時に、広島から集団就職で関西へ。兵庫県尼崎市のガラス工場で職人として働いた。その後、大阪府内の鉄工所に転職したが倒産。20代後半から大阪市西成区の簡易宿舎に住み、日雇い労働者として働いた。しかし、バブル崩壊とともに仕事を失い、約9年前からホームレスになった。 昨年1月までは大阪城公園で野宿していたが、大阪市にテントを撤去され、長居公園に移った。今回が2度目の強制撤去だ。「この前は身の回りのものを全部持っていかれた。今回は支援者に手伝ってもらい、必要最低限のものは持ち出せた」。しかし、心の内は不安だらけ。「今夜どこで寝たらええねん」とリュックを見ながらつぶやいた。 現在、清掃作業や警備員として働き、月収は約2万円。アパートを借りる余裕はない。大阪市はどこかに住む場所を決めたうえで生活保護を申請するよう勧めるが「元気なうちは自分で稼いで暮らしたい」と受けるつもりはない。3食付きの自立支援センター入所という選択肢もあるが「行政の世話にはならん」と頑なに拒む。大阪市内には自立支援センターが5カ所あるものの、藤田さんは「長くても6カ月で出なければいけない。それに職業訓練を中心とした集団生活は自分には合わない」と、やるせない思いをぶちまけた。「とにかく、今夜の寝るところを見つけなあかん」。 [2007年2月6日9時14分 紙面から] http://osaka.nikkansports.com/news/p-on-tp6-20070206-152494.html |