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強制撤去 長居公園の野宿者テントなど 大阪市(毎日新聞)

2月5日17時10分配信 毎日新聞

(写真)行政代執行により野宿者のテントや小屋を撤去する市職員ら=大阪市東住吉区の長居公園で5日午前10時、幾島健太郎撮影

 大阪市は5日午前、長居公園(東住吉区)に野宿者が設置したテントなど13物件について、行政代執行法に基づく強制撤去に着手した。職員約260人や民間警備員、作業員ら計550人を動員。現場では最後まで残った9人の野宿者や支援者ら百数十人が撤去に抵抗してもみ合いになり、騒然とした。市は同日中に撤去を終えたいとしている。

 同公園では今年8月、世界陸上大阪大会を開催予定で、市は街灯工事など公園整備を理由に挙げている。市は、昨年1月にも、イベントに伴う整備を理由に、大阪城公園(中央区)と靱(うつぼ)公園(西区)で同様の強制撤去を行っている。

 長居公園では、昨年10月から撤去の勧告を始め、市の施設への入居などを勧めてきた。市によると、10月時点で、野宿者24人、テントと小屋計28物件があったが、この日までに15人が生活保護を受けてアパート生活に移行したり、入院するなどの措置を受けた。残った人は「ここで空き缶集めなどをして定住自立している」「施設は自由がなく、入っても一定期間で放り出される」などと主張し、撤去に応じなかった。

 この日は午前8時から、市の職員らが公園南西部に位置するテント密集地の周囲にバリケードを設置。同9時に「不法占用物件の除却を行います」などとする「代執行宣言」を読み上げ、撤去を開始した。野宿者たちは支援者らとともに「人間の鎖」をつくるなどして抵抗した。

 市の動きに対しては、同公園でまつりイベントを開催する地元NPO「長居公園元気ネット」が「緊急性があるとは思えない」と市議会に中止を陳情したり、関西の若手研究者有志約250人が「自立支援の充実をすべき時期なのに強制撤去するのは強権的」と反対声明を出していた。

 厚生労働省が03年に行った調査では、全国の野宿者数は約2万5300人で、大阪市内は4分の1にあたる最多の約6600人。現在は、約5000人に減っているが、公園でテントや小屋で生活する人は、500〜600人と推定されている。【井上直樹、犬飼直幸】

最終更新:2月5日17時10分

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070205-00000015-maip-soci