はじめに読みもの実用調べもの・学習《ピックアップ》メディア連絡先More ... | 8月の世界陸上に照準?大阪市、テント強制撤去 長居公園(サンスポ)大阪市は5日午前、照明灯新設と通路整備工事を理由に、長居公園(東住吉区)のホームレスのテントや小屋を、行政代執行法に基づき強制撤去した。 直接の対象となったのはホームレス9人の13物件。これに対し支援者を含め約200人が現場で抗議運動。このうち約100人が作業区域内に入り込むなどしたため、作業はたびたび中断したが、正午すぎまでに、市職員がすべてのホームレスを区域外に排除、「終了宣言」をした。 重傷者や逮捕者はなかった。ホームレスの男性は「別の公園に移ろうと思う。大阪市へのささやかな抵抗は続けたい」と話した。 工事区域の「私物」について、市は昨年11月以降に2回にわたり撤去を勧告し、ことし1月には都市公園法に基づき撤去を命じた。 しかし一部のホームレスは「市は代替地を示しておらず、対策が不十分」と反発。撤去に応じなかったため1月29日、強制撤去の最後通告となる「代執行令書」をホームレスに交付し、5日の強制撤去を予告していた。 公園内の長居陸上競技場では8月に世界陸上選手権を開催。ホームレスと支援団体は「世界陸上に合わせた強制排除だ」と主張しており、強制撤去に反対する約5000人分の署名を関淳一市長に提出している。 ★ホームレスは減少傾向 景気頼み、行政に限界 ホームレスは全国的に減少傾向にある。大阪市でも1998年8月の約8700人が、今年1月には5000人を割ったとみられている。公園や路上のテントなども2000年の約3800件から、06年は約1200件に減った。 ただ、景気回復によるところが大きく、行政の対応は財政的制約もあり抜本的解決は難しいのが現実だ。大阪市は昨年も2カ所で強制撤去を実施したが、場当たり的な印象は否めず、ホームレス側が不信感を強める要因にもなっている。 市ホームレス自立支援課によると、現在の対策は就労支援と生活保護が柱。自立支援センターを開設してホームレスに住居を提供、6カ月以内に定職に就いてアパートなどへ転居する「就労退所」を目指している。 しかし、2000年以降の入所者約3400人のうち「就労退所」は約1400人止まり。生活保護の受給者はこの10年で2倍以上に増加し財政を圧迫している。 同課は「行政の施設に入ることを拒む人も少なくない。個別の事情に応じた多様な対応が必要だ」と話すなど、試行錯誤が続いている。 |