物事をやる正しい方法は, 人々にあなたの正しさを説得しようとするのではなく, 自分で考える気を起こさせることです.
人々がそうするのを励ますことです.
わたしの言うことが真実だと信じてはいけない. 脚注はそこにあります. だからそうしようと思えば自分で見ることができます.
Noam Chomsky with David Barsamian "Propaganda and the Public Mind" 邦訳, p.212
以下は, Noam Chomsky + Edward S. Herman "After the Cataclysm: Postwar Indochina & The Reconstruction of Imperialist Ideology" (The Political Economy of Human Rights: Volume II; South End Press, Boston, 1979) の第六章「カンボジア」につけられた脚注の翻訳である. 少しずつ翻訳を進める. 本文はこちらで山形浩生さんが翻訳してくださっている. 本章は, 約 160ページの本文に対して, 427個の脚注が, 巻末に 40ページほどつけられており, それぞれの資料・情報源, それにコメントが含まれる. 本章は, 当時おもに合衆国メディアにおいて, カンボジアの惨状が, 冷静な検証もなされないまま, 捏造や歪曲にもとづいて熱狂的に報道されたことで, 結果的にどのような事実が聴衆の目から隠蔽され, それがどのように機能したかを論じたものである. 本章もまた, 文脈を無視した語句の抽出などによって歪曲や捏造の素材とされ, チョムスキーをポルポト擁護の罪で攻撃するために利用される. このことによって, 著者たちが本書全体を通じて明らかにしようとしたことが, 再び隠蔽されることに注意する必要がある.
以下, 本文の山形訳にしたがってファイルを分ける. 小見出しも山形訳による. 便宜上, 脚注目次では本文へのリンクも併記する.
脚注のなかで, 適宜 片仮名表記などを補足する. 補足部分は [, ] で括る. 原注はとりあえず [原注:, ] と表記して区別する.
脚注箇所を明示するため, 今後, 本文訳者の許可を得てファイルをコピーさせていただく.
山形浩生さんは "After the Cataclysm" を読んだうえで「数百万殺した、というのに対して数千しか殺していない、と主張するのは、実質的に虐殺はなかった、というに等しい議論」で「ポルポト擁護のひどい本だ」といいました. そこで, 私信にてその箇所を問い合わせたところ, この第六章「カンボジア」本文の翻訳をはじめてくださいました. と同時に, 「その文章が全体として与える印象は、明らかにポルポト擁護になっている」という説明があり, 「深く読み過ぎているからこそ、それが見えにくいのです」との指摘をいただきました. この指摘には納得していませんが, 翻訳してくださるのはたいへんありがたいことです.
なお, 背景を知るためには カンボジアと東チモール, 流言蜚語とくに古森義久のウソ, ハーマン「ポルポトとキッシンジャー」とその訳注, さらに英語では Michael Albert "The Cambodia Controversy", Noam Chomsky "on Cambodia under Pol Pot, etc.", "more on Atrocities in Cambodia" などを参照して下さい.