団体交渉とは、直接対面して交渉することですので、ビショップ社が書面の交換による交渉に固執し直接交渉に応じないことは不当労働行為です(普連土学園事件・中労委命令昭60.5,8労経速1227号、奈良学園事件奈良地裁判決平2.4.25労判567号、清和電器事件・最高裁判決平5.4.6労判632号)。ビショップ社が団交要求についての文書説明を要求しその文書が出ていないことを理由に団交拒否しているのも不当労働行為です。交渉日程を3ヶ月以上具体的に決めないのも誠実交渉義務違反です。
博多南郵便局事件判決では、「団交開催に必要な予備折衝の開催は適法」とされていますが、ビショップ社がこだわっている点は、「団交開催に必要な予備折衝」というものではありません。予備折衝さえしようとしていないのですから、博多南郵便局事件判決を持ってくるのはお門違いです。ビショップ社が行っているのは、同判決の名を借りた団交拒否に過ぎません。実際、会社に行った時も、予備折衝をしようという姿勢ではなく、「ここでは話しあわない」と明言しました。また8月16日に、平行線状態になっているので、前向きな解決を探るために組合側の一人と会社側一人の二人で予備折衝を行いましょうと提案しても、「会わない。文書を出せ」の一点張りでした。
予備折衝とは、電話で調整したり、担当者だけで団交の前提の具体的論点の調整などをすることです。しかしビショップ社は、今までのところ、一切団交開催に向けての具体的な折衝にも応じず、ただ文書のやりとりだけをすると限定し、来社/来店するなと言い、社労士の連絡先も教えるよう要求しても応じず、会社の団交申し入れに行った時にも予備折衝することを拒否しました(注)。総合的に見て団交拒否の態度を貫いているといわざるをえません。
(注)5月29日会社回答書で「貴組合からの電話や面談の申し入れについては、当社就業時間内外、当社施設内外であると問わず、当面一切お断りいたします」とされ、また、6月8日の会社の回答書で「当社受付や当社店頭においては正確さ慎重さを期することはできない」などと述べています。
そして団交申し入れ書を持って行った6月29日の後には、内容証明郵便で「貴組合の独自の見解を展開され、突然来社し、退去に応じない等の行為は、今後一切控えていただくよう、本書をもって厳重に講義を申し入れる。」と書いて送ってきました。さらに、私たちのブログ記事を削除するように管理会社に要求する文面では、私たちの組合に対して「嫌がらせの連続で、まっとうな人間がやる行為ではありません」とひどいことを述べています。
こうしたビショップ社の態度は、「使用者は自己の主張を相手方が理解し、納得することを目指して、誠意を持って団体交渉に当たらなければならず、労働組合の要求や主張に対する回答や自己の主張の根拠を具体的に説明したり、必要な資料を提示するなどして、そうした誠実な対応を通して合意達成の可能性を模索する義務がある」という労使関係の常識に反しています。
その姿勢は、当労組が運営するブログ記事削除要請の説明文書(9月○日ブログ記事参照)においてビショップ社が述べている内容にも明白です。
そこには、私たちが粘り強く団交開催を求めていることに対して正しく理解するどころか、感情的かつ大きな不信感が見られます。ビショップ社の文面からは、本音では、まっとうな会社が組合から嫌がらせをされており、組合は他人を傷つける反社会的行為をしているところだと被害感情を持っている様子が伺えます。組合のやっている活動をまっとうな人間のすることではないとまで言っています。
これはまさに認識のゆがみであり、解雇をした(しかも組合側が不当解雇といい、パワハラもあったと主張しているような案件としての解雇)という会社の責任を顧みず、自分たちの団交拒否という態度の誤りを認めずに、あくまで被害者だと主観的に感じているという様子がうかがえます。組合嫌悪の感情を持っているように感じます。
そんな感情を持っているビショップ社だからこそ、私たちの団交要求に応じずに、なんとか団交を避けようとする気持ちを持っているのだろうということが少しわかりました。しかし、これは繰り返しますが、A組合員を一方的に解雇した会社が言うことではなく、自分たちが解雇しておきながら自分たちを被害者と思う本末転倒した認識であり、団交に応じる義務があるという法律の主旨を理解されていない誤った態度です。
ブログ記事削除願いの文章において、まるで当労組側が無理を押し通そうとしているいかがわしい組織であるかのようなことを書かれていますが、とんでもない事実誤認です。A組合員の元上司や同僚がこころを痛めているということですが、A組合員もこの間の会社の対応で大きく傷つけられています。A氏、元上司や同僚の方々のためにも、団体交渉を速やかに開催し、円満解決に向けて実質的な話し合いがなされることを望みます。そうすればこのような入口での無駄な時間の積み重ね、ブログ記事をめぐったやり取りも必要なくなります。
ビショップ社には、ぜひ、話のわかる弁護士(労働問題に詳しい方)に、この間のやり取りの全資料を見せて、当労組の主張していることがそんなにおかしなことなのか冷静に判断してくださることをお願いしたいと思います。A組合員の尊厳と人権を守るためにも、またビショップ社の名誉、利益を守るためにも、会社に不利になるような主張を繰り返すのでなく、誠実に団交に応じ、その場で解決に向けて話し合っていかれることを強く求めます。
続く
ビショップ社の解雇問題について(続報)(その2)
コメントを残す