学校法人立命館は2月13日の団体交渉で「労基署の指導は衣笠と朱雀の問題だ」「就業規則は関係ない」など、問題意識の低い発言を繰り返したので、2月22日、大津労働基準監督署にびわこ・くさつキャンパスを労基法違反で申告しました。
立命館は早く違反な手続きで行った就業規則を撤回して、労働契約法脱法をやめるべきです。
今回、勝手に「授業担当講師」にされ雇い止めを告知された方の思いをぜひ読んで下さい。
「2017年秋に「来年度は授業をお願いできなくなりました」という通知を電話で受けました。この瞬間に2018年度に「5年契約更新付き雇止め」をされることが確実になりました。その時は「そういうものなのかな」と思い、なんとなく納得してしまいました。問題の本質がよく分かっていなかったからです。「テニュア・トラックではない、いわゆる“非常勤講師”の場合は、大学によっては5年以上連続して働くことはできない」という話をどこからか聞いていたので、そのあやふやな前提知識が作用したのかもしれません。この時は、「立命館大学で教えられなくなり残念だ」という思いと、「収入が減る分を何かで補わないと生活に支障をきたす、本当に困った。何とかしなければ」という思いの二つが入り混じった思いでした。
しかし、後から、①「5年契約更新付き雇止め」そのものが労働者の働く権利を損なう非常に不当な制度であること ②立命館大学は違法になりにくいように5年で雇止めをできることを可能にした「授業担当講師」を導入していること ②関西では、同志社大学などは「5年契約更新付き雇止め」制度を取りやめているにもかかわらず、立命館大学は継続していることなどを知り大変驚きました。
また、私の職位に関して、「非常勤講師」(勤務年数の制限なし)から「授業担当講師」(勤務の上限5年)にいつの間に切り替わっていたことも後から書類を見直してみて初めて分かりました。さらに、法人側は「2017年度をもって授業担当講師を5年務めた」というように、どう考えてもおかしい解釈(遡及的解釈?)をし、それによって私は2017年3月をもって契約更新が不可能となってしまったことも後から分かりました。
もちろん、「非常勤講師」から「授業担当講師」への切り替えについて明確な通知と説明は一切ありませんでしたし、なぜ2017年3月をもって契約更新が不可能となるのかについても説明はありませんでした。本人への明確な説明なしにこのようなことを行うということは、手続き的にも倫理的にも許されないと思います。
法人側の責任者は、この件について説明責任を果たし、実際に「被害」を受けた人への謝罪および原状復帰措置をし、再発防止のための具体的な方法を提示すべきだと思います。」
今回、勝手に「授業担当講師」にされ雇い止めを告知された方の思いをぜひ読んで下さい。
「私が雇い止めを通告されたのは、2017年11月頃だった。電話一本で来年度は講義できないと言われた。電話は教授からのものだった。
あまりにも突然で早口だったので、聞き取れたのは「〇講師で〇年が過ぎたので(これが「授業担当」、「5」年であることは後でわかった)来年一年は講義できない」ということだけだった。
最初は実感がなかったが、時間が経つにつれ、頭は「??」でいっぱいになった。「授業担当講師」ってまったくの初耳。5年とはいつからのどのように計算されたのか。自覚がなかったので、これまですべての書類に「立命館大学文学部非常勤講師」と書いてきたのに、不本意なことに公/私文書偽造になるのではないか。雇用が不安定な講師にとって 講義一コマは生計に直結するのに、年末に差しかかったときの連絡とは何なのだろうか。そもそも授業担当講師という制度は専門職であるはずの大学講師の雇用制度として適切なのか、などである。
とくに外国人講師の場合、所属と職位は滞在資格と期間を法務省から「与えてもらう」ために最も大事な事項である。だから私にとって今回の問題は日本にいられるかどうかの問題にも関わり、さらに深刻なのである。
韓国では、孫請け会社に間接雇用され、電話一本で解雇を知らされる非正規職労働者がいる。私は彼らの悲哀と怒りに近いものを感じた。
電話で通告があった直後の授業で、ある学生から、「先生の授業っておもしろいから来年も取りたいのですが、どんな授業を担当されますか?」と聞かれた。とても嬉しかったが返す言葉が 見つからなかった。そして改めて思い知らされた。私は学生との大事なきずなを守り続けることすら許されていない「授業担当講師」なんだと。」
この間の動きとして、
この間の立命館大学の動きに関連するブログ記事をまとめてみました。
・2015年9月25日 立命館大学衣笠キャンパス労働者代表に対する公開質問状
http://rootless.org/botiboti/blog/blog-entry-1417
・2015年10月8日 【報告】立命館大学との団体交渉
http://rootless.org/botiboti/blog/blog-entry-1418
・2016年2月22日 立命館大学に公開質問状を出しました。(労働者代表の違法性に関する質問)
http://rootless.org/botiboti/blog/blog-entry-1936
・2016年3月7日 立命館大学より回答が来ました。(労働者代表の違法性に関する回答)
http://rootless.org/botiboti/blog/blog-entry-1957
・2016年4月18日 確認書及び質問状
http://rootless.org/botiboti/blog/blog-entry-2010
・2016年5月18日 立命館大学(2016年4月28日)の回答とぼちぼちの見解
http://rootless.org/botiboti/blog/blog-entry-2044
・2016年10月4日 確認書及び要望書
http://rootless.org/botiboti/blog/blog-entry-2175
・2016年12月8日 立命館大学(11月4日付)回答に対する反論
http://rootless.org/botiboti/blog/blog-entry-2223
・2017年7月7日 立命館大学労働者代表選挙・立候補者への公開質問および回答
http://rootless.org/botiboti/blog/blog-entry-2316
・2018年1月7日 立命館大学は「授業担当講師」制度を撤廃しろ!
http://rootless.org/botiboti/blog/blog-entry-2381
・2018年1月30日 立命館大学が労基法違反で指導を受けました。
http://rootless.org/botiboti/blog/blog-entry-2402
・2018年2月1日 立命館大学の労基法違反に抗議するビラ配布!
http://rootless.org/botiboti/blog/blog-entry-2404
・2018年2月3日 立命館大学の労基法違反に抗議するビラくばり・第2弾
http://rootless.org/botiboti/blog/blog-entry-2411
・2018年2月3日 立命館大学の労基法違反が記事に(『京都新聞』)
http://rootless.org/botiboti/blog/blog-entry-2416
・2018年2月3日 立命館大学の労基法違反が記事に(『赤旗』)
http://rootless.org/botiboti/blog/blog-entry-2429
・2018年2月8日 立命館大学の雇用問題の解説
http://rootless.org/botiboti/blog/blog-entry-2487
・2018年2月8日 立命館大学の労基法違反に抗議するビラくばり・第3弾
http://rootless.org/botiboti/blog/blog-entry-2489
・2018年2月9日 立命館大学の雇用問題のスライド
http://rootless.org/botiboti/blog/blog-entry-2465
・2018年2月9日 立命館大学との団体交渉のお知らせ(2月13日)
http://rootless.org/botiboti/blog/blog-entry-2499
・2018年2月16日 立命館大学を刑事告発・記事になりました(京都新聞)
http://rootless.org/botiboti/blog/blog-entry-2547
・2018年2月16日 立命館大学を刑事告発・記事になりました(毎日新聞)
http://rootless.org/botiboti/blog/blog-entry-2550
・2018年2月16日 学校法人立命館との団体交渉・記事になりました(赤旗)
http://rootless.org/botiboti/blog/blog-entry-2555
「立命大 雇い止め撤回/労組に回答 非常勤講師7名に」(『赤旗』2018年2月14日)
立命館大学(京都市)は13日、労働組合との団体交渉で、非常勤講師7人の3月末での雇い止め通告を撤回しました。
団体交渉は、関西圏大学非常勤講師組合とユニオンぼちぼちが行い、立命館大学教職員組合がオブザーバー参加。非常勤講師の5年雇い止め制度を撤廃して無期雇用への転換をはかること、今年度末の雇い止めを撤回することを求めました。
大学当局は、雇い止め通告を受けている非常勤講師については、雇用を継続させるか金銭的補償を行うとしていました。5年雇い止め制度は、その場で撤廃するとは言いませんでしたが、撤廃も含めて検討するとしました。
立命館は1月30日、5年雇い止め制度を就業規則に導入するにあたって、意見聴取に必要な労働者代表選出に不備があったとして、労働基準監督署から是正勧告を受けていました。
「労働基準法違反「契約年限無効」 非常勤講師ら、立命館大告発へ /京都」
(毎日新聞2月16日〔京都版〕)
http://mainichi.jp/articles/20180216/ddl/k26/040/516000c
立命館大の非常勤講師ら3人が15日、一部の非常勤講師の契約更新に5年の上限を設けた際、正式な手続きを経なかったとして、吉田美喜夫学長らを労働基準法違反の疑いで京都上労働基準監督署に刑事告発すると発表した。講師らによると、上限があるため少なくとも4人が3月末で雇い止めとなるという。講師らは変更された就業規則の無効を訴えている。
立命館大は2016年4月に有期雇用の「授業担当講師」制度を設け、契約更新の上限を5年とした。労基法は就業規則変更の際、労働者の過半数の代表者に意見を聞くことを定めているが、制度を設けた際の労働者代表選挙の投票率は過半数に満たなかったため、変更は無効としている。告発する講師らは「改正労働契約法で定められた5年を超えた有期雇用契約者の無期転換権を、脱法化する制度だ」と撤廃を求めている。
立命館大は「告発の内容を把握していないのでコメントは差し控えたい」としている。【野口由紀】
「雇い止めで立命館トップを刑事告発へ 大学非常勤講師ら」(『京都新聞』2月16日)
http://www.kyoto-np.co.jp/education/article/20180215000178
学校法人立命館が非常勤講師と5年を超えて契約の更新を行わないとした就業規則は、労働者過半数の代表の意見を聴かずに定められ違法だとして、立命館大の非常勤講師らは15日、吉田美喜夫総長と森島朋三理事長を16日にも京都上労働基準監督署に刑事告発する、と発表した。
告発するのは、労働組合「ユニオンぼちぼち」の執行委員を務める立命大非常勤講師の藤田悟さん(39)ら3人。
労働基準法は、就業規則を変更する場合、労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならないと定めている。同組合は、非常勤講師の最長5年での雇い止めを記した就業規則に変更した2015年当時の代表者は、選挙の投票率が低く過半数の代表者とは見なせない、としている。
13年の労働契約法改正によって今年4月以降は、5年を超えて契約を更新している有期雇用労働者は無期雇用への転換を求めることができる。各大学で5年の更新上限を設ける動きがあったが、反対の声を受けて早稲田大や東京大は5年ルールを撤回した。藤田さんは「全国の大学が次々と5年雇い止めを撤回する中、立命館は就業規則を変更してそれを維持している。規則そのものを撤回すべきだ」と訴えている。
京都上労基署は過半数の代表の選出などについて立命館に対し是正勧告を行っているが、立命館は「就業規則がただちに無効になるとは考えていない」としている。
雇い止めルールは残るも、2017年度末雇い止めは撤回!
昨日の立命館大学との団交において、授業担当講師制度の廃止には至りませんでしたが、「授業担当講師・就業規則9条3項(2)」を根拠に今年度末の雇い止めを通告された方々については、雇用の継続あるいは金銭的補償を行うという点で合意しました。
対象となる方々には大学から連絡がありますが、連絡がないという方や個人で対応することに不安を覚えるという方は、ぜひ組合にご連絡下さい。十分な権利回復がなされるようサポートいたします。
今年度末の雇い止めは実質的に撤回されました。しかし大学はいまだに授業担当講師制度は「歴史的到達」であり合理的だと主張しております。引き続き組合は今年度中の廃止に向けて取り組んでまいりますので、ご支援をお願いいたします。
関西圏大学非常勤講師組合
http://www.hijokin.org/
関西非正規等労働組合 ユニオンぼちぼち
http://rootless.org/botiboti/
本日2月12日(月)は祝日のため、大阪での相談はお休みです。メールでは随時受け付けています。