ビショップ社の解雇問題について(続報)(その1)

7月4日にこのブログで、ビショップ社との交渉状況(Aさん解雇事件の中での団交拒否の状態)をお知らせしましたが、いまだ状況は改善されていません。
その後の状況を今回お知らせしたいと思います。
前回のブログ記事 7月4日「ビショップ(BSHOP)が団交に応じません!」

ビショップ(BSHOP)が団交に応じません!


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ビショップ社は、私たち(関西非正規等労働組合、通称「ユニオンぼちぼち」)が団交を要求していることに対し、「労組法2条にあるような、貴組合がいかなる組合であるのかの情報を出さないと団交には応じない」とか「解雇理由への反論をまず文書で出せ」とか、その他の理由で、団交も事前折衝で会うことも現在まで拒否しています。
団体交渉についての規定として、憲法28条は「勤労者の団体交渉権」を定め、労組法7条2号は「使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉すること」の拒否を不当労働行為と定めて禁止することによって、団体交渉について、個人交渉と異なる交渉権の保護、すなわち使用者に誠実交渉を強制しています。
そして、一般的に、団体交渉とは、直接対面して交渉することを意味するので、文書のやり取りは団体交渉ではないとされています。したがって、使用者が書面の交換による交渉に固執し直接交渉に応じないことは不当労働行為になるとされています。また団交要求についての文書説明を要求しその文書を出さないことを理由にした団交拒否も、要求の説明は団交の席上口頭ですればよいから、文書説明にこだわることは不当労働行為にあたるとしています。こうした点においてビショップ社の言い分は不当労働行為の疑いが強いといわざるを得ません。
 さらに、交渉日程についてですが、使用者は、団交申込みを受けてから一定期間内の適当な時期に交渉に応じる義務を負っています。具体的にどの程度の期間かは、ケースバイケースですが、当労組が団交を5月21日に申し入れてから約3ヶ月以上たっても日程をきめられない(団交に応じる気配をみせない)のは、異常な事態です。
しかもそのあいだにビショップ社はA組合員を解雇しました。一度も団交をしないまま、先に解雇するというのは、解雇という生活にかかわる大事な問題を誠実に話し合って同意や理解を得ていこうとする態度ではなく、組合と当該労働者の無視という不誠実な態度と言えます。さらにA氏は病気療養中でした。解雇をめぐって意見の相違があり、交渉を求めているさなかに交渉せずに解雇するという姿勢には誠実さがないのではないでしょうか。
 予備折衝(事務折衝)は、実質的な交渉に入る前の事務準備手続として行われる場合が多いものですが、法的には広い意味での団体交渉の一部にあたります。したがって、使用者が予備折衝に入ること自体を拒否している場合や、予備折衝において誠実な態度をとらない場合も不当労働行為になります。この点でもビショップ社の態度は問題です。
ただし、少数者の結成した労組からの団交要求に対して、使用者が組合の実態、当事者適格性の把握等のためにまず予備折衝を行うことを求め直ちに団交要求に応じないことは、不当労働行為にならない場合があるという判例(博多南郵便局事件・東京高判平成2.4.25)もあるので、ビショップ社はこの点を根拠にこれまで執拗に「組合の実態、当事者適格性の把握等」にこだわってきたわけです。
それに対しても私たちは、組合の実態は伝えているので当事者適格性は明らかで、しかも事前折衝にさえ応じないビショップ社の言い分には正当性がないと考えています。私たちは既に関西非正規等労働組合がちゃんと活動している組合であることを示してきました。結成年度を示し、毎年大会を開き、組合規約もあり、多くの労働相談や労働争議、団体交渉を経験してきていることを伝えました。執行委員長と担当者の名前は団交申入書に記載されています。
HPやブログ、インターネットで検索して情報を集めれば、当労組が真面目に活動している団体であることがわかるとお伝えしています。当労組は新設労働組合ではなく、所在地、組合費、活動内容等がインターネットで公開されています。これまでもビショップ社とのやり取りに際して、当労組は文書のやり取りや話し合いに冷静に応じていますので、反社会的勢力ではないことは明白です。資産などは団交するにあたって必要な情報ではありません。私たちが「労働者が主体となって、自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体」(労組法2条)であるのは明らかです。
7月19日付の当組合からの文書においても、当労組から2012年6月6日付文書、6月12日付文書、7月9日付文書および6月29日の会社への申し入れ行動時の説明において、当組合は以下の諸点を説明してきたことを再度説明しています。
 すなわち、文書でないと正確ではないという貴社の主張は間違いであること、当労組には活動してきた実態があること、労働組合とは、どこかに登録しなくても活動できるものであること、私的企業と労組の労使交渉において労組法2条の組合であることを証明する必要はないこと、ビショップ社の「いかなる組合であるのかの説明がないと団交に応じない」という主張は、憲法28条の団体交渉権に反する態度であり、労組法7条2の不当労働行為であること、などを再三指摘しておきました。
私たちの主張は以下の通りです。すなわち、ビショップ社が現時点まで博多南郵便局事件・東京高判をよりどころとして、「貴組合がいかなる組合であるのか(法的根拠)を示せ、それまでは団交に応じない」と主張し続けていることは、総合的に見て、無理やり形式的な情報を出せという点に固執して、事実上、団交開催を先伸ばししている態度であると考えます。
文書による回答に固執して、面会での協議をしようとしないことは誠実交渉義務違反です。素直に見て、財産管理、どのような資産がありどのような運営をされているのか、代表の方法、総会の運営、どのような執行部及び組合員であるか等を示せというような、団交開催に向けて重要ではない情報にいつまでもこだわるのは、いやがらせ、あるいは団交拒否の口実であると多くの第3者は見るのではないでしょうか。
何度も労組法2条の情報は、団交には出す必要はないとされている(労働委員会の救済手続きを利用するときや法人格の取得には労組法2条但書が関係するが、今回のような通常の団交には不必要)とお伝えしているのに、いつまでも同じこと繰り返して団交拒否をしているのは全く解せません。
労組法の要件を満たす労組を「労組法の組合」と呼び、憲法上の保護を受けるが労組法の要件を満たさない労組を「憲法上の組合」「法外組合」と区分して呼ぶことはありますが、後者でも団交ができますし、私たち「ユニオンぼちぼち」は、労組法の要件を満たしてはいますが今回それをビショップ社に示す必要はないので、伝えていないだけです。労組法2条但書や同法5条2項の要件を欠く労働組合でも憲法上の団体交渉権は当然保障されるとされています(日本通運秋田支店事件、秋田地裁判決昭和25.9.5)。団交議題が解雇撤回である場合、被解雇者が組合員であることを示せば足り、被解雇者以外の組合員の氏名、人数を明らかにすることは不要とされています(新星タクシー事件・東京地裁判決・昭和44.2.28)。
続く

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