立命館への確認書及び要望書

2016年9月26日

学校法人立命館
理事長 長田 豊臣 殿
学長 吉田 美喜夫 殿

ゼネラルユニオン
関西圏大学非常勤講師組合
執行委員長 新屋敷健
関西非正規等労働組合
執行委員長 尾崎日菜子

確認書及び要望書

2016年9月13日の団体交渉において、以下のことが確認された。団体交渉では、授業担当講師導入の合理性について議論がかわされた。

(1)立命館大学は、契約更新に5年の上限を設ける有期雇用制度を導入した歴史的経過を踏まえて、授業担当講師制度を導入した、と述べ続けている。労組側は、いままでやってきたからこれからもやりますというのでは、授業担当講師制度の導入理由としては不十分である、と述べた。まず、他の職種に更新上限のある有期雇用制度を設置したからといって、非常勤講師に当てはめる根拠にはならない。次に、他の職種に更新上限のある有期雇用制度を設置した理由が合理的かどうかも議論の余地がある。

徳川氏は、常勤講師の更新回数上限を5年にした経緯に合わせた、と述べた。西川氏・山本氏は、職員も含めた教職員の雇用の有期雇用化という政策があり、5年に合わせたと述べた。しかし、他の職種の制度をなぜ機械的に当てはめるのか、他の職種に制度を導入した合理的な根拠は何か、との質問に対する回答にはなりえていなかった。法人は、いままでやってきたから、という回答を繰り返したにすぎない。

(2)徳川氏は、講師の雇用を更新上限を設けた有期雇用に変えた経緯について、教学の観点から次のように述べた。法人は、文部科学省の方針もあり、本来すべての授業は本来専任教員が担うべきという考え方のもとに、専任教員が授業を担当する割合(専任率)を増やす、という政策をとっている。授業担当講師制度の導入もその一環であり、教学の整備計画に基づいて、行っていると述べた。

そこで労組側は、制度導入の合理的な理由が分かるように、当該整備計画の開示を求めた。また、労組側は、常勤講師を増やして非常勤講師・授業担当講師の授業を減らすという、具体的計画の内容を質問した。しかし、法人は、そのような具体的な計画までは整っていないと述べた。つまり、専任と非専任の授業担当割合をどのように変えていくかの具体的な見通しもないままに、5年で非常勤講師の首を自動的に切る仕組み、授業担当講師制度を導入したことが明らかになった。また、5年という数字も、教学の見直し時期との具体的な関連はないことが確認された。あらためて労組側は、整備計画があったとしても、従来通りの非常勤講師制度で対応できるので、新制度の必要性はないと主張した。法人は、これに対して、経営の裁量であると述べるばかりで、新制度導入のメリットやデメリットについて回答できなかった。

(3)西川氏は、各種の有期雇用制度を導入したことで学内に不利益は起きていない、と述べた。非常勤講師が足りなくて授業が運営できなくなったことはないし、職員を雇い止めする時には職場にヒアリングをして不具合が起きないように工夫をしていると述べた。労組側は、事務室で経験を蓄積した職員が機械的に雇い止めされてしまい、実務に不具合が生じてきた実例を挙げた。また、追記するならば、経験を蓄積して仕事にやりがいを見出した職員が、自分の仕事がそのままあるから職場に残りたいと希望しても機械的に雇い止めにされる仕組みは不合理である。さらに、授業担当講師制度は、実質非常勤講師として雇用されるはずだった労働者たち256名をすべて更新回数に上限を設ける有期雇用に転落させたのであり、不利益があると述べた。しかし、法人は、観点の違いであり、不利益はない、との主張を繰り返すばかりであった。

(4)法人は、従来の非常勤講師は、「無期転換した非常勤講師」なる人たちがあらわれる。このような無期転換した非常勤講師は、授業がなくなったからといって首を切るというのではなく、別の授業を工面するなど雇用に責任をもつ重さを感じていると述べた。また法人は、経過措置として、従来の非常勤講師だけに無期転換権が行使できるようにしたのだが、その理由は従来の非常勤講師に配慮をしたからだ、と述べた。法人が配慮を行ったのは、授業担当講師制を従来の非常勤講師に適用すると、不利益が生じるからであり、不満が生じるからである。労組側からは、法人は改正労働契約法によって生まれる「無期転換した非常勤講師」に雇用の重みを感じているのであり、その重みを避けようとしたのではないか、と質問した。しかし、法人は、重みを感じているとしながらも、この質問に対してはそんなことはない、と述べるばかりであった。

(5)非常勤講師と授業担当講師は同じ仕事をしている。一方だけが不利益な契約を結ぶのは差別であり、労働契約法違反である、と労組側は主張した。法人代理人である御堂筋法律事務所弁護士は、差別ではない、仕事の内容の違いだけが契約の違いを導くわけではないと主張した。そこで、労組側は、仕事の内容以外にどのような要素があるか質問した。法人理事は回答できなかった。そこで、法人代理人が、新しく更新上限を設ける契約制度を作って、新しい労働者が同意して契約を結んだのであり、契約の時期が違うからという点を、契約の違いを正当化する要素として述べた。さらに労組側は、仕事の内容と、契約の時期以外に、何か違いを生み出す要素はあるかと質問した。法人代理人は、質問されたから例示をしただけであって、授業担当講師制度について精査したわけではない、とこれ以上は回答することができなかった。契約に違いを設ける根拠が精査されないままに、差別的契約・制度が生み出されたことが明らかになった。

上記の議論を確認するとともに、団体交渉で以下を要望する。

1.授業担当講師制度導入の合理性が分かるように整備計画を開示すること。

2.非常勤講師制度を廃止し、授業担当講師制度を導入することで、同じ仕事内容であるにもかかわらず、不利益な契約を結んだ労働者たちがいる。この差別的な契約が差別でないと言える根拠を述べること。

3.上記1と2について、書面での回答を、2016年10月31日までに行うこと。書面の郵送先は、関西非正規等労働組合事務所とする。

以上。

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