国際条約で認められている「同一価値労働同一賃金の原則」に関して日本の法律は不十分であるとの勧告をILOが出したようです。
中日新聞:<はたらく>男女同待遇へ法の充実を ILO、日本に勧告
この記事で書かれているような性別での均等待遇も重要ですし、正規―非正規での均等待遇も求めたいです。
----------以下記事より----------
仕事の価値が同じなら男女で同じ賃金がもらえる「同一価値労働
同一賃金の原則」を定めた国際条約について、国際労働機関(IL
O)は昨年11月、日本政府に対し、法律の規定が不十分だと勧告
した。性別や仕事の種類に関係なく、客観的に労働の価値を評価し
ないことが問題視された。(稲熊美樹)
「裁判では負けたが勧告で主張が認められ、悔しさが晴れる思い。
この勧告を活用していきたい」。8日、東京都内で開かれたILO
の勧告について報告する集会で、個人加盟の労働組合「商社ウィメ
ンズユニオン」委員長の逆井(さかい)征子さん(68)は語った。
総合商社で長年勤め、8年前に定年退職した逆井さんは、現役時
代の1995年、女性の同僚5人と会社を訴えた。男女のコース別
人事で一般職とされ、同じような職務内容の男女で大きな賃金格差
があるのは違法だと主張した。
2008年の控訴審判決で、東京高裁は6人中4人について「経
験を積んで専門知識を持ち、男性社員と同じ困難度の職務をしてい
た」と違法性を認定。しかし、提訴当時、秘書だった逆井さんにつ
いては「専門性が必要な職務ではなかった」などと訴えを退けた。
28年以上携わった営業職についての評価はなかった。
ILOの100号条約は「同じ価値の労働に対しては、性別によ
る区別をせず、同等の報酬を与えなければならない」と定めている。
政府は1967年に批准し、労働基準法四条で「女性であることを
理由として賃金について男性と差別的取り扱いをしてはならない」
と規定。85年制定の男女雇用均等法でも、性別を理由に差別的取
り扱いを禁じている。
◇
商社ウィメンズユニオンや全石油昭和シェル労働組合など3労組
は09年、男女の賃金格差の是正を求めてそれぞれ提訴。一部は勝
訴したが、満足できる判決内容ではなく、3つの判決が100号条
約に違反しているとILOに申し立てた。
受理したILOは、日本政府に見解を回答させて審理。政府は、
労基法と均等法で100号条約の規定を実現できていると主張した。
これに対し、昨年11月のILOの勧告では、労基法と均等法に
ついて「同一価値労働に対する男女同一報酬原則の概念が条文に含
まれていない」などと、条約の理念を完全には反映していないと判
断した。
ILO駐日事務所は「勧告はあくまで自主的に従ってほしいとい
う要望だが、政府は来年までに勧告に対する回答をしなければなら
ない」とする。厚生労働省は「条約に違反はしていないという指摘
だと受け止めている。ただ、男女の賃金格差があることは確か。啓
発を続け、均等法の見直しも含めて検討したい」としている。
早稲田大大学院法務研究科の浅倉むつ子教授(労働法)は「裁判
や労基署の指導では、職務や職種、雇用管理区分ではなく、労働の
価値で比較されなければならない」と、職務評価の必要性をあらた
めて強調。均等法と労基法の規定の不備を指摘し、同一価値労働同
一賃金の概念を盛り込む法改正を提案する。
◆女性給与、男性の7割
男女雇用均等法の施行から26年がたつものの、男女の賃金格差
が解消されたとは言い難い。
厚労省の調査によると、賃金格差は均等法施行後、縮小傾向にあ
るものの、依然、女性は男性の7割程度。2010年は、09年に
比べて0.5ポイント格差が拡大し、後退した=グラフ。勤続年数
や管理職比率の違いが格差の主な要因だ。
同省の研究会は「配置や昇進、人事評価の基準があいまいで制度
の整備が不十分。仕事と家庭との両立が困難な働き方を前提とした
制度設計で、採用や配置で男女差が生まれ、賃金格差につながって
いる」と分析する。
<同一価値労働同一賃金の原則> 男女、正規と非正規の間の賃金
格差を解消し、働きに見合った公正な処遇をする原則。客観的に職
務評価をするため「知識・技能」「責任」「負担」「労働環境」の
4要素から点数を算出し、職種や雇用管理区分を超えて比較する。
中日新聞 – <はたらく>男女同待遇へ法の充実を ILO、日本に勧告
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