■生活保護の支給基準額引き下げに反対し、むしろ増額を求めるユニオンぼちぼちの声明
現在、自公政権によって生活保護基準の引き下げが検討され、現実化しようとしている。
これまで様々な団体や人々によって批判されているように、基準引き下げは憲法に定められた生存権を脅かすものであり、生活保護受給者のみならず、全ての働く人々にも悪影響を与える所業である。
生活保護受給者へのバッシングにおいて、「働けるのにもかかわらず生活保護を受けている」といったことが言われるが、ことはそう単純ではない。
ユニオンぼちぼちにも、働ける年齢とされる稼働年齢層で生活保護を受給している組合員が所属しているが、その多くは長時間労働やパワハラ・セクハラによって「働けなくなった」のである。またもう一度働き始めようとするときに壁になるのも、過酷な労働環境である。
また保護受給者が働いていないというのも、誤った認識である。心身の調子が悪いながらも、できるときには仕事をしているものもいる。しかし賃金水準が低いために生活に必要な最低限の収入を得られず、その差額分を生活保護から得ている人が多い。生活保護基準が下げられると最低賃金の引き下げにもつながるが、基準引き下げと賃下げが連動して進む最悪の事態に至らないか懸念する。
バッシングによって保護受給から人々を遠ざけ、低賃金・長時間労働でも働かざるを得ない状況を作り出すことは、経営者から労働環境を改善させようという意欲を奪うだろう。なぜなら「代わりの労働者はいくらでもいる」と考えるようになるからである。にもかかわらず「働けるのにもかかわらず生活保護を受けている」とバッシングを続けることは愚行である。現在働けている人々にも悪影響をおよぼすので、今すぐ止めるべきである。
また医療費の一部自己負担が言われているが、そもそも生活保護受給に至った理由に疾病がある場合が多く、その治療は第一に優先されるべきである。負担が増えれば治療のために通院できず、さらに悪化することは目に見えている。ある程度の収入がある人で、生活保護で足りないぶんをもらっていた人が、生活保護から切り捨てられることによって、これまで受けられていた医療、福祉、教育に関わるサービスを受けられなくなる場合が出てくるであろう。特に子どものいる世帯では貧困の連鎖につながる可能性が大きく、政府は貧困問題を深刻にしたいのかとすら疑ってしまう。
生活保護費は最低生活水準から算出されることから、本当に生活を維持するためにギリギリの額であり、受給者は交友関係を維持することもままならない。このような孤独な状態は「人間らしい」とは言えず、また心身の回復にもよくない。今も、働いた結果として働けなくなった人たちが、最低生活費の制約の中で、友人や地域との関係も奪われ、部屋の中で孤独になっている。
むしろ保護費は引き上げられるべきなのである。
政策当事者は、もう一度「人が生きる」ということはどういうことなのか考え直してほしい。
浅はかな考えで、人の人生をムチャクチャにしないでほしい。
ユニオンぼちぼちは、政策としての根拠も合理性もない生活保護の基準額引き下げに反対する。
むしろ引き上げを要求する。
生活保護に関する緊急声明
コメントを残す