大阪市立大学問題「抗議及びストライキ解除通告」

当初、特任教員の職務に「研究」を含めないとしていた大阪市立大学が、交渉とストライキの結果、2016年度以降も含まれると回答を変更してきました。この成果をもって、本日からストライキを解除します。しかし大学は「自らの研究」と「業務上の研究」を分けられるかのような主張をしており、この点については今後も撤回を求めていきます。

またストライキ解除後も職場に戻るための闘争は続きます。
引き続き、ご支援ご注目いただけたら幸いです。

口座名  ユニオンぼちぼち
○郵便局の振替口座  00900-8-263985
○郵便局以外から振り込む番号  ゆうちょ銀行  099店 当座預金 0263985
※「市大闘争支援」と明記してください

よろしくお願いいたします。

—以下、大阪市立大学に提出した文書—

抗議及びストライキ解除通告

2016年4月28日に行われた団体交渉において、当組合は貴法人に対して「雇い止めの理由」「日本学術振興会からの問い合わせの内容及び貴法人の回答内容」「採用方針と公開質問状に対する回答とが矛盾しないといえるのはなぜかについての阿部都市研究プラザ所長の釈明」を書面にて提出することを求めました。
書面は期日通り届きましたが、以下の点で問題があるので抗議いたします。

1.雇い止めの理由を書面で提出するように求めましたが、同封されておりませんでした。
 雇い止めの理由を書面で提出することは4月28日の団交申し入れ書において当組合が要求していたことです。それに対して、貴法人は、2016年2月8日に加幡都市研究プラザ副所長よりメールで送られた「平成27年度特任教員の採用期間の満了について(通知)」(平成28年1月29日付)が雇い止め理由にあたるとして、書面での提出を拒否しました。
 「平成27年度特任教員の採用期間の満了について(通知)」には、時候の挨拶に続き「さて、早速ではございますが、昨年11月11日開催の都市研究プラザ運営委員会におきまして、平成28年度の特任教員の採用につきましては、公募による新規募集といたすことに決定いたしました。
 貴方様の特任教員の採用期間は満了となりましたことをご通知申し上げます。(以下略)」と、理由は何ひとつ明示されていませんでした(ちなみに、A組合員が期間満了通知にあたる文書を貴法人から受け取ったことはなく、今回の「平成27年度特任教員の採用期間の満了について(通知)」なる文書が最初にあたります。)。
 厚生労働省は「使用者は、雇止めの予告後に労働者が雇止めの理由について証明書を請求した場合は、遅滞なくこれを交付しなければなりません」また「明示すべき『雇止めの理由』は、契約期間の満了とは別の理由にすることが必要です」と求めています。当組合の要求も、これに基づいたものです。
 貴法人の遵法意識を欠いた対応に抗議するとともに、改めて雇い止めの理由を書面で提出することを求めます。

2.これまでの団体交渉において貴法人が回答されてきた内容と今回の回答の内容には齟齬があります。
 当組合と貴法人は、A組合員の雇用をめぐって計5回の団体交渉を行ってきました。
 当初、貴法人はA組合員の雇用期間は短く来年度の業務内容も大幅に変わるため、無期雇用ではなく雇い止めも正当であると回答しました。しかしA組合員の雇用期間や就業実態に関して正確に把握していない状態であることが判明し、契約書を見せたところ同内容の更新を繰り返しA組合員が7年間働いてきたことを認めました。2回目の団交には阿部所長が出席し、労働契約法の解釈を披露して、A組合員に無期転換権は発生していないと回答しました(当組合の要求が、「無期転換」ではなく「実質的に無期雇用契約であることの確認」であるにもかかわらず)。また2016年度の特任教員の業務内容に研究は含まれないとし、労働契約書の業務内容にも「研究」は含まれないと貴法人は回答しました。そして「研究」が含まれない点が最大の変更であることをもって、A組合員の従事する業務に恒常性があるという当組合の主張に反論されました。一方、第3回目の団交で阿部所長は、A組合員がこれまで7年間ほぼ変わらない職務に従事してきたこと、その働き方に連続性があること、さらに契約が「形式的に」「無条件で」「自動的に」更新されてきたことを認めました。
 ところが今回の回答において、貴法人は「毎年度、財政状況と人員配置について精査を行ったうえで、契約締結の手続きをとり、労働契約証書を交わしており、形式的に更新してはいないこと」や「労働契約証書にも、契約更新の有無については、『更新することがある』と記載されており、また、更新の基準としては、『法人の財務状況、外部資金等の収入状況』等が記載されていること」を理由として、無期雇用契約であるとは認められないと主張されております。
 これまで貴法人は、A組合員の雇用期間が短いこと、そのために無期転換権が発生していないこと、また来年度からは「研究」が含まれなくなるという大幅な業務内容の変更があることを理由として、A組合員の契約が無期雇用契約と認められないことを正当化してきました。しかし今回の主張は、これまでの主張とは一致しません。また、この間の労働に連続性があり、契約が「形式的に」「無条件で」「自動的に」更新されてきたことを第3回目の団交で認められた事実とも齟齬があります。さらには、2015年度末に実施された予算消化のための看板の設置や、後述するカードキーの導入及び追加工事、あるいは今後見込まれるホームページ作成その他ネットワーク再構築の外部委託費用など、都市研究プラザは無駄な支出をしてきた、あるいは予定しているのであり、貴法人の財務状況は必ずしも逼迫したものでないことが伺えます。
 貴法人の団交での不誠実な対応に抗議するとともに、改めてA組合員と貴法人との間の雇用契約が実質的に無期雇用契約であることの確認を求めます。

3.今回の回答における「2 平成28年度からの都市研究プラザにおける特任教員の業務内容の変更点について」の記述には問題があります。
 貴法人は「都市研究プラザの組織としての事業の遂行に必要な多様な業務の全体を、その時々の業務量に応じて、適宜分担して担うようにしました」と述べておりますが、このような業務の分担は2015年度以前にも当然のごとく行われてきたことであり、2016年度以降の変更点と言えるような内容ではありません。
 また、「原則として都市研究プラザの組織としての事業とは関連性のない各特任教員個人の研究については、業務時間外で行っていただくことにしました」とありますが、この点についても実態としては2015年度以前と変わらないのであり、2016年度以降の変更と言えるような内容ではありません。
 この間、団交において貴法人は「研究」が含まれなくなることが最大の変更であり、その点をもって無期雇用契約ではないという主張及び雇い止めを正当化してきました。しかし、2016年度の特任教員の労働契約に記載された業務内容に研究が含まれていることは団交において貴法人も確認されたとおりであり、今回の回答からは、雇用を打ち切るに価する大幅な業務内容の変更など存在しないことが明らかになりました。
 2015年10月に行われた阿部所長との面談において、A組合員は「財政状況が厳しいのなら業務時間を短くしてもいい」といった提案しました。しかし阿部所長は聞く耳を持たず、ただ外見上の「公平さ」を理由に特任教員全員の雇用を一方的に打ち切りました。このような解雇は客観的に合理的な理由もなく、社会通念上の相当性も欠いた不当なものであり、抗議するとともに撤回することを求めます。

4.「日本学術振興会からの問い合わせの内容及び貴法人の回答内容」について尋ねておりましたが、問い合わせ内容および回答内容の記述が不十分で具体的な内容が分かりません。
 4月28日の団交で当組合が尋ね、貴法人が回答すると答えた内容を十分に満たすものではないので、抗議するとともに責任ある回答を求めます。

■ストライキ解除通告
 4月28日に開催された第5回目の団交において、2016年度の特任教員の業務内容に「研究」が含まれているかを当組合が確認したところ、貴法人は労働契約書の業務内容においても、また実態としても含まれていることを認めました。しかし2015年11月に決定された「2016年度の特任教員の採用方針について」においては「自らの研究は都市研究プラザでの勤務時間外に行うことを条件に雇用する」と述べていたのにもかかわらず、貴法人は「業務としての研究」ならば勤務時間内にしていいのだから、方針は変更していないと主張しました。今回の回答においても、「特任教員には、通常の勤務時間中は、原則として都市研究プラザの組織としての事業を遂行していくために必要な業務に専念していただき、都市研究プラザの組織としての事業とは関連性のない各特任教員個人の研究については、勤務時間外で行っていただくことにしました」と、一見はよく似た主張をされています。
 当組合は、一貫してA組合員の雇用が無期雇用契約であることの確認を求めるとともに、研究職でありながら研究が業務に含まれなくされることを問題にしてきました。それに対して貴法人の主張は、当初採用方針において「その勤務時間のすべて」としていた点を、公開質問状に対する回答では「通常の勤務時間中は都市研究プラザの業務を優先していただくこと」と改め、それならば以前となんら変わりがないことを当組合に指摘されると、今度は「専念」と言い換えました。このように貴法人の主張は、まったく一貫していません。さらに「自らの研究」と「業務上の研究」を分けられるかのような貴法人の主張には重大な問題があり、この点については今後も撤回を求めて追求していきます。
 しかし、当初貴法人は業務に「研究」が含まれなくなるとしていましたが、交渉及び争議行為の過程で、特任教員の職務には研究が含まれることを認め、また科研費に係る研究を阻害するつもりはないと回答を変更してきました。この成果をもって、本日からストライキを解除したいと思います。
 一方、貴法人は昨年度末、科研費の間接経費を原資として都市研究プラザのある高原記念館の玄関にカードキーを導入した上で、先週には従来の鍵を使えないようにして、A組合員が立ち入りできない状態にしました。2016年5月9日に人事課に確認したところ「聞いていない」ということでしたが、A組合員には職場に戻る意思と正当な理由があり、また設置場所が高原記念館アーカイブ室である研究用図書・設備備品等を利用できなくては科研費に係る研究が阻害されますので、可及的すみやかに入館できる状態にすることを要求します。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください