「トランスジェンダーで解雇不当」
京都府労委に救済申し立てへ
性別の自己認識が生来の性と異なる「トランスジェンダー」の尾崎日菜子さん(28)=兵庫県西宮市=が性別を理由に労働契約を打ち切られたとして京都市南区の労働組合に加盟、組合が団体交渉を要求している。会社は団交に応じず、組合は不当労働行為に当たるとして13日、京都府労働委員会に救済を申し立てる。
トランスジェンダーの自助団体「T(ティー)ジャンクション」(大阪市)によると、当事者が労働をめぐり公的機関に申し立てるのは極めてまれ。
男性に生まれた尾崎さんは大学院中退後に豊胸手術をするなどし、女性に近い外見で生活している。戸籍上の名前も変えた。
尾崎さんによると、西宮市のスーパー銭湯で、自身を「個人事業主」とする業務委託契約を前提に面接を受け、7月1日から同店ボディーケアコーナーの研修を受けた。契約書に署名したが、印鑑を持参しておらず押印しなかった。
同3日、店の求めで男性と記された健康保険証を示すと「面接は不合格」と通知されたという。尾崎さんは、その際「横顔が男に見える」「性別を隠す人間は信用できない」などと性別に言及されたと主張している。
同コーナーでは作務衣(さむえ)を着た男女の客が同室で性別にかかわりなく男女の担当者からマッサージを受けていた。尾崎さんは「この職場で性別は問われない。自ら定義した性で堂々と働きたい」と訴えている。
尾崎さんが加盟した労働組合「ユニオンぼちぼち」は店を経営する「キナン」(和歌山県新宮市)と1回団交し、制服貸与やタイムカードによる時間管理があり実質的な雇用関係があったと主張、性差別が原因の「解雇」撤回を要求した。同社は拒否し以降の団交に応じていないという。同社は「特にコメントすることはない」としている。
京都新聞「トランスジェンダーで不当解雇」
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