学習会のレジュメ

先日、取り組んだ学習会「労働契約法 無期転換権」で使った、レジュメを載せます。

表現がわかりづらく、誤解をまねく記述もあったので、労働契約法について学びたい人には、大阪労働者弁護団が出している「活用しよう「改正」労働契約法〔第2版〕〜とことん 労働者のために 条文解説〜」がおすすめです。

わかりやすい文章で、労働者の側にたった解説をしてくれています。

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[以下レジュメ]

ユニオンぼちぼち連続企画【学習会】労働契約法の無期転換権

2016年11月19日

  • 主旨

2013年4月から施行されている改正労働契約法には、新たに三つの条文が新設され、いずれも有期労働契約に関する条文となっている。(資料①)

改正前の法律では、有期労働契約については契約期間途中での解雇と配慮義務について定めた17条のみだった。改正後は大きく分けて3つの内容が追加された。

  • 有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換(18条)
  • 「雇止め法理」の法定化(19条)
  • 期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止(20条)

期間の定めのない労働契約への転換に関しては、契約期間の通算が5年を超えていることを条件としているため、5年に到達する直前に雇止めにすることで無期契約への転換を回避する使用者が出てくることが指摘されている[i]。2018年4月には改正から5年を迎えるため、雇止めが集中する可能性があるので、その準備として学習会に取り組む。

 

  • 無期転換申込権が発生する基本的要件

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労働契約法 第十八条

同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く。以下この条において同じ。)の契約期間を通算した期間(次項において「通算契約期間」という。)が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。この場合において、当該申込みに係る期間の定めのない労働契約の内容である労働条件は、現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く。)と同一の労働条件(当該労働条件(契約期間を除く。)について別段の定めがある部分を除く。)とする。

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⑴「同一の使用者」

・労契法における使用者は同法2条2項に定められている。

「この法律において「使用者」とは、その使用する労働者に対して賃金を支払う者をいう。」

労基法の使用者とは表現が若干違うが、ほぼ同じ。

⑵「2以上の有期労働契約」

・1回以上更新された有期労働契約のことを意味している。

・「2以上の有期労働契約」の契約期間が通算で5年以上というのが要件となっている。[ii]

⑶「通算契約期間」の計算方法

・契約期間の合計なので、契約と契約の間に空白期間がある場合は、その期間は算入されない。

・空白期間が長くなると、通算期間のクーリングがある。詳しくは後述。

⑷「労働者が、当該使用者に対し、~期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは」

・転換の申し込みを労働者側からする必要がある。

・5年を超えれば、自動的に無期契約になるわけではない点に注意。

・労働者から申し込みがあった時点で、使用者は承諾したとみなし、無期契約が成立する。

⑸「契約期間が満了する日までの間」

・契約期間が満了してからでは、申込権は行使できなくなる。

 

  • 「クーリング」期間

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労働契約法 第十八条

  当該使用者との間で締結された一の有期労働契約の契約期間が満了した日と当該使用者との間で締結されたその次の有期労働契約の契約期間の初日との間にこれらの契約期間のいずれにも含まれない期間(これらの契約期間が連続すると認められるものとして厚生労働省令で定める基準に該当する場合の当該いずれにも含まれない期間を除く。以下この項において「空白期間」という。)があり、当該空白期間が六月(当該空白期間の直前に満了した一の有期労働契約の契約期間(当該一の有期労働契約を含む二以上の有期労働契約の契約期間の間に空白期間がないときは、当該二以上の有期労働契約の契約期間を通算した期間。以下この項において同じ。)が一年に満たない場合にあっては、当該一の有期労働契約の契約期間に二分の一を乗じて得た期間を基礎として厚生労働省令で定める期間)以上であるときは、当該空白期間前に満了した有期労働契約の契約期間は、通算契約期間に算入しない。

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・18条2項では、有期労働契約に空白期間がある場合に通算期間の計算がリセットされることが定められている。

・6ヵ月の空白期間があると、リセットされる。

・ただし、有期労働契約の期間が1年未満の場合、契約期間の2分の1程度の期間でリセットされてしまう[iii]

 

  • 無期転換後の労働条件

・無期転換後の労働条件は、原則として現に締結している有期労働契約の労働条件と同一。

・無期契約の正社員と、有期契約の非正規社員で構成される職場の場合、有期雇用に転換される=正社員ではない。

・ただし、契約期間以外の労働条件に関しては、無期転換の際に変更することは労働契約、就業規則、労働協約によって可能。

 

 

  • 無期転換申込の回避への対処

⑴使用者の変更

・条文では「同一の使用者」との間での有期労働契約が要件となっている。使用者がこれを回避するために、派遣や請負を偽装したり、事業譲渡の形で形式的に使用者を変更したりすることがありうる。

・このように、無期転換申込権が発生するのを回避するために、使用者を切り替えた場合は、通算契約期間の計算上は「同一の使用者」とみなすと厚労省も通達している[iv]

⑵無期転換申込権の事前放棄

・たとえば、使用者が契約更新をすることを条件に、無期転換申込権を行使しないことを求めてきて、労働者側がそれに合意した場合は、そのような意思表示は公序良俗(民法90条)に反して無効と解釈できる。

・ただし、労働者の意思による申込権の放棄を禁止することが当然なわけではない。権利である以上は放棄する自由があるとする説もある。(例えば申込権を放棄することに対して代償を受け取るなど)

⑶申し込み後の雇止め

・労働者が無期契約への転換を申し込んだ後になって、使用者が雇止めをした場合どうなるか。

・この場合、申し込みをした時点で、当該有期労働契約の期間が終了した後に、無期契約が開始することが成立しているので、この雇止めは無期契約に対する解雇となる。

⑷5年直前の雇止め

・はじめから、通算の契約期間が5年未満になるような契約を結んだ場合、労契法18条は適用されないことになる。

・この場合は、合理的な理由のない雇止めを無効とする19条が使えるかもしれない。

・なぜ5年未満で契約を終了するのか、合理的な理由があるかどうかがポイントとなる。

・しかし、今回の法改正で明文化されたことで、5年未満での雇止めのルール作りが、進んでいる。適法の範囲内での有期雇用に歯止めがかからなくなってしまった。

[i] 立命館大学では、2016年4月から非常勤講師に替えて、授業担当講師制度というものを新設。5年を超える契約更新を行わないという露骨で恥知らずな対応をしている。

詳しくは、下記のブログなど。

・関西圏大学非常勤講師組合、「立命館大学当局による非常勤講師の労働条件の不利益変更と「脱法行為」を許すな!!」

http://university.main.jp/blog8/archives/2015/06/post_755.html

・ユニオンぼちぼちブログ

http://rootless.org/botiboti/blog/

また、東北大学では、3200人の教職員の雇止めが労契法18条の回避として問題となっている。

 

[ii]労基法14条1項で、有期労働契約の期間の上限が定められている。原則3年だが、「一定の事業の完了に必要な期間」を契約期間にする場合は、期間の上限が定められていないため、例えば、契約期間が6年といった有期雇用もあり得る。その場合、労契法18条は適用されないことになる。

詳しくは厚生労働省HP。

・労働契約法の改正について~有期労働契約の新しいルールができました~

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/kaisei/

 

[iii] 詳しい計算方法は2012年10月26日付け厚生労働省令第148号

 

[iv]平成24年8月10日付け基発0810第2号「労働契約法の施行について」

 

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