当組合は、特定非営利活動法人京都暮らし応援ネットワークが団体交渉に誠実に応じないことを理由として、京都府労働委員会に対して不当労働行為救済申立をしています。
その労働委員会の手続では、舟木浩弁護士が、補佐人として、被申立人である京都暮らし応援ネットワークの動きをリードしています。
京都暮らし応援ネットワークは、反貧困ネットワーク京都が母体となって設立されたNPO法人であり、舟木浩弁護士は法人設立時より理事を務めてきました。
11.30.反貧困ネットワーク京都の10年のあゆみを振り返る – 反貧困ネットワーク京都のブログ
舟木浩弁護士は、弁護士紹介 | 京都・東京に事務所を構えるつくし法律事務所および弁護士法人つくし総合法律事務所(代表弁護士 竹下義樹)では「幅広い市民の立場に立って、誰もが生きやすい社会の実現を目指して活動しています」とコメントし、弁護士を探す|京都弁護士会によると労働関係(労働者側)が取扱可能業務に含まれています。労働関係(使用者側)は取扱可能業務に含まれていません。
にもかかわらず、以下に述べるように、労働関係(使用者側)の弁護士でもしないようなひどい振る舞いを舟木浩弁護士はしてきました。
弁護士である舟木浩氏が京都暮らし応援ネットワークの理事に名前を連ねているのであるならば、同法人が違法な行為をしているときはそれを止めることが期待されます。
使用者は労働組合に支配介入をすることが禁止されています(労働組合法7条3号)。当組合は、藤喬代表理事が組合からの要求や抗議に反してA組合員に直接交渉を持ちかけたことが支配介入だと主張してきました。
その主張に対し、舟木浩弁護士は、「被申立人法人の代表として今後のA組合員のことを心配して退職の意思を確認したにすぎず、組合運営への支配介入ではない」(4月答弁書)と反論していますが、本当にA組合員のことを心配するならA組合員が組合を通じた話し合いを求めていることを無視しないでほしいものです。その後も「すでに答弁書で説明したとおりである。被申立人には組合への支配介入の意思も行動も一切ない」(被申立人第1準備書面2)と回答するのみです。事実レベルの行動については争いがなく、支配介入の意思は不要だとするのが判例・通説ですから、この舟木浩弁護士の主張は失当だと考えられます。
ただ、京都暮らし応援ネットワークは2021年3月末でよりそいホットライン事業から撤退し、労働者を雇用しなくなったので、将来的な支配介入の禁止を求める利益が消滅したため、その部分の申立は取下げました。
また、使用者は、NPO法人だろうが株式会社だろうが、団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むことを禁止されています(労働組合法7条2号)。
「被申立人法人は、いわゆるNPO法人であり、よりそいホットラインの事業運営のために設立された経緯がある。一般の会社組織のような権力的な関係にはなく、共に社会的使命の達成を目指す関係性の中で従業員に働いてもらっており、「服務規律違反について」という文書を送ったことについても、A組合員に反省を促す趣旨で送ったものである」(4月答弁書)といった認識に甘えて団体交渉拒否を正当化することはできません。
さすがに第1回調査期日で「もちろん労働法規で雇用契約が、NPO法人が株式会社と同様にということは分かっています。それももともと理念を掲げている。株式会社であれば営利を目的としているということで、書かれているNPO法人であればそうではなくて、非営利活動を目的としているということを書いているだけですので、労働法に関してNPO法人だから労働法が適用されないと受け止められたとすれば、すみません」と舟木浩弁護士は回答しました(第1回調査調書)。それなら最初から答弁書にそのような記述をしなかったらよいのにと思います。
残る反論は、「被申立人は、組合側の主張に誠意をもって答えてきているし、藤代表理事が抱えている脳梗塞の後遺症については組合側も認識していたことである。ところが、組合側は、第1回の団体交渉において、過去に脳梗塞の病状のあった藤代表理事に対して執拗に回答を促すなど「つるしあげ」のような状況をつくりだしたり、山上副代表理事が回答しようとした際には、制止させるなど組合側の対応は「誠実な交渉」を疑わせるものであった」(被申立人第1準備書面1(4)⑤)というものです。
藤喬代表理事が脳梗塞を発症したことがあることをA組合員は知っていましたが、後遺症については知りませんでしたし、法人としてそのような藤喬代表理事にA組合員や組合への対応を委ねることのほうがよほど非人道的です。
舟木浩弁護士はご丁寧にも申立人からすでに提出済みであった団体交渉の録音反訳に「(大声)」、「(机をたたく音)」などと書き加えて証拠として提出しています。しかし、それをそのまま受け取ったとしても、「激昂して決裂を宣言し一方的に席を立って交渉を終了させた」(被申立人証拠説明書)ことは立証されないでしょう。ここで公開することはできませんが、録音を聞いていただければなおさらそうだと思います。
なお、上記で抜粋されている以外に山上義人理事の発言を制止したことはありませんし、予定されていた時間が15分ほど超過しており次の予定があったために席を立ちました。
ましてや、その後も申立人(組合)と被申立人(法人)との間でメールのやり取りや団体交渉の開催をしているのですから、団体交渉に応じない正当な理由にはなりません。
本当にそのような主張をするのだろうかと第2回調査期日で確認したところ、舟木浩弁護士は「証拠説明書に書いてあるとおりです」と回答しました(第2回調査調書)。
さて、当組合は、労働委員会からの第2回調査期日における求釈明に応じて、請求する救済内容変更の申立書を提出しました。ところが、被申立人は、「申立人への上記求釈明事項に対する申立人の回答について、反論等を準備いただきたい(「本件申立以後の事実経過」に係る追加申立てがあった場合は、それに対する認否もお願いしたい。)」と求められていたにもかかわらず(第2回調査調書)、その要求を満たしていない1枚の答弁書しか提出しませんでした。しかも、その答弁書は8月21日付とされていましたが、誤字を修正した版の提出は8月30日にされ、その翌々日の9月1日の第3回調査期日で直接受け取りました。
第3回調査期日では応答を9月15日までにするよう重ねて求められましたが、舟木浩弁護士はそれすらも理事会を開催できないという理由で9月22日に先延ばししました。
舟木浩弁護士は、本件についてどこまで知らされていたのかわかりませんが、労働委員会への救済申立があってからは法人の動きを主導しています。法人の過ちを発見したら非を認めて誠実に対応すべきです。弁護士理事として法人の運営に関わりながら、労働者を敵視した失当な主張を重ねることにより、紛争の解決に資するどころか、かえって紛争を悪化させています。
『「生活保護裁判は人間らしさを問う攻防」 『判例生活保護』著者の舟木弁護士に聞く』 – 弁護士ドットコムタイムズを読む限り、生活保護関係ではユニオンぼちぼちと志を同じくするはずである舟木浩弁護士が、当組合の組合員である労働者の人権を蹂躙する言動をとっていることが残念でなりません。
参考資料