生活保護基準引き下げ反対 大阪弁護士会会長声明

 大阪弁護士会より、来年度予算で行われようとしている生活保護基準の切り下げに対して、声明が出されました。重要ですので、ここにあげます。長文ですが、よかったらお読みください。
厚生労働省のとりまとめ案の撤回を求め、
生活保護基準の引き下げに強く反対する会長声明

1 政府は、本年8月17日、「平成25年度予算の概算要求組替え基準について」を閣議決定した。そこでは、「特に財政に大きな負担となっている社会保障分野についても、これを聖域視することなく、生活保護の見直しをはじめとして、最大限の効率化を図る」との方針が強調されている。また、厚生労働省が公表した平成25年度の予算概算要求の主要事項では、「生活保護基準の検証・見直しの具体的内容については、予算編成過程で検討する」とされている。そして、本年10月5日に開催された社会保障審議会生活保護基準部会において、厚生労働省は、第1十分位層(全世帯を所得階級に10等分したうち下から1番目の所得が一番低い層の世帯)の消費水準と現行の生活扶助基準額とを比較するという検証方針を提案した。
これら一連の事実から、本年末にかけての来年度予算編成過程において、厚生労働大臣が、生活保護基準の引き下げを行おうとすることは必至の情勢にある。
2 しかしながら、生活保護基準は、いうまでもなく憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」の基準であって、わが国の生存権保障の水準を決する極めて重要な基準である。生活保護基準が下がれば、保護が廃止される者や、保護費が減少する者が大量に発生するだけでなく、最低賃金の引き上げ目標額が下がり、労働者の労働条件にも重大な影響が及ぶことになる。また、生活保護基準は、地方税の非課税基準、国民健康保険の保険料・一部負担金の減免基準、介護保険の利用料・保険料の減額基準、障害者自立支援法による利用料の減額基準、生活福祉資金の貸付対象基準、就学援助の給付対象基準など、医療・福祉・教育・税制などの多様な施策にも連動しているから、生活保護基準の引き下げは、これらの施策を利用している低所得層の人々にも重大な影響を与えることになる。
このように、生活保護基準は、わが国の生存権保障の基盤を支える重要な基準であるから、生活保護利用当事者を含む市民各層の意見を十分に聴取したうえで、多角的かつ慎重に決せられるべきものであり、財政目的ありきで政治的に決することは到底許されない。
3 さらに、厚生労働省が提案した上記の「第1十分位層を基準に生活扶助基準額と消費水準を比較する」という手法については、その妥当性、合理性に極めて大きな問題がある。
まず、平成22年4月9日付けの厚生労働省の発表によっても、わが国の生活保護の「捕捉率」(制度の利用資格がある者のうち現に利用できている者が占める割合)が15.3%~29.6%と推計されていることからすると、生活保護基準未満の低所得世帯のうち7割以上が生活保護を利用していないことになる。このように生活保護基準以下の生活を余儀なくされている「漏給層(制度の利用資格のある者のうち現に利用していない者)」が大量に存在する現状においては、低所得世帯の消費支出が生活保護基準以下となるのは当然のことである。にもかかわらず、低所得世帯の中でも極めて所得の低い第1十分位層の消費水準との比較を根拠に生活保護基準を引き下げることを許せば、保護基準を際限なく引き下げていくことにつながり、合理性がないことは明らかである。
また、昭和59年以降採用されてきた生活保護基準の検証方式である「消費水準均衡方式」は、中央社会福祉審議会が、生活保護受給世帯の消費水準を「一般国民の消費実態との均衡上ほぼ妥当な水準」であるとし、その均衡(格差)をそのまま維持せよと意見具申したのをうけて導入されたものである。その際、生活保護基準の妥当性検証の前提とされたのは、平均的一般世帯の消費支出、低所得世帯(ここでいう低所得世帯とは、第1十分位層よりずっと高めの第1五分位と第2五分位の世帯であった。)の消費支出、被保護世帯の消費支出の3つの間の格差の均衡に留意するということであり、第1十分位層の消費支出に生活扶助基準を合わせるというものではない。
そもそも、平成23年2月からの生活保護基準部会においては、比較対象を第1十分位層とすることについて、委員からさまざまな疑義が示されて来た。上記の厚生労働省の取りまとめ案は、こうした議論を反映させることなく、生活保護基準の引き下げという結論が先にありきで第1十分位層との比較に誘導しようとするものであり、学識経験者らによる真摯な検討過程を冒涜するものと言わざるを得ない。
4 近年の社会経済情勢に伴い雇用が不安定化していることや、高齢化が急速に進んでいるのに年金制度による社会保障機能が脆弱であることなどを考えれば、生活保護の利用者が増加するのは、むしろ当然のことである。
自由競争や自己責任が強調される一方で、貧困や格差が拡大し、本来、生活保護を利用できて然るべき人々が排除されている現状においては、むしろ、最後のセーフティーネットとされる生活保護制度の積極的な運用が期待されている。
 よって、本会は、厚生労働省の上記取りまとめ案の撤回を求めるとともに、来年度予算編成過程において生活保護基準を引き下げることに強く反対するものである。
  2012年(平成24年)10月18日
                    大阪弁護士会
会 長  藪 野 恒 明

週刊朝日による橋下徹氏に関する報道について

リバティおおさかで働く学芸員の組合である私たちは、週刊朝日による大阪市長であり日本維新の会の党首である橋下徹氏に関する報道について、連載の初回であり、今後の記事内容が不明ではあるものの、次のように考えます。
仮に今回の記事が、公人である橋下氏の人物像を深く掘り下げるという報道の意図があったとしても、市長は行政の施策によって、政治家は政策によって批判されるべきです。あるいは、市長、政治家としての振る舞いや人脈、金脈において批判されるべき存在です。被差別部落に本人やその家族が関わりを持つという社会的属性は、市長、政治家としての資質に何ら関係がありません。
今回のような報道が許されるのならば、今後、あらゆる被差別当事者を、本人の意思や努力とは全く関係のない事柄にもとづいて批判し、社会的な晒し者にすることを許すことにつながりかねません。それこそ、現在の日本社会でまかり通っている差別に他なりません。
今回の週刊朝日の報道は、部落差別をはじめとする、あらゆる差別を助長するものであると考え、抗議します。

第20回東九条マダンに出店します

☆今年も11月3日東九条マダンがあります☆
今年も、ぼちぼちカフェとしてマダンへお店を出します。
今年は第20回目ということで、マダン実行委員会のほうでもかなり気合いを入れて準備しています。秋はイベントが色々あって盛りだくさんでしょうが、ぜひ東九条マダンへも遊びにきて下さい。

☆第20回東九条マダン☆
 日時:11月3日土曜日 10時から16時半くらいまで
     (雨の場合、4日に順延になります。)
 場所:元陶化小学校 (一昨年の会場と同じ、京都事務所の向かい側辺り)

 ぼちぼちカフェ: ホットコーヒー 持ち寄りフリマ 労働相談
 去年に続いて美味しいホットコーヒーを出したいと思っています。
 マダン当日出店の手伝いをする方を募集中です。手伝いたい♪、手伝うよ☆、手伝ってもいいよ○、という方はぜひ、一緒にやりましょう。

マダンについては以下を参照下さい。
東九条マダンの公式ホームページ
http://www.h-madang.com/

「反貧困フェスタやねん!!」にお越し下さい。

チラシ表
「反貧困フェスタやねん!!」が、明日(10月14日)大阪は扇町公園にて、
http://antipoverty2012.com/?p=1259
が開催されます。(少雨決行・雨天中止)
貧困問題に関心を持つ、多種多様な団体がブース出展したり、イベント等を行ないます。
「ユニオンぼちぼち、ユニオンぼちぼちリバティおおさか分会」もブース出展します。
皆様、是非ご参加下さい。

11月3日の労働相談(京都)について

11月3日(土)は事務所のある地域の多文化共生のお祭り「東九条マダン」に参加のため、京都事務所での電話相談はお休みします。以下のメールフォームからの受付は随時しておりますので、そちらをご利用ください。

http://rootless.org/botiboti/mailform.php

 なお、会場の旧陶化小学校は、組合の事務所のすぐ南側。ぼちぼちはコーヒーの出店をやります。面接での労働相談はそちらで受け付けておりますので、よろしかったらお祭り参加とともに、そちらをご利用ください。

10月学習会のお知らせ

秋めいてきましたね。
直前になりましたが、10月学習会のお知らせをします。
10月学習会は「まめもやし」の会食に参加させていただくことになりました。

10月19日金曜日
10時から15時くらいまでです。

※10月19日(金)9時45分に地下鉄十条駅にて集まり、みんなで会場まで移動します
会食の手伝いをしたあと、まめもやしの村木さんからお話してもらいます。
解散予定15時くらい。(途中退席は可能です)
・参加申し込み〆切は10月11日(木)です。
・一緒に昼食をいただくので、実費300円は個人で負担をお願いします。
・学習会の企画なので、組合員には交通費は出ます。
10月の学習会は、京都事務所のある東九条地域を知るためのフィールドワークをおこなうという予定になっていました。フィールドワークといえば、地域を歩きまわって話をきくというイメージですが、今回は、NPO法人まめもやしの方たちが開催している市営住宅での会食に参加させていただくという形にしました。
東九条は、在日コリアンの多い町です。東九条地域で劣悪な環境で暮らさざるを得なかった方たちが入居した市営住宅にある集会所で、定期的におこなわれているこの会食では、いまの東九条を少し歩いただけでは知ることのできない、東九条で暮らしてきた高齢者の方たちの声が、少しでも聞けるかもしれないと思って、企画しました。

※参加申し込み〆切、10月11日(木)です。
会場の都合で、少人数しか受け入れできず、事前に申し込む必要があるので、〆切は厳守でお願いします。
また、事前学習をしてから来てほしいとのことなので、事前学習会を設定しました。

10月13日(土曜日)18時から京都事務所です。

もちろん、こちらだけの参加も歓迎です。また、この日に来れなくても、当日の会食に参加したいという方には、別途対応します。
締め切り直前のお知らせになり申し訳ないです。行きたいという方はご連絡下さい。
お待ちしてます。

10月20日(土)は定期大会なので労働相談をお休みします


10月20日(土)はユニオンぼちぼちの定期大会が開かれるため、京都事務所での労働相談はお休みします。以下のメールフォームからの受付は随時しておりますので、そちらをご利用ください。
http://rootless.org/botiboti/mailform.php

権利と聞いて何をイメージしますか?

ユニオンぼちぼち リバティ分会(大阪人権博物館学芸課・教育普及課分会)
 https://twitter.com/union_liberty
権利と聞いて何をイメージしますか?
 来館者にこの質問をすると、その答えからはいくつかの傾向がみえてきます。
 大人では、「人が生まれながらにもつ権利」や「人が人として生きる大切なもの」など権利そのものの特徴をあらわしたような答えや、「選挙権、生存権、肖像権、財産権」などといった個別の権利について書いてくれる人が多い感じです。
 またどうしてか、一定数の人が「義務」と書くのも大人によくみられる傾向となっています。
 では、子どもはどうか。「みんなが持っている権利」「人がその人らしく生きられる権利」などは大人と同じですが、「いじめ」や「差別」と書く子どもたちが少なからずいるのが大きな特徴です。
 
 次に、今まで受けてきた人権教育、人権啓発の内容について質問します。
 被差別部落、在日コリアン、アイヌ民族、障害者、パワーハラスメント・セクシュアルハラスメント、ジェンダー、人種差別など、その特徴は個別の差別問題があげられることです。
 これを受けて、①権利について書いた答えが、抽象的、具体的どちらだったか、②同じく、自分の生活に身近なものと感じるか、そうではないか、③受けてきた人権教育・人権啓発に「働く権利」と書いた人はいるか、とさらに質問を繰り返していきます。
 権利に対して抱いているイメージが抽象的か具体的かについては、そのおよそ7割が抽象的だったと答えてくれます。身近かどうかについても、6~7割程度が「身近ではない」に手を挙げます。
 受けてきた人権教育・人権啓発を数多く書いてくれる人も中にはいるのですが、「働く権利」と書く人はほとんどいません。子どもでは皆無です。
 この質問を考えたときに想像していた通りの結果にはなっているのですが、これが現状です。日本社会で権利がどのように受けとめられているかがよく分かりますし、状況はかなり深刻ではないかと感じています。
 人権のイメージが抽象的で自分に身近なものとは感じていないのですから、これではなかなか自分が人権をもっていると実感することはできません。まさに人権は、特別な場で特別な時間に学ぶものになってしまっています。
 最後に、「人権は誰のものですか?」と聞くと、多くの人は「全ての人のもの」と答えます。なのに、人権について繰り返し聞いたこれらの質問を考えるとき、自分に関わる質問だと感じながら考える人は多くないようです。「みんなのもの」なのに、そこに自分はいないのでしょうか。
 なぜこのような現状になっているのか。その問題を考えるとき、従来おこなわれてきた人権教育や啓発の問題を考えざるを得ません。
 質問に対する答えにも書いたように、人権教育や啓発でおこなわれている大半は、個別の差別問題に対する学習になっています。リバティに来館する団体が学芸員の解説で希望するテーマも、やはり多くは部落問題や在日コリアン、障害者の問題などになっています。
 もちろんこれらの問題も、被差別者の立場以外の人にこそ、自分自身が問われている問題だと考えて欲しいと思っています。しかし、リバティに来る子どもたちを見ていると、人権学習は固くて、重くて、面白くない、自分とは関係ないものだと感じていることがよく分かります。
 人権のイメージを聞かれて、「差別」と書くのも、人権学習は差別を受けて困っている人の話だと思っていることが影響しているのかもしれません。
 このような意識を変えていくためにこそ、労働に関する問題と働く権利の話を伝えていくことが必要だと思っています。
 若者が使い捨てにされるような労働環境が広がっており、非正規雇用の増加や正社員との収入格差、残業代の未払いや長時間労働の強制、違法な解雇の横行など、問題は深刻化する一方です。
 これらの問題が若者に広がっているのですから、高校生や中学生にとっても他人事ではありません。何人かの生徒は顔を上げて、話を聞いてくれるようになります。
 労働に関する厳しい状況を伝えていきますが、大事なのは、それが権利の侵害であると気づくこと、その前提として、働く権利の内容を知っておくことが必要です。そうでなければ、権利の侵害であると気づくことすらできなくなってしまいます。
 残業や深夜労働の割増賃金のことや有給休暇、解雇予告手当など、生徒たちには初耳の情報ですが、中には熱心にメモを取りながら聞いてくれる人もいます。「僕らはそういう権利を持っている!!」と力強く書いてくれた生徒もいました。
 これらの労働条件に関する基準は労働基準法に書かれていることも、合わせて解説しています。抽象的にイメージされがちな人権ですが、賃金など生活していくためにとても大切な基準が法律に書かれており、労働者が具体的に権利をもっていることを意識してほしいからです。
 厳しい労働環境、労働者がもっている権利とともに、もう一つ伝えているのが権利を守るために活動している人の実例です。
 紹介しているのは、メイド喫茶でアルバイトとして働いていた女性が、メールひとつで「今月いっぱいの契約とする」と解雇されたことに対し、裁判を起こして、解雇予告手当に相当する額を支払うという条件で和解したことを伝える新聞記事です。
 提訴した女性は、インターネットをもとに訴状を一人で書き上げたそうです。大人向けの研修でこの記事を紹介したとき、ある参加者が「すげぇ」という感想を思わずもらしていました。
 人権侵害に声をあげても、確かに放置されるままになってしまうことも少なくありません。また、一人ひとりが社会に関わり、社会を変えていく当事者であるという実感が弱いとき、このような状況はますます悪化していきそうです。声をあげていくのは、確かに難しいです。
 であるからこそ、権利侵害に異議を唱え、自分がもつ権利の一つをしっかりと守る
ことができた実際の取り組みを伝えたいんです。権利が自分を守り、社会を変えていくための武器となっていることを実感してもらいたいという思いで話をしています。
「子どもに夢や希望を与える展示になっていない」と大阪市長から言われたリバティの展示ですが、学芸員である私たちなりに希望を伝えているつもりです。それは、組合を立ち上げた私たちだからこそ、何よりも大事にしたいと思っている「希望」です。

次回手芸学習会のお知らせ

次回手芸学習会のお知らせです。
9月20日(木)15時~18時まで。ぼちぼち京都事務所にて行います。
※いつもより1時間遅めの開始となっています。ご注意ください。
手芸学習会はゆるゆるとした集まりですので、どなたでもお気軽にご参加ください。
なお、ぼちぼち組合員には交通費が支給されます。