【緊急カンパ要請!!】京都市「空き缶回収禁止条例」関連のトラブルで罰金刑を受けたAさんの支援にご協力ください

下記の要請を転載いたします。
********転送・転載歓迎**********
【緊急カンパ要請!!】京都市「空き缶回収禁止条例」関連のトラブルで罰金刑を受けたAさんの支援にご協力ください
 2013年1月17日、京都市上京区で、アルミ缶の収集を行っていたAさん(77歳)が、集めたアルミ缶を取り上げようとした京都市職員とトラブルになり、公務執行妨害容疑で逮捕される事件がありました。Aさんは、22日もの間身柄を拘束されたのち、2月7日に京都簡易裁判所から暴行・傷害の罪で罰金15万円の略式命令を受けました。
 生活困窮状態にあるAさんは、高齢と病気のために使用している自らの介護用品を買うために、アルミ缶の収集と売却を行っていました。苦しい生活を送るAさんは、罰金を期限の2月21日までに支払うことができません。このままでは、Aさんは留置され、労役を課されてしまいます。
 この事件の背景には、アルミ缶の収集が貧困者の生活を支える手段となっている実情と、通称京都市「空き缶回収禁止条例」の、法的な規定を逸脱した乱暴な運用の実態があります。生活苦からやむなくアルミ缶を集めていたAさんに無用で過酷な制裁が及ぶことを見過ごすことは、そうした貧困者への社会的暴力を容認することになりかねません。
 私たちは、Aさんの自由と尊厳、心身の健康がこれ以上無用に損なわれないために、Aさんの罰金を立替えるためにカンパによる緊急支援を呼びかけます。立替えたお金はAさんから分割で少しずつ返還してもらいます。そして、Aさんから返還されたお金は、問題解決に向けた行政との話し合い、情報公開請求等による条例の運用実態の監視、事件の大本にある貧困問題の解消など、「空き缶条例」に人権擁護の観点から向き合う活動に充てます。
 
 罰金の支払期限まで、ほとんど時間が残されていません。Aさんへの支援カンパを2月20日まで受け付けます。多くの方の素早いご支援が必要です。ぜひともご協力のほどよろしくお願いいたします。
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※Aさんへの支援カンパの受け付けは、2月20日までとします。それ以降に振り込まれたお金は、会の活動に直接あてさせていただきます。
【カンパ振込先】
◆ゆうちょ銀行からのお振り込み
記号:14450 番号:3809901 
加入者名:キョウトシアキカンカイシュウキンシジョウレイヲカンガエルカイ(京都市空き缶回収禁止条例を考える会)
◆ゆうちょ銀行以外からのお振り込み
ゆうちょ銀行 店名:四四八(ヨンヨンハチ) 店番:448 預金種目:普通預金 口座番号:0380990
口座名:キョウトシアキカンカイシュウキンシジョウレイヲカンガエルカイ(京都市空き缶回収禁止条例を考える会)
    
【事件の経緯と社会的意義】
 京都市では、2011年4月に、集積所に有料指定袋に入れて出された、アルミ缶を含む特定資源ごみを、市の指定を受けていない者が回収することを禁止する趣旨の条例(以下、空き缶条例と呼びます)が施行されました。今回の事件も、地域を巡回していた市職員が、条例を口実に、Aさんに注意をし、アルミ缶を取り上げようとしたことが原因の一端となって起こったのです。
 しかし、今回の市職員の対応は、条例の規定する範囲を越えた乱暴なものであった可能性があります。職員は現場でAさんを無断で動画撮影し、アルミ缶の入った黒いビニール袋を取り上げようとしたり、抵抗するAさんを羽交い絞めにしたりしたそうです。これらの行為は、条例に基づく違反者への対応のための内規に違反するものです。さらに、Aさんはコンビニなどの店舗や自動販売機の横に設置された回収箱からアルミ缶を収集していただけで、集積所からはアルミ缶を持ち去っていないそうです。そもそもAさんの行為が条例による規制の対象となるものではなかった可能性すらあるのです。Aさんは当初公務執行妨害容疑で逮捕されたにもかかわらず、最終的に暴行と傷害で略式起訴されました。このことからは、裁判所に市職員の行為が正当な公務を逸脱していたと認定される可能性が高いと判断した検察が、公務執行妨害での起訴を断念した事情がうかがえます。
 アルミ缶の収集は、野宿者や、Aさんのような生活困窮状態にある方にとって、残された数少ない、場合によっては唯一の生活手段となっている実態があります。空き缶条例は、制定以前から、人々のそうした生活の糧を奪うという生存権侵害や、生活困窮者に悪者のレッテルを張るという社会的排除につながることが危惧され、批判されてきました。条例案を審議した市会においては、野党の反対意見のみならず、与党議員からも人権擁護の観点からの慎重意見が相次ぎました。本案は市民を巻き込んだ激論の末に付帯決議とともに可決を見たという経緯があります。このように、運用に際して最大限の慎重さを要するはずの空き缶条例が濫用され、市民の生存や尊厳を脅かす口実となるならば、貧困問題が未解決の現状において基本的人権と空き缶条例はやはり相容れないと考えざるをえず、条例が形成を目指す「循環型社会」の価値も貶められかねません。
 この事件は、上記の理由で、単にマナー違反の市民が市職員を暴行した事件として片付けることは許されません。事件の根本にある問題の解決と再発防止のためには、繰り返される貧困者への社会的暴力に抗して、人々が生きる努力を互いに認め合い支えあう社会的な努力を重ねることこそが必要であると考えます。アルミ缶集めという、生きるための必死の営みの場が、この事件のような生活困窮者と行政の不幸な出会いの場ではなく、相互理解と貧困問題の解決に向けた出発地点になることを願います。
◆呼びかけ:京都市空き缶回収禁止条例を考える会
(連絡先:akikan.kyotoshi@gmail.com)

2013/02/02 【第4回「なんで有期雇用なん!?」集会】 つなげよう、首を! ~3年&5年の壁をぶち壊せ!~

2010年2月27日の第1回から、ぼちぼちが呼びかけ団体として参加している、《「なんで有期雇用なん!?」集会》(主催:「大学非正規労働者の雇い止めを許さない関西緊急集会」実行委員会)が、4年連続4回目の開催となります。
今年の会場は、非正規切り捨て型大学改革の牙城、大阪大学です。
これまでも非常勤教職員の雇用環境をことあるごとに切り下げてきた大阪大学ですが、このタイミングで、さっそく露骨に「改正労働契約法」を悪用してきました。
〈関西単一労働組合・大阪大学分会〉〈関西圏大学非常勤講師組合〉がこれと闘っています。
今回の「なんなん集会」は、この両労組の闘いをバックアップする意味もあります。
みなさんの力で、ぜひとも大阪大学にプレッシャーをかけましょう。
なお、今年も、集会後にデモと交流会があります。こちらもぜひご参加ください。
ということで、2月2日大阪大学豊中キャンパスへ!
よろしくお願いいたします。
◆【第4回「なんで有期雇用なん!?」集会】 つなげよう、首を! ~3年&5年の壁をぶち壊せ!~
 Info → http://nandenan0227.blogspot.jp/2012/12/435.html
 *上記ページからチラシのPDFデータをダウンロードできます。情宣のご協力も、よろしくお願いいたします。
◆集会への賛同メッセージとカンパのお願い
 http://nandenan0227.blogspot.jp/2013/01/blog-post.html

01/26:1月の定例カフェ報告

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本日1月26日(土)、定例カフェを開催しました。
参加者は5名。寒かったこともあり、少し少なめでした。
メニューは、具だくさんスープパスタ。
使った食材は、
・トマト(福岡県産)
・キャベツ(愛知県産)
・緑豆モヤシ(京都府産)
・ウインナー
・ペンネ
コンソメベースのシンプルなスープに仕上げました。
費用は1人あたり300円。
かなりたっぷりと食べることができ、非常におトク感がありました。
話題は、(パスタの話から派生して)イタリア語の特徴について、脱原発運動のなかでの「母でない女性(やトランスジェンダー)」の居心地の悪さについて、さらに一歩踏み込んでエコロジカル・フェミニズムについて……と、多岐にわたりました。議論、というかんじではなく、“私は実際にこう感じる”、“学者も運動現場の人も、こういう考えかたでやれればいいのに”という、感覚を大事にした意見のやりとり。これは、一つの鍋でできた料理を食べながら、というシチュエーションだからこそ出てくる雰囲気かなと思います。
2月も、何かあたたかいものをみんなで楽しくいただいて、ゆっくり話ができればいいなと思います。お気軽にご参加ください。【文責:M】

生活保護に関する緊急声明

■生活保護の支給基準額引き下げに反対し、むしろ増額を求めるユニオンぼちぼちの声明
現在、自公政権によって生活保護基準の引き下げが検討され、現実化しようとしている。
これまで様々な団体や人々によって批判されているように、基準引き下げは憲法に定められた生存権を脅かすものであり、生活保護受給者のみならず、全ての働く人々にも悪影響を与える所業である。
生活保護受給者へのバッシングにおいて、「働けるのにもかかわらず生活保護を受けている」といったことが言われるが、ことはそう単純ではない。
ユニオンぼちぼちにも、働ける年齢とされる稼働年齢層で生活保護を受給している組合員が所属しているが、その多くは長時間労働やパワハラ・セクハラによって「働けなくなった」のである。またもう一度働き始めようとするときに壁になるのも、過酷な労働環境である。
また保護受給者が働いていないというのも、誤った認識である。心身の調子が悪いながらも、できるときには仕事をしているものもいる。しかし賃金水準が低いために生活に必要な最低限の収入を得られず、その差額分を生活保護から得ている人が多い。生活保護基準が下げられると最低賃金の引き下げにもつながるが、基準引き下げと賃下げが連動して進む最悪の事態に至らないか懸念する。
バッシングによって保護受給から人々を遠ざけ、低賃金・長時間労働でも働かざるを得ない状況を作り出すことは、経営者から労働環境を改善させようという意欲を奪うだろう。なぜなら「代わりの労働者はいくらでもいる」と考えるようになるからである。にもかかわらず「働けるのにもかかわらず生活保護を受けている」とバッシングを続けることは愚行である。現在働けている人々にも悪影響をおよぼすので、今すぐ止めるべきである。
また医療費の一部自己負担が言われているが、そもそも生活保護受給に至った理由に疾病がある場合が多く、その治療は第一に優先されるべきである。負担が増えれば治療のために通院できず、さらに悪化することは目に見えている。ある程度の収入がある人で、生活保護で足りないぶんをもらっていた人が、生活保護から切り捨てられることによって、これまで受けられていた医療、福祉、教育に関わるサービスを受けられなくなる場合が出てくるであろう。特に子どものいる世帯では貧困の連鎖につながる可能性が大きく、政府は貧困問題を深刻にしたいのかとすら疑ってしまう。
生活保護費は最低生活水準から算出されることから、本当に生活を維持するためにギリギリの額であり、受給者は交友関係を維持することもままならない。このような孤独な状態は「人間らしい」とは言えず、また心身の回復にもよくない。今も、働いた結果として働けなくなった人たちが、最低生活費の制約の中で、友人や地域との関係も奪われ、部屋の中で孤独になっている。
むしろ保護費は引き上げられるべきなのである。
政策当事者は、もう一度「人が生きる」ということはどういうことなのか考え直してほしい。
浅はかな考えで、人の人生をムチャクチャにしないでほしい。
ユニオンぼちぼちは、政策としての根拠も合理性もない生活保護の基準額引き下げに反対する。
むしろ引き上げを要求する。

職務評価基礎講座

 均等待遇アクション21京都よりお知らせです。均等待遇実現のための有力な手段の一つである、職務評価という手法を基本から学べます。まだ未体験の方、ぜひお越しください。
---------- 転送メッセージ ----------

男女共同参画の必須アイテム
職務評価基礎講座
講師: 屋嘉比ふみ子

  ペイ・エクイティ・コンサルティング・オフィス PECO 代表

2013年1月27日(日)2:00~5:00
ウィングス京都2階会議室1・2

(チラシなどはブログhttp://kinto.blog52.fc2.com/参照)
あなたの仕事はどれだけタイヘン?
個人の評価ではなく、仕事そのものを評価して
あなたの仕事の価値=適正な賃金を知りましょう。
ワークシートを使った「カンタン職務評価」なら
誰でも簡単に職務評価が体験できます!
厚生労働省が出している欺瞞に満ちた“職務評価”の
インチキさもシッカリ検証!!
ぜひとも、ご参加ください。

対象: 関心のあるすべての方
定員: 40人
参加費: 資料代500円
申込: 当日、直接お越しください
保育: あり(1月13日までに要申込)

一般来館者用の駐車場はありません。公共交通機関をご利用ください。

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均等待遇アクション21京都
〒601-8003 京都市南区東九条西山王町1-15 -304
email: k21kyoto@gmail.com
TEL: 075-691-5175 (電話は月木の午後1~5時)
FAX: 075-691-5176
http://kinto.blog52.fc2.com/
郵便振替口座 00980-4-296529
共催 公益財団法人 京都市男女共同参画推進協
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年末年始の電話相談

みなさん、こんにちは
ユニオンぼちぼちの年末年始の電話相談は

京都 29日、1月5日、12日
大阪 1月7日(12月24日、31日は休み)

です。
またユニオンぼちぼち以外に
「寄り添いホットライン」というものがあり、こちらは24時間年末年始関係なく無料で各種の相談に乗ってくれます。
0120-279-338
周りの困っていそうな方にも教えてあげて下さい。

11月のカフェの報告


2週間ほど前のことになりますが、11月24日(土)定例カフェを行いました。
寒い時期になってきたので鍋をしました。一人あたり160円ほどと、かなり安上がりでした。ごはんも炊きましたし、追加でうどんを投入したので満足感もあります。
12月は22日(土)の17時頃からカフェをしますのでよろしければお越しください。

11月24日(土)定例カフェのお知らせ


明日は第四土曜日なので京都事務所でカフェがあります。17時くらいから始めて21時くらいまでやっていると思います。メニューは鍋の予定です。
この記事を書いているのは今月初めてカフェ担当をすることになった者です。料理には自信がありませんので、よろしければお手伝いに来ていただけると助かります。
それではよろしくお願いいたします。

富松国春さん追悼集会

 釜ヶ崎医療連絡会議より、表題の追悼集会が呼びかけられていますので、お知らせします。
 2012年10月14日(日)早朝、JR大阪駅高架下で、路上生活をしていた、富松国春さん(67歳)が、何者かに襲われ死亡したという事件は、まだ記憶に新しいと思います。
 この事件にどう対処して行くべきかということで、事件が起きてから、釜ヶ崎界隈等で、日常的に野宿者の支援活動を続けている諸グループが集まって、医療連事務所で、2回ほど話し合いを行ないました。
 昨晩も、この事件についての話し合いの日でしたが、とりあえず、富松国春さん(67歳)の追悼集会をしようということになりました。
 追悼集会の日時は、2012年11月16日(金)午後7時から9時までで、会場は、日本基督教団東梅田教会(住所:大阪市北区野崎町9の6)です。
 集会後、富松さんが殺害された現場まで出向き、追悼の献花等の取り組みも行う予定です。
 多くのみなさまの、追悼集会への参加を呼びかけたいと思います。 
2012年11月1日(木) 釜ヶ崎医療連絡会議 大谷隆夫

生活保護基準引き下げ反対 大阪弁護士会会長声明

 大阪弁護士会より、来年度予算で行われようとしている生活保護基準の切り下げに対して、声明が出されました。重要ですので、ここにあげます。長文ですが、よかったらお読みください。
厚生労働省のとりまとめ案の撤回を求め、
生活保護基準の引き下げに強く反対する会長声明

1 政府は、本年8月17日、「平成25年度予算の概算要求組替え基準について」を閣議決定した。そこでは、「特に財政に大きな負担となっている社会保障分野についても、これを聖域視することなく、生活保護の見直しをはじめとして、最大限の効率化を図る」との方針が強調されている。また、厚生労働省が公表した平成25年度の予算概算要求の主要事項では、「生活保護基準の検証・見直しの具体的内容については、予算編成過程で検討する」とされている。そして、本年10月5日に開催された社会保障審議会生活保護基準部会において、厚生労働省は、第1十分位層(全世帯を所得階級に10等分したうち下から1番目の所得が一番低い層の世帯)の消費水準と現行の生活扶助基準額とを比較するという検証方針を提案した。
これら一連の事実から、本年末にかけての来年度予算編成過程において、厚生労働大臣が、生活保護基準の引き下げを行おうとすることは必至の情勢にある。
2 しかしながら、生活保護基準は、いうまでもなく憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」の基準であって、わが国の生存権保障の水準を決する極めて重要な基準である。生活保護基準が下がれば、保護が廃止される者や、保護費が減少する者が大量に発生するだけでなく、最低賃金の引き上げ目標額が下がり、労働者の労働条件にも重大な影響が及ぶことになる。また、生活保護基準は、地方税の非課税基準、国民健康保険の保険料・一部負担金の減免基準、介護保険の利用料・保険料の減額基準、障害者自立支援法による利用料の減額基準、生活福祉資金の貸付対象基準、就学援助の給付対象基準など、医療・福祉・教育・税制などの多様な施策にも連動しているから、生活保護基準の引き下げは、これらの施策を利用している低所得層の人々にも重大な影響を与えることになる。
このように、生活保護基準は、わが国の生存権保障の基盤を支える重要な基準であるから、生活保護利用当事者を含む市民各層の意見を十分に聴取したうえで、多角的かつ慎重に決せられるべきものであり、財政目的ありきで政治的に決することは到底許されない。
3 さらに、厚生労働省が提案した上記の「第1十分位層を基準に生活扶助基準額と消費水準を比較する」という手法については、その妥当性、合理性に極めて大きな問題がある。
まず、平成22年4月9日付けの厚生労働省の発表によっても、わが国の生活保護の「捕捉率」(制度の利用資格がある者のうち現に利用できている者が占める割合)が15.3%~29.6%と推計されていることからすると、生活保護基準未満の低所得世帯のうち7割以上が生活保護を利用していないことになる。このように生活保護基準以下の生活を余儀なくされている「漏給層(制度の利用資格のある者のうち現に利用していない者)」が大量に存在する現状においては、低所得世帯の消費支出が生活保護基準以下となるのは当然のことである。にもかかわらず、低所得世帯の中でも極めて所得の低い第1十分位層の消費水準との比較を根拠に生活保護基準を引き下げることを許せば、保護基準を際限なく引き下げていくことにつながり、合理性がないことは明らかである。
また、昭和59年以降採用されてきた生活保護基準の検証方式である「消費水準均衡方式」は、中央社会福祉審議会が、生活保護受給世帯の消費水準を「一般国民の消費実態との均衡上ほぼ妥当な水準」であるとし、その均衡(格差)をそのまま維持せよと意見具申したのをうけて導入されたものである。その際、生活保護基準の妥当性検証の前提とされたのは、平均的一般世帯の消費支出、低所得世帯(ここでいう低所得世帯とは、第1十分位層よりずっと高めの第1五分位と第2五分位の世帯であった。)の消費支出、被保護世帯の消費支出の3つの間の格差の均衡に留意するということであり、第1十分位層の消費支出に生活扶助基準を合わせるというものではない。
そもそも、平成23年2月からの生活保護基準部会においては、比較対象を第1十分位層とすることについて、委員からさまざまな疑義が示されて来た。上記の厚生労働省の取りまとめ案は、こうした議論を反映させることなく、生活保護基準の引き下げという結論が先にありきで第1十分位層との比較に誘導しようとするものであり、学識経験者らによる真摯な検討過程を冒涜するものと言わざるを得ない。
4 近年の社会経済情勢に伴い雇用が不安定化していることや、高齢化が急速に進んでいるのに年金制度による社会保障機能が脆弱であることなどを考えれば、生活保護の利用者が増加するのは、むしろ当然のことである。
自由競争や自己責任が強調される一方で、貧困や格差が拡大し、本来、生活保護を利用できて然るべき人々が排除されている現状においては、むしろ、最後のセーフティーネットとされる生活保護制度の積極的な運用が期待されている。
 よって、本会は、厚生労働省の上記取りまとめ案の撤回を求めるとともに、来年度予算編成過程において生活保護基準を引き下げることに強く反対するものである。
  2012年(平成24年)10月18日
                    大阪弁護士会
会 長  藪 野 恒 明