組合員のMです。
去る9月30日、大阪府立西成高等学校の2年生の授業「人権総合学習講座」でゲスト講師を務めてきました。
西成高校は、以前から「反貧困」を軸にした人権総合学習に力を入れていて、2009年にはその取り組みの成果を『反貧困学習――格差の連鎖を断つために』として発表、そして2010年にはユニオンぼちぼちのメンバーとともに『〈働く〉ときの完全装備――15歳から学ぶ労働者の権利』という教材本を出しています。
さて今回設定したテーマは、「「ワーキング・プア」はみんなの問題――働き方・生き方をどう(助けあいながら)変えていけるのか」。
2時間分ある授業の前半は、「官製ワーキングプア」・「高学歴ワーキングプア」を含むワーキングプア問題全般についてニュース映像などを使って解説しました(参考:【教材例1】・【教材例2】・【教材例3】・【教材例4】)。
後半は、グループワークでロールプレイをやってみました。学生のみなさんに与えたテーマは「正社員の労働組合は、同じ会社の非正規の人たちの問題にどう対処できるのか、すべきなのか?/もし会社の組合が対応してくれなかったら当事者や支援者はどうすればよいのか?」というもの。①正社員と同じ職場で同じ仕事をしているのに差別的な待遇を受けている契約社員ツモリさん、②ツモリさんからなんとかしてほしいと相談を受けた、その会社の組合役員のシオミさん(正社員)、③組合の委員長、④会社の社長、という4人の登場人物を設定し、4人1グループで配役を決め、それぞれ自分だったらどのように動き、誰にどう働きかけるのかを考えてもらい、実際にやりとりをしてもらいました。
最初はどう考えてよいのかわからなかった学生さんたちも、「たとえばこう返されたらどうする?」「あきらめる前にどんな方法があるかな?」と問いかけると、悩みながら頭をひねっていました。
結果、3つのグループが出した答えは、「組合をあげて、ツモリさんの待遇を良くするために広く署名活動をすることにした」、「組合委員長は契約社員の問題にはとりあってくれなかったので、シオミさんとツモリさんで独自に抗議行動をすることにした」、「組合として社長を説得しようとしたが、経営難だからしょうがないと返されてそれ以上反論できなかったので、泣く泣くツモリさんにあきらめてもらうことにした」、という、それぞれ非常にリアルな答えでした。
それを受けて、学生さんには、「いちばん困っている、立場の弱い非正規の人のことを、同じ職場の正社員やその組合がどれだけ考えて行動できるのか・すべきなのか」がポイントになることと、「会社の組合が味方してくれなかったとしても、地域の個人加盟ユニオンなど、弱い立場の労働者を支えてくれる組織があること、積極的にそれらを頼ってよいこと」を強調しました。
そして最後に、「たとえ理不尽であっても、そういう契約ならしょうがない」と思ってあきらめてしまいがちな典型例「有期雇用」の問題についても、「そもそも合理的な理由がないのに期間を定めた雇用形態をとってはいけない」こと、「1年契約を毎年ずっと繰り返すような雇われかたをしてきて、あるときいきなり契約を打ち切られたとしたら、それは闘えば撤回させることができるし、期間の定めのない雇用形態に移行させることもできる」ことを伝えて、「どんな弱い立場の人でも、おかしい労働条件はみんなで闘うことで変えることができる」ことを理解してもらいました。
拙い授業につきあってくれた学生さんにはありがとうと言いたいです。また、このような場を提供してくださった西成高校の先生方にも深く感謝申し上げます。
西成高校で出張授業
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