「なか卯」の賃金未払いについて

ユニオンぼちぼちに、「なか卯」で働くアルバイト学生から、「働いた時間を休憩時間にされ、その分の賃金が減るが問題ではないのか」という相談がありました。社員から「売上が少なかったから就労時間を減らして休憩時間にする」といったようなことを言われたそうです。もちろんそのような労務管理は問題ですし、支払われなかった賃金は請求することができます。
このような労務管理は、同じゼンショー系の「すき家」で採用されてきた「労時売上」という指標が「なか卯」でも使われているからだと考えられます。「調査報告書」(「すき家」の労働環境改善に関する第三者委員会)によると、「労時売上」とは「店舗従業員(社員・アルバイトを含む。)1人当たりの1時間当たりの売上金額」のことで、それを気にするため労働者は実際の労働時間を報告せずに不払い労働をする/強いられる傾向にあったそうです。今回の「なか卯」の相談でも、社員が売上のことを気にして就労時間を減らしており、「労時売上」が原因だと考えられます。
「なか卯」で働いたことのある方には身に覚えのあることだと思います。
未払い賃金は記録があれば(すでにやめていても)2年前までさかのぼって請求することができるので、ぜひユニオンぼちぼちやお近くのユニオンにご相談下さい。

「すき家」の労働環境改善に関する第三者委員会「調査報告書」(18-20ページ)
(2)サービス残業
① 社員について
(略)
(ii)労時を意識したサービス残業
 すき家においては、労働生産性・効率性を高めるため、「労時」ないし「労時売上」(店舗従業員(社員・アルバイトを含む。)1人当たりの1時間当たりの売上金額)なる指標が導入されている。労時は、まず基本シフトを作成する際に用いられる。具体的には、本部が予測する一定期間の売上高を本部が定める一定金額(以下「設定労時」という。)で割ることにより、当該期間において投入可能な労働時間が決定され、これに伴い、各時間帯の投入可能な従業員数が決定される。そして、各店舗従業員は設定労時を上回ることを目標として日々稼働するのが実態となっている。
 かかる労時は、毎月、Z社の取締役会に対して報告されているだけでなく、現場においても、簡易な管理指標として用いられている。したがって、現場のマネージャー及びクルーの中には、労時売上を意識して稼働する者が多い。
 その結果、AMは、自らサービス残業を行い、クルーに対しても実際の労働時間をデイリー勤怠報告書に記録しないよう求める実態が認められる。
 実際、社員の退職理由の中にも、「勤務(残業)時間について、面接などでデイリーをつけられないのはおかしい。15~20分の労働時間について、残業をつけないのもおかしい。」、「シフト調整時間も労働時間にしてほしい」、「デイリーは削れと言われる。(移動時間はつけるな)」との声がある。
 また、アンケート(社員)においても、約68%(会社回収分)・約66%(委員会直送分)の社員がサービス残業をたまに又は頻繁にする旨回答しており、そのうち、約35%(会社回収分)・約55%(委員会直送分)が労時売上を確保するためと回答している。
② クルーについて
(略)
(ii)労時を意識したサービス残業
 以下のとおり、クルーについても、労時を意識させられる結果、サービス残業が行われていることが認められる。
まず、アンケート(アルバイト)の約80%の回答者がサービス残業をたまに又は頻繁にする旨回答している。その自由記載欄において、多数のクルーから、労時が重視される結果、サービス残業をさせられている旨の指摘がなされている。そのほか、設定労時が達成できない場合、人員の削減につながり、業務が過酷になることを恐れ、労時を確保するためにサービス残業をしている旨の指摘も複数みられる。
 同アンケートの約46%の回答者がサービス残業の理由として「実際の労働時間どおりの申告をしづらい雰囲気がある」を選択しているのは、労時意識の反映とみることもできよう。
 また、クルー相談窓口には、2013年4月1日から2014年3月31日の間に、サービス残業に関し、クルーから、「売上がなく時間を削るよう言われているが、働いているのにデイリーに付けられないのはおかしい」、「残った分、0.5-1hをデイリーに付けてもいいのか。CFから基本的に付けてはいけないと聞いた」などと言った声が多数寄せられている。
 その上、当委員会がヒアリングしたクルーの中にも、牛すき鍋の仕込みのために、本来休みの日に店舗で作業をしたり、あるいは勤務時間を3時間延長したりしたものの、AMから労時に関する指摘を受けることを考慮して、労働時間として申告しないこととしている者や、AMの意を忖度して1時間残業しても30分しかつけないこととしている者が認められた。
 Z社は、労働基準監督署から、すき家各店舗の従業員から情報が寄せられたとして、「すき家各店舗において、1時間当たりの売上が目標に達しないような場合、実際には各労働者が労働に従事している時間であるにもかかわらず、休憩時間を取得したとして処理するよう事業者側から指示され、その結果、賃金の一部が支払われないこと」がないか調査するよう指導されている。

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