立命館大学が労基法違反で指導を受けました。

昨年12月27日にユニオンぼちぼちは、労働者代表が事業場の全労働者の過半数を代表していない法律違反の状態にあると知りながらも、これを学校法人立命館大学が放置し隠蔽しているとして労働基準監督署に申告をしました。労働基準監督署は、この申告内容が労基法違反であることを認め、本日1月30日に立命館に対して指導を行いました(よって時間外労働に必要な手続きである三六協定も無効になり、残業・休日出勤を命じることが労基法違反になります)。

つまり、5年雇い止めを可能にする項目を含む「授業担当講師」の就業規則は、適正な手続きを経て選ばれた労働者代表への聴取を欠いたまま改定されたことになります。今後ユニオンぼちぼちは、この改定が労基法違反であったとして刑事告発を行う予定です。

私たちは年度末が迫るなか早期の団交開催を何度も求めてきましたが、2月1日より始まる受験で忙しいとの理由で法人側が譲らず、団交は2月13日になりました。その間、 法人より関西圏大学非常勤講師組合に対して、授業担当講師の就業規則にもとづく雇止めに問題はないとする回答が送られてきました。その回答に私たちは強い憤りを覚えており、「授業担当講師制度」の廃止、雇い止めの即時撤回を引き続き求めていきたいと考えております。

「授業担当講師」に関する問題点は下記の記事をお読み下さい。
http://rootless.org/botiboti/blog/blog-entry-2381

非正規労働者の増加と労働組合の組織率の低下により、職場の労働者の過半数以上を加入させている組合は少なくなっており、労働者代表選挙が行われるべき職場は増えているはずです。しかし、非正規労働者を排除したまま選挙を行うなど、民主的な手続きが行われないまま労働者代表が選ばれ、非正規労働者の雇い止めを可能にする就業規則の改定が行われてきました。

ユニオンぼちぼちは、授業担当講師制度(その他の立命館大学における非正規労働者の更新上限)が、制度そのものがひどいだけでなく、非正規労働者のいないところで決められてきたことも問題視してきました。当事者のいないところで、当事者の生活を決めないでほしい、“Nothing About Us Without Us”です。

今回の労基署の判断は、直接雇用された労働者全員を有権者とし、かつ投票率が過半数を超えなければ正式な労働者代表ではないと明確に認めるものです。非正規労働者が職場の意思決定に参加する機会を広げるという意味で民主主義の発展につながるものであり、また直近の課題である「5年雇い止め」問題においても威力を発揮するものだと考えられます。

まずは立命館大学に「授業担当講師制度」の廃止を認めさせるために頑張っていきます。
今後ともご支援、ご注目下さい!

—以下、労基署に提出した申告書

京都上労働基準監督署長 殿
労働基準法違反に関する申告書

2017年12月27日
申告者(略)

違反者
〒 603-8577
所在地 京都府京都市北区等持院
名称 学校法人立命館(衣笠キャンパス)
代表者 理事長 森島 朋三
電話番号 075-465-8144

労働基準法104条1項に基づき、下記のとおり労働基準法に違反する事実を申告いたします。



1 当事者
違反者は、学校法人であり、京都市北区、京都市中京区、大阪府茨木市、滋賀県草津市などに事業場をもつが、申告者が雇用され勤務していたのは北区の事業場である。申告者は、(中略)2016年度末まで学校法人立命館大学において非常勤講師として勤務していた。

2 労働基準法に違反する事実
申告者は、2012年度から全事業場の労働者代表選挙を選挙管理委員を設けて運営してきた。選挙管理委員には、正社員が構成員である教職員組合、非正規雇用が構成員である関西圏大学非常勤講師組合、関西非正規等労働組合ユニオンぼちぼち立命館分会、ゼネラルユニオン立命館分会が入り、これを共同運営した。しかし、この労働者代表選挙は、2012年度から2017年度まで、中京区の事業場を例外として、当選した労働者の得票数が事業場の全労働者の過半数を上回ったことはないので、労基法に違反している。

当初、選挙管理委員会は労基法にある過半数代表の意味を解することがなかったので、法令違反の状況を認識していなかった。2015年度、学校法人立命館は違法状態を認識しながらも、これを放置し隠蔽しようとした。2016年度、選挙管理委員会を運営する教職員組合は違法情勢を認識しながらも、放置し隠蔽しようとした。2015年秋、関西圏大学非常勤講師組合、ユニオンぼちぼち立命館分会、ゼネラルユニオン立命館分会が共同団体交渉を行い、労働者代表が聴取を受けた就業規則改定が争点になった。2016年度から立命館大学が就業規則を改定して設ける新制度「授業担当講師」制度の撤回を求めた団体交渉だった。この制度では、2016年度以降に雇用される非常勤講師を授業担当講師と名称変更され雇用上限 が5年となる。さらに、2013年度以降専門研究員等の有期雇用で雇用され、かつ2016年度以降に授業担当講師として雇用された者を、通算5年の雇用上限として計算し、2018年度で雇い止める制度である。これは学校法人立命館大学が改正労働契約法の無期転換権を回避する脱法的な仕組みであった。同団体交渉において、労組側は、早稲田大学の事例をあげ、労働者代表選挙の手続き不備を理由に、36協定と就業規則改定は無効になるではないかと主張したが、法人は労働者代表選挙の運営は選挙管理委員会に委ねているので関知しないと述べた。また、労組側は、法人に対して労基法違法か否かを上労基署に確認をするようにと再三にわたって求めたが、法人は法人顧問弁護士が違法状態にないと意見したと述べ、労基署への確認は行ったとしながらも、どの労基署にどのような説明で行ったかについては情報を開示しなかった。2016年5月28日、ユニオンぼちぼち立命館分会は、選挙管理委員会に意見書を送付し、労働者代表が違法状態にあると主張した。しかし、選挙管理委員会を主となり運営する教職員組合は違法状態にあることを認識しながらも、かりに事業場の全労働者の過半数得票をえられなかった場合でも選挙第一位の当選者がその資格を有するとする内部規定を設ける旨の協議をし、違法状態を放置し隠蔽しようとした。
上記のとおり、学校法人立命館大学は、同法人の労働者代表が事業場の全労働者の過半数を代表していない法律違反にあると知りながらも、これを放置し隠蔽している。

3 是正措置の申立
違反者の行為は、労働基準法第104条第2項に違反する。よって、速やかに調査を行うとともに是正措置をとられるよう求める。

4 添付資料
・2016年5月27日の選挙管理委員会の記録 写し 1通
・2016年7月22日付立命館大学からの回答書 写し 1通
・2016年7月31日付選挙管理委員会のまとめ文 1通
・2017年度労働者代表選挙結果通知 写し 1通

以上。

4 thoughts on “立命館大学が労基法違反で指導を受けました。

  1. ピンバック: 立命館大学の雇用問題の解説 | ユニオンぼちぼちブログ

  2. 実名は書けません

    立命館は非道です。配偶者が病気で介護を必要としていても唯一の同居家族である立命館職員を休ませません。配偶者は食事も取れず、一人で病気と闘うしかありません。また、配偶者の父が亡くなり、諸事情で死去から一週間後に納骨をする事になった時も、入試を理由に職員を休ませず、身体に支障があり一人では納骨に参列出来ない配偶者は、他の親族が参列する中で、唯一、実父の納骨に参列する事が出来ませんでした。実父の納骨に参列出来ず悲しみにくれる配偶者に立命館職員は、自分が出勤しないと入試が出来ないと言いました。しかし、人間は完全では無いのですから急病や事故に遭う事も有ります。そんな時、立命館は入試が出来なくなるのでしょうか?多数の受験生を集めながら、たった一人の職員が休んだら入試が出来なくなる様な体制で入試を実施するのが立命館です。教育機関である学校法人が、職員や、その家族の人権すら守らない。それが学校法人立命館です。ですから、労働法違反で指導を受けたくらいで改善する事など、立命館では有り得ません。

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  3. 立命館分会

     立命館分会の者です。コメントいただき、本当にありがとうございます。読ませていただき、なぜ周囲の人が協力できなかったのか、なぜ上司が対応できなかったのかと、悲しく思いました。入試業務は、他の方に代替してもらうのが当然の状況です。ご家族もご本人も深く傷つかれたと思ます。
     今回の労基署からの是正勧告や指導は私たちにとっても第一歩でしかありません。勤務体制の見直しや、有期雇用労働者の無期転換などに舵取りをするように、学内の力のある人たちが動くべきです。一つの企業の体質が変わるのは簡単なことではないと思いますが、私たちも頑張ります。
     希望されるようでしたら、お電話やメールで私たちにご相談ください。一緒に考えたいです。もちろん匿名でけっこうです。

    返信
  4. ピンバック: 立命館関連のまとめ(2015年9月25日〜2018年2月16日) | ユニオンぼちぼちブログ

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