カテゴリー別アーカイブ: 知識

非正規雇用労働者の社会保険の加入対象拡大

非正規雇用労働者の社会保険の加入対象が来年10月から拡大されるようです。

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/2810tekiyoukakudai/

従来の一定以上の雇用期間かつ、正社員の4分の3以上の労働時間というのに加えて、以下の5つの条件を満たす人も対象になるそうです。
1.1週の所定労働時間が20時間以上であること。
2.雇用期間が継続して1年以上見込まれること。
3.月額賃金が8.8万円以上であること。
4.学生でないこと。
5.常時500人を超える被保険者を使用する企業(特定事業所)に勤めていること。

対象となる人、けっこういそうなのでお知らせでした。

ユニオンぼちぼち学習会「偽装請負と労働災害」

先日ぼちぼちで取り組んだ学習会のレジュメを公開します。

テーマは「偽装請負と労働災害」です。請負と雇用契約の違い、労災保険法上の労働者性など基本的なことを丁寧に学びました。

ユニオンぼちぼち学習会2016年6月13日

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なんなん学習会「不更新合意の成否及び効力」

昨日参加した学習会の報告です。

そのサイン、ホンマに同意なん!?
――最新の最高裁判決から考える非正規労働者のためのサバイバル術

http://nandenan0227.blogspot.jp/2016/05/201661814001630-1330-plp-39-27-43-jr5.html

内容は、有期雇用の不更新条項にサインしてしまったとして、どのような場合は合意が成立し、あるいは成立した同意はどのような場合に有効となり、どのような場合に無効になるのかを民法と労働法をまたいで考えてみるというものでした。

一度成立した同意は心裡留保、錯誤、詐欺・脅迫、の場合は否定されるが、それに加えて「労働者の自由意思に基づく同意」がない場合には「合意」の成立を否定するという考え方が提示されました。

山梨県民信用組合事件など最新の判例や、主催組合の事例などを踏まえてとても濃かったです。

レジュメのデータを添付しておくので役立ててください。

不更新条項の効力

【レジュメの誤字】

5項目 (4)の9行目「退職金を給料の一部として受領する旨をBに通告していなどの」

→「退職金を給料の一部として受領する旨をBに通告しているなどの」

11項目 2の見出し「日新製鋼事件・最二小藩平2.11.26民集44巻8号1085項」

→「日新製鋼事件・最二小判平2.11.26民集44巻8号1085項」

【転載】「鮮度が落ちるから入れ替え」ベローチェ雇い止め訴訟が和解…元バイト女性に解決金

カフェ・ベローチェでの雇い止め訴訟が和解になったというニュースが入ってきました。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160216-00004297-bengocom-soci

この件はかなり早い段階から話を聞いていて、「鮮度が落ちるから入れ替え」という表現に衝撃を受けたのでよく覚えています。

 

この従業員の方は「尊厳が回復されないまま諦めるのはいやだった」とのことですが、ユニオンぼちぼちでもそのような気持ちを応援しておりますので、納得のいかない雇い止めや会社からの発言などがあればご相談ください。

 

労働問題グループ・ディスカッション資料

ユニオンぼちぼちの組合員が大学の出前授業で行った労働問題グループ・ディスカッションの資料を共有します。架空の例です。

 

問題(1)「アルバイトを辞めさせてくれない居酒屋チェーン店」

◯こんなトラブルにあいました(5分)

    • 大学3回生の10月、就職活動の準備に入りたい、大学の単位をきちんととりたいと考え、シフトを減らしたい、と店長にお願いしました。
    • しかし、店長からは「人手不足なので、仕事を減らすことはやめてほしい」「学業とアルバイトと就職活動をいかに両立させるのか、この経験は社会人になってからも必ずいきる」「いままで育てたことを恩義に感じないのか」と言われてしまいました。
    • 1ヶ月後、「やっぱり今後のことに不安があるので、コマ数を減らしたいです」とお願いをしました。
    • けれども、店長は「この時期に人を探すのは難しいし、急に来ないと言われると損害が発生するだろう。来ない分はオレが穴埋めするが、その分損害が発生するからお前の給与から差し引くからな」と言い放ちました。また「お前のような人間はろくな社会人にならない」「就職活動も失敗する」「馬鹿野郎」「恩知らず」「お前の性格には欠陥がある」と、他のアルバイトもいる前で、1時間ほど、大きな声で繰り返し罵られました。
    • 店長に罵られてから、気分が落ち込んでしまい、お店のことを考えると動悸が激しくなりました。眠ることや食べることも、難しくなりました。店長に連絡することも難しく、アルバイトスタッフの友人に欠勤すると伝えました。1週間の間、店長からは何度も携帯電話に着信がありました。留守番電話も10件ほど入っていました。恐ろしくて聞くことができませんでした。実家にまで電話があり、母親から連絡があって心配してくれました。事情を話すと父親と母親は怒って味方になってくれました。「店長の考え方は社会人としておかしい」と言ってくれました。
    • 店に行けなくなって2週間後、店長から20万円を請求する損害賠償請求書が送られてきました。最後に働いた1ヶ月分の給料5万円と損害20万円を一部相殺するので15万円を請求する、と書いてありました。
    • 店長とのやりとりを、ようやく思い返すことができるようになりました。あなたはどうしても店長が許せなくなりました。

◯ひとりで考えてみてください(5分)

  • この一連の事件のどこに問題があると思いますか。問題点を思いつくかぎりすべてあげてください。
  • あなたはどこに怒りを感じましたか。
  • あなたなら、まず誰に相談しますか。どんな助言をしてくれると思いますか。
  • あなたが相談されたら、相手にどのような声をかけますか。
  • あなたにとって、この事件の解決とは何ですか。
  • 問題を解決するにはどのような手段があると思いますか。

◯ディスカッションしてみましょう(10分)

  • この事件の問題点と解決方法をみなさんで話し合ってください。議論の中身は後で発表してもらいます。

◯シェアしましょう(10分)

 

問題(2)「アルバイトに労災がないという人材派遣会社」

◯こんなトラブルにあいました(5分)

  • 大学2回生、イベント会場設営の派遣アルバイトをしていました。給与明細には、毎月保険料という欄があり、1000円が天引きされていました。
  • ある日、ライブ会場の設営で、ライブ機材の運搬を数人でやっていました。機材は数百キロの重さがあって、重さに耐えかね、足の上に落としてしまいました。ものすごい痛みがあり、叫びました。歩くこともできなかったので、作業を中断して帰宅しようとしました。スタッフからは勝手に帰るなと言われ、作業終了まで現場にいました。
  • ずっとうずくような痛みが続き、足は紫色に変色して膨れ上がり、靴が履けなくなりました。近所の外科を受診したところ、右足の甲部骨折の診断を受けました。
  • 仕事もできない状態で、通院費も初回だけで1万円以上したので、会社に電話しました。社員から、「仕事は入れないということですね。困るなあ。。でも分かりました。こちらで何とかします。またこちらから連絡します」と言われました。保険の話にまったくならなかったので、自分から通院費などはもらえないかと尋ねてみました。「アルバイトには労災はないんだよ。知らないの?」と言いながらも、社員は仕方なさそうに、「なら領収書を送って。月末に振り込むから」と言いました。
  • 翌日に領収書を会社に送りましたが、社員の機嫌を損ねてしまったと感じ、萎縮して連絡できませんでした。会社からの電話はありませんでした。月末になっても、医療費の振り込みはありませんでした。
  • インターネットで調べたら、アルバイトでも労災はとれるというようなことが書いてありました。ひょっとしたら会社も知らないのかもしれないという考えがわきました。
  • 会社に電話すると、いつもの社員が出ました。「何?」と高圧的に言われて怖くなりました。「アルバイトでも労災があるとインターネットに書いてあって、もしかしたらご存知ないかもと思いまして」と言いました。話している最中に、受話器の向こうで、大きなため息が聞こえました。「いいかげんにしろよ。うちではアルバイトには労災はねーんだよ」と怒鳴られて、向こうから電話を切られました。
  • 数日後、解雇通知書が送られてきました。怒鳴られたことよりもショックでした。
  • 大学の友達に相談したら、「ひどいね。それブラック企業だよ。何かするなら絶対に手伝うし」と声をかけられて、安心しましました。
  • このまま引き下がったら、自分と同じように嫌な目にあう人が出るだろうと思うと、何か行動をしたいと感じるようになりました。

◯ひとりで考えてみてください(5分)

  • この一連の事件のどこに問題があると思いますか。問題点を思いつくかぎりすべてあげてください。
  • あなたはどこに怒りを感じましたか。
  • あなたなら、まず誰に相談しますか。
  • あなたが相談されたら、相手にどのような声をかけますか。
  • あなたにとって、この事件の解決とは何ですか。
  • 問題を解決するにはどのような手段があると思いますか。

◯ディスカッションしてみましょう(10分)

  • この事件の問題点と解決方法をみなさんで話し合ってください。議論の中身は後で発表してもらいます。

◯シェアしましょう(10分)

 

これは架空の例ですが、同じようなことがあって相談したいということであればご連絡ください。また、出前授業などのご依頼も可能な範囲でお受けしています。

マイナンバーの提供を職場で求められたときの対応

組合員の方からマイナンバーの提供を職場で求められたときの対応について相談を受けました。同様の悩みを抱えている方もいると予想されるので、ここにまとめておきます。
1.結論
お忙しい方のために先に結論を書きます。「マイナンバーの提供に協力する義務はあるが、提供を拒否したからといって法律上の不利益はない」です。職場内の担当者や上司から嫌がられるといった事実上の不利益については何とも言えません。
2.なぜ職場でマイナンバーの提供を求められるのか
そもそもなぜ職場でマイナンバーの提供を求められるのでしょうか。それは所得税、住民税、雇用保険、健康保険、厚生年金の手続きのためです。これからは順次これらの制度のための書類にマイナンバーを書く欄が出てくるのです。この欄を埋めるためにマイナンバーの提供を求められるわけです。
3.マイナンバーを提供しなかったらどうなるのか
もしマイナンバーを提供せずに、所得税や雇用保険、健康保険、厚生年金のマイナンバー欄が空白だったらどうなるのでしょうか。長くなりますが、担当省庁の回答を引用します。
・国税庁(所得税担当)の回答

Q2‐10 従業員や講演料等の支払先等から個人番号の提供を受けられない場合、どのように対応すればいいですか。
(答)
法定調書作成などに際し、個人番号の提供を受けられない場合でも、安易に個人番号を記載しないで書類を提出せず、個人番号の記載は、法律(国税通則法、所得税法等)で定められた義務であることを伝え、提供を求めてください。
それでもなお、提供を受けられない場合は、提供を求めた経過等を記録、保存するなどし、単なる義務違反でないことを明確にしておいてください。
経過等の記録がなければ、個人番号の提供を受けていないのか、あるいは提供を受けたのに紛失したのかが判別できません。特定個人情報保護の観点からも、経過等の記録をお願いします。
なお、法定調書などの記載対象となっている方全てが個人番号をお持ちとは限らず、そのような場合は個人番号を記載することはできませんので、個人番号の記載がないことをもって、税務署が書類を受理しないということはありません。
(出典:国税分野におけるFAQ|お知らせ|国税庁
https://www.nta.go.jp/mynumberinfo/FAQ/04kokuzeikankei.htm

・厚生労働省(雇用保険の担当)の回答

Q11 従業員から個人番号の提供を拒否された場合、雇用保険手続につ いてどのような取扱いとなるのか。
(答) ○ 雇用保険手続の届出にあたって個人番号を記載することは、事業主に おいては法令で定められた(努力)義務であることをご理解いただいた
上で、従業員から個人番号の提供を求めることとなりますが、仮に提供 を拒否された場合には、個人番号欄を空白の状態で雇用保険手続の届出
をしていただくこととなります。 ※個人番号の記載がないことをもって、ハローワークが雇用保険手続の届出を受 理しないということはありません。
○ その上で、再度、従業員から個人番号の提供を求めた上で、個人番 号の提供があった場合には、所定の様式により提出していただくこと
としています。
(出典:マイナンバー制度(雇用保険関係) |厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000087941.html
上のリンク先から「よくある質問(Q&A)」をクリックしてhttp://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000093276.pdfを開いたところにあります

念のために全国商工新聞(2015年11月9日付)の各省庁への取材結果も引用しておきます。

【内閣府】
 「個人番号カード」の取得は申請によるもので強制ではない。カードを取得しないことで不利益はない。「扶養控除等申告書」「源泉徴収票」などの法定資料や雇用保険、健康保険、厚生年金保険など書類に番号が記載されていなくても書類は受け取る。記載されていないことで従業員、事業者にも不利益はない。
 従業員から番号の提出を拒否されたときは、その経過を記録する。しかし、記録がないことによる罰則はない。
【国税庁】
 確定申告書などに番号未記載でも受理し、罰則・不利益はない。
 事業者が従業員などの番号を扱わないことに対して国税上の罰則や不利益はない。
 窓口で番号通知・本人確認ができなくても申告書は受理する。
 これらのことは個人でも法人でも同じ。
【厚生労働省】
 労働保険に関して共通番号の提示が拒否され、雇用保険取得の届け出で番号の記載がない場合でも、事務組合の過度な負担が生じないよう、ハローワークは届け出を従来通り受理する。罰則や不利益はない。
 労働保険事務組合が番号を扱わないことによる罰則や不利益な扱いはない。
 番号を記載した書類を提出するとき、提出者本人の番号が確認できない場合でも書類は受理する。
(出典:全商連[全国商工新聞] マイナンバー 記載なくても不利益ない 全中連に各省庁が回答
http://www.zenshoren.or.jp/zeikin/chouzei/151109-01/151109.html

4.いつから始まるのか
鋭い人は上の公式回答が所得税と雇用保険しかないことに気づかれたかもしれません。そうなのです、マイナンバーの記載はこの2つが早く始まるのです。どちらも平成28年分からです。逆に言うと今年(平成27年)分については早く始まる所得税と雇用保険についてもマイナンバーの記載は必要ありません。
また、公式の回答がまだない地方税や健康保険、厚生年金についても、同様の対応(マイナンバー欄が空欄であっても手続きをするという対応)がなされることが強く予想されます。
5.職場での対応
職場でマイナンバーの提供を求められ、どうしても提供したくない場合は、マイナンバー欄が空欄でも所得税や雇用保険などの手続きは大丈夫だという上記の内容を伝えることをおすすめします。
もしもマイナンバーを提供しないという理由で職場で懲戒処分を受けたとしたら、それは労働契約法15条に照らして無効でしょう。

労働契約法15条
使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。

6.まとめ
以上より、「マイナンバーの提供に協力する義務はあるが、提供を拒否したからといって法律上の不利益はない」という結論になります。
それにもかかわらずマイナンバーの提供を拒否したことを理由として懲戒処分を受けたといったことがありましたら、お近くの労働組合(ユニオン)等にご相談ください。

生活保護基準引き下げ反対 大阪弁護士会会長声明

 大阪弁護士会より、来年度予算で行われようとしている生活保護基準の切り下げに対して、声明が出されました。重要ですので、ここにあげます。長文ですが、よかったらお読みください。
厚生労働省のとりまとめ案の撤回を求め、
生活保護基準の引き下げに強く反対する会長声明

1 政府は、本年8月17日、「平成25年度予算の概算要求組替え基準について」を閣議決定した。そこでは、「特に財政に大きな負担となっている社会保障分野についても、これを聖域視することなく、生活保護の見直しをはじめとして、最大限の効率化を図る」との方針が強調されている。また、厚生労働省が公表した平成25年度の予算概算要求の主要事項では、「生活保護基準の検証・見直しの具体的内容については、予算編成過程で検討する」とされている。そして、本年10月5日に開催された社会保障審議会生活保護基準部会において、厚生労働省は、第1十分位層(全世帯を所得階級に10等分したうち下から1番目の所得が一番低い層の世帯)の消費水準と現行の生活扶助基準額とを比較するという検証方針を提案した。
これら一連の事実から、本年末にかけての来年度予算編成過程において、厚生労働大臣が、生活保護基準の引き下げを行おうとすることは必至の情勢にある。
2 しかしながら、生活保護基準は、いうまでもなく憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」の基準であって、わが国の生存権保障の水準を決する極めて重要な基準である。生活保護基準が下がれば、保護が廃止される者や、保護費が減少する者が大量に発生するだけでなく、最低賃金の引き上げ目標額が下がり、労働者の労働条件にも重大な影響が及ぶことになる。また、生活保護基準は、地方税の非課税基準、国民健康保険の保険料・一部負担金の減免基準、介護保険の利用料・保険料の減額基準、障害者自立支援法による利用料の減額基準、生活福祉資金の貸付対象基準、就学援助の給付対象基準など、医療・福祉・教育・税制などの多様な施策にも連動しているから、生活保護基準の引き下げは、これらの施策を利用している低所得層の人々にも重大な影響を与えることになる。
このように、生活保護基準は、わが国の生存権保障の基盤を支える重要な基準であるから、生活保護利用当事者を含む市民各層の意見を十分に聴取したうえで、多角的かつ慎重に決せられるべきものであり、財政目的ありきで政治的に決することは到底許されない。
3 さらに、厚生労働省が提案した上記の「第1十分位層を基準に生活扶助基準額と消費水準を比較する」という手法については、その妥当性、合理性に極めて大きな問題がある。
まず、平成22年4月9日付けの厚生労働省の発表によっても、わが国の生活保護の「捕捉率」(制度の利用資格がある者のうち現に利用できている者が占める割合)が15.3%~29.6%と推計されていることからすると、生活保護基準未満の低所得世帯のうち7割以上が生活保護を利用していないことになる。このように生活保護基準以下の生活を余儀なくされている「漏給層(制度の利用資格のある者のうち現に利用していない者)」が大量に存在する現状においては、低所得世帯の消費支出が生活保護基準以下となるのは当然のことである。にもかかわらず、低所得世帯の中でも極めて所得の低い第1十分位層の消費水準との比較を根拠に生活保護基準を引き下げることを許せば、保護基準を際限なく引き下げていくことにつながり、合理性がないことは明らかである。
また、昭和59年以降採用されてきた生活保護基準の検証方式である「消費水準均衡方式」は、中央社会福祉審議会が、生活保護受給世帯の消費水準を「一般国民の消費実態との均衡上ほぼ妥当な水準」であるとし、その均衡(格差)をそのまま維持せよと意見具申したのをうけて導入されたものである。その際、生活保護基準の妥当性検証の前提とされたのは、平均的一般世帯の消費支出、低所得世帯(ここでいう低所得世帯とは、第1十分位層よりずっと高めの第1五分位と第2五分位の世帯であった。)の消費支出、被保護世帯の消費支出の3つの間の格差の均衡に留意するということであり、第1十分位層の消費支出に生活扶助基準を合わせるというものではない。
そもそも、平成23年2月からの生活保護基準部会においては、比較対象を第1十分位層とすることについて、委員からさまざまな疑義が示されて来た。上記の厚生労働省の取りまとめ案は、こうした議論を反映させることなく、生活保護基準の引き下げという結論が先にありきで第1十分位層との比較に誘導しようとするものであり、学識経験者らによる真摯な検討過程を冒涜するものと言わざるを得ない。
4 近年の社会経済情勢に伴い雇用が不安定化していることや、高齢化が急速に進んでいるのに年金制度による社会保障機能が脆弱であることなどを考えれば、生活保護の利用者が増加するのは、むしろ当然のことである。
自由競争や自己責任が強調される一方で、貧困や格差が拡大し、本来、生活保護を利用できて然るべき人々が排除されている現状においては、むしろ、最後のセーフティーネットとされる生活保護制度の積極的な運用が期待されている。
 よって、本会は、厚生労働省の上記取りまとめ案の撤回を求めるとともに、来年度予算編成過程において生活保護基準を引き下げることに強く反対するものである。
  2012年(平成24年)10月18日
                    大阪弁護士会
会 長  藪 野 恒 明

生活保護の実態パンフレット


最近は生活保護について報道されることも多いですが、その実態は意外に知られていないのではないでしょうか。生活保護の実態についてわかりやすくまとめられたパンフレットを無料で見ることができるので紹介します。
パンフレット「今、ニッポンの生活保護制度はどうなっているの?」(PDFファイル;767KB)
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/publication/booklet/data/seikatuhogo_qa.pdf
日弁連 生活保護の実態パンフに
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120815/k10014286111000.html

大阪労働者弁護団が有期労働契約法制について意見書を発表しました

 大阪で、多くの闘う労働組合とともに活動している、弁護士さんたちの団体である。大阪労働者弁護団が、以下の意見書を発表しました。

http://homepage2.nifty.com/lala-osaka/ketugi120615.htm
 有期労働契約法制は、合理的な理由なく有期雇用をしてはならないという入口規制が採用されず、このままでは、非正規雇用労働者の待遇改善には結びつきません。弁護士さんたちが指摘している問題を改善するためには、まだまだ社会的に問題を喚起していくことが必要です。

非正社員最高の35% 11年、失業1年以上109万人 :日本経済新聞


総務省がこの度公表した労働力調査によると、非正規雇用の割合が35%となり過去最高を更新したそうです。

非正社員最高の35% 11年、失業1年以上109万人 :日本経済新聞

これほどまでの割合になれば正規雇用が前提で非正規雇用は例外だと言うのは難しいですし、年金等の制度も現状に合わせて整備すべきです。
----------以下記事本文----------
 総務省が20日に発表した2011年の労働力調査(詳細集計、平均)によると、雇用者のうちアルバイトや派遣などの非正規が占める割合は35.2%となり、前年に比べ0.8ポイント上昇した。非正規の比率は2年連続で過去最高を更新した。失業期間が1年以上の完全失業者も109万人と依然として高水準で、厳しい雇用環境を反映している。
 調査は東日本大震災の被災3県を除いた全国ベース。10年の数値も3県を除いて算出した。企業から雇われた雇用者(役員除く)は前年比23万人増の4918万人。非正規が1733万人で48万人増えた一方で、正規は3185万人と25万人減った。
 非正規を雇用形態別でみると、パート・アルバイトが33万人増の1181万人、契約社員・嘱託も27万人増の340万人となった。企業が人件費を減らすために、正社員の採用を抑え、パートなどに切り替える傾向が続いている。
 完全失業者の総数は284万人となり、33万人減った。ただ、失業期間別にみると、1年以上失業状態にある長期失業者は、1年未満の失業者に比べて改善は限られた。「長期失業者は08年のリーマン・ショック以降に急増し、その後も高水準で推移している」(総務省)といい、労働市場での失業者の長期滞留が深刻化している。