管理社会化、反貧困運動つぶし化の「東京都条例」改悪

逸脱・反対派・少数派の排除、管理社会化、反貧困運動つぶし化の「東京都安全・安心まちづくり条例」改悪
都が今議会に提出している「安全・安心まちづくり条例」の改正案に、「多大な迷惑となるパフォーマンス」などを慎むようにという内容が入っている。反貧困のメーデーや麻生邸見学ツアーなど、最近の多様なパフォーマンス運動の規制を狙ったものであり、表現の自由を侵害するものである。
背景の考え方を示すものとして、まちづくり有識者会議は、「金融危機による不況で犯罪が増加する」「治安維持こそ最大の都民福祉」などとのべている。
この数年の、各地での警察の指導のもと、民間ボランティア動員の不審者通報の仕組みづくり、相互監視社会、事実上の外国人や障害者、野宿者、活動家などのあぶり出し、差別化の動きとつながるものといえる。住民の苦情を理由とした「炊き出し」活動規制ともつながっている。
これに対していくつか反対の動きがあります。以下紹介しておきます。
犯罪が増加しているわけでもないのに、メディアを通じて不安が煽られ、それに対応して、この数年、子供たちを犯罪から守れというイメージで、「普通の良心的な人」が、警察による監視体制に組み込まれています。ある友人は素直に、みんなで地域を安全によくしていこうと協力し合ういいことだと思っていたといっていました。
このあたりを扱った、立命の大学院の西條貴伸さんの報告を聞いたことがありますが、彼は、「自主防犯ボランティア」の増加の背景を批判的に調べています。それによると、住民の自主的な活動とされ、それゆえメディアなどでも好意的に取り扱われていますが、実は警察あるいは国家/自治体のしかけだということです。子どもをダシにしてうまく動員されているというのです。それは「逸脱」の取り締まりであり、少数派・反対派の排除、それを基にした「連帯」であるということです。(h)
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ディストピア TOKYO
Freedom Against Safety & Security: Anti Public Welfare Action
不穏で不安な「東京都安全・安心まちづくり条例」に反対するプロジェクト
http://street.chikadaigaku.net/ (参考: http://www.bouhan.metro.tokyo.jp/ 大東京防犯ネットワーク)
 先月2月、東京都青少年・治安対策本部が募集したパブリック・コメント
(http://www.metro.tokyo.jp/INET/BOSHU/2009/02/22j29100.htm)
「繁華街等における安全・安心の確保に関する考え方」に、170件もの意見が 寄せられたようです。
 しかし、都の回答はまさに木で鼻をくくったようなシロモノ。
 せっかく急ぎ書き送ったのに、フザケルナ大東京! 
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東京都「安全・安心まちづくり条例」改悪反対 「共同声明」に連名を!!
今都議会に条例案が提案され、3月17日の総務委員会で審議されます。緊急な取組ですが、ぜひご協力ください。
条例案の大づかみな特徴としては
(1)繁華街などを対象とすることを条例で定め、具体的規制内容は都・警視庁が任意に定める「指針」に委ねる。
(2)「有識者会議報告書」を受け、指針の下敷きとなる「繁華街における安全・安心の確保に関する考え方」(別紙)のポイントは
●街頭行動の禁圧と外国人労働者排除
・街頭での「パフォーマンスなど街の秩序を乱す行為の防止」
・外国人の「不法就労防止」
●「防犯」から「弾圧」へ、民衆の警察化を促進
・事業者、地域住民、関係行政機関などによる「推進協議会」の設置
・事業者、地域住民に防犯パトロールや環境美化活動への「参加・協力」義務、来訪者には「パフォーマンスなど街の秩序を乱す行為を慎む」義務
呼びかけ
地域共闘交流会(中部地区労働者交流会 南部地区労働者交流会 北部労働者共同闘争会議 西部地区労働者共闘会議 三多摩労組争議団連絡会議) 争議団連絡会議 日雇全協・山谷争議団/反失業闘争実行委員会
渋谷・野宿者の生活と居住権をかちとる自由連合 在日アジア労働者と共に闘う会 立川自衛隊監視テント村 救援連絡センター
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東京都安全安心まちづくり条例
改悪に反対する共同声明(案)
今都議会に提出された条例案は、抽象的な3条文の追加であり、具体的内容は「指針」に委ねられている。指針に白紙委任するやり方の不当性に加え、その下敷きとなる「有識者会議報告書」には、街頭行動の規制や外国人排除など、労働運動や市民運動に取り組む者として見過ごせない内容が数多く含まれており、今回の改悪を絶対に認めることはできない。
私たちは以下の理由により、今回の改悪案に反対であることを明らかにするとともに、都議会で可決することのないよう求めるものである。
1 労働者・民衆の団体行動権や表現の自由を規制するものであること
労働団体や市民団体などが、街頭でビラをまきマイクを使って情宣活動を行うことは最も基本的な活動であり、権利として保障されなければならない。現に私たちは多くの人が集まる繁華街で情宣し、署名や相談活動を行ってきている。これらの行動を規制することなど決して認められない。
2 外国人労働者、野宿労働者を危険視し排除しようとするものであること
「不法就労」などと、あたかも外国人が働くことそれ自体を有害なものとして描き出し、繁華街を不法就労の温床と決めつけていることには、外国人を人として尊重しようとする姿勢のかけらもない。このような姿勢のもとでの条例・指針は、外国人とみれば疑いのまなざしを向け排除しようとすることを促進する。また、「繁華街」、「パフォーマンス」の規定があいまいであり、野宿労働者がその命をつなぐ炊き出しをも規制できる内容となっている。
3 推進協議会が権力行使の主体となりかねないこと
推進協議会の具体的活動として、ポイ捨てや歩行喫煙、街の秩序を乱す行為、外国人の不法就労、などへの「啓発活動」が挙げられている。この「啓発活動」が現場での具体的な注意や指示・禁止に及ぶ可能性が高い。協議会による注意や指示・禁止が、条例に根拠を持つものとして権力的に作用し、従わない者には警察による弾圧を加えることとなる危険性が強い。
4 まとめとして
条例改悪により、以下のような事態が想定される。
“A団体が繁華街でビラまき・マイク情宣に取り組むことを警察が情報収集する→警察が推進協議会メンバーに情報提供し、指針に基づき注意するよう要請しておく→当日、推進協議会メンバーがA団体に注意し、やめるよう指示する→A団体は情宣活動を継続する→警察が道路交通法や軽犯罪法違反としてA団体の主要メンバーを逮捕し、弾圧する”
このような想定は決して絵空事ではない。「麻生宅見学ツアー」にみられるような弾圧が日常的に地域ぐるみで行われることとなるのである。
以上
●下記に記載のうえFAX・メール下さい・・・FAX先 03-3262-3088(争団連)
〆切は3/13(金)です
・メール先 rentai at mbn.nifty.com(連帯労組)
共同声明に連名します。
(公表:可・不可) 団体名・個人名
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都条例案で波紋
2009年03月13日 朝日新聞
◆「繁華街で迷惑パフォーマンス慎め」都条例案で波紋
 都が今議会に提出している安全・安心まちづくり条例の改正案に、法曹界や労働団体から「表現の自由が侵害されかねない」との懸念の声が上がっている。条例に基づく指針と併せ、繁華街を訪れる人に「多大な迷惑となるパフォーマンス」などを慎むよう求めているからだ。都は「規制を課すものではない」としているが、関係者は影響を心配する。
(大塚晶)
 都は、昨年6月に秋葉原で、同7月に八王子で無差別殺傷事件が起きたことなどを理由に、同9月に「都安全・安心まちづくり有識者会議」(座長・小出治東京大教授)を設置して繁華街での安全対策を検討してきた。
 会議の報告書が先月出たのを受け、都としての「繁華街等における安全・安心の確保に関する考え方」をまとめた。「求められる取組」として、事業者は防犯カメラの設置や従業員への防犯教育など、地域住民は自主防犯パトロールへの積極参加などが挙げられた。このほか、来訪者が努める対策として「街頭や歩行者天国において大衆に多大な迷惑となるパフォーマンス等、街の秩序を乱す行為を慎む」などが挙がった。
 都はこの後、安全・安心まちづくり条例の改正案を提出。事業者や地域住民、来訪者らに対し、知事と公安委員会が定める指針に基づき、「繁華街等の安全・安心を確保するために必要な措置を講ずるよう努めるものとする」と定めた。4月中につくる指針に「大衆に多大な迷惑となる……」の部分がほぼ同様の形で盛り込まれる予定だ。
 これに対し、都内を中心に団体交渉や街頭活動をしている労働組合・首都圏青年ユニオンの河添誠書記長は「『大衆に多大な迷惑』というのは極めて主観的」と反発する。繁華街での宣伝行動では、頭にかぶり物をして練り歩くこともある。商店街からは迷惑だからやめろと言われることも多い。「表現の自由が封じられかねない。多くの人に知らせるためにこそ繁華街でいろんなパフォーマンスをするのに、少数派が声を上げられなくなる」と話す。
 自由法曹団東京支部も今月3日に発表した反対の意見書で、「街の秩序を乱す行為を慎むとなっているが、誰が判断するのか。基準は全く不明確。努力義務といっても法的義務に変わりない」などと指摘。同支部の事務局長、大崎潤一弁護士は「条例に基づいた指針となれば、罰則がないといっても萎縮(いしゅく)効果は大きい。秋葉原の事件とはまったく関係ないのに」と言う。
 都安全・安心まちづくり課は「『努めてください』と言っているだけで、権利の制限ではない。指針は都民に参考にお示ししているもの。この条例をたてに警察が直接規制するようなことはない。昨春、秋葉原の歩行者天国で女性が下着を見せるパフォーマンスがあった。こういう人もいるため来訪者も考えてほしいという趣旨」と説明する。
 条例改正案は可決されれば4月1日に施行される。

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