HTSの「取材に応じたから解雇」が断罪される

2月4日,東京都労働委員会で「阪急トラベルサポート」の組合側労働者に対する不当労働行為が断罪されました。組合側が勝利命令を勝ち取ったということです。
以下、その情報を紹介しておきます。
旅行会社の派遣労働者のひどい待遇を変えようと運動を始めた労働者を見せしめに解雇したと言う卑劣な会社が、批判されたということです。
「阪急トラベルサポート」って、ナサケナイ会社ですねぇ。
できればみなさん、ここを使うのをやめましょう。
「阪急トラベルサポート」の社員の皆さん、内部からも声を上げてください。
自分の職場を恥ずかしくしないために。
自分が加害者側に加担しないために、ね。(へのる)
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「阪急トラベルサポート」(HTS)に働いていたSさん(登録型派遣労働者)は、何時間働いても定額の日当しかもらえない「みなし労働時間制」の撤廃などをもとめて労働組合を結成して会社と交渉していました。
「阪急トラベルサポート」(HTS)は、「週刊金曜日」の取材に応じたということで、Sさんを事実上解雇(アサイン停止)しました。
それはおかしいということで、組合側は、09年5月、東京都労働委員会(都労委)に不当労働行為の救済申し立てを行い、職場復帰を求めてきました。
HTSは09年3月、取材に応じただけの、文責もなく発行主体でもないSさんに対して、執筆者、発行主体を飛び越え、「週刊金曜日」同年2月20日号に掲載された「シリーズ 生きている労働組合」の記事を「内容は虚偽の事実」とし、事実上の解雇処分を通告してきました。
一方、会社は現在に至るまでライターの野村さんと出版社の金曜日に対して抗議などはしていないばかりか、会社が問題にしている部分は「地の文」、つまりライターが執筆した部分(Sさんの発言はカギ括弧の中の部分)であり、ましてや会社のことを書いている部分ではないのです。その意味で、会社のやり方は、支部の委員長であるSさんを狙い撃ちにし、それにより組合つぶしを狙ったものでした。
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都労委は2011年2月4日、以下のような「命令」(=判決)を交付しました。
Sさんへの事実上の解雇が不当労働行為であると認め、Sさんを添乗業務に復帰させること、Sさんに対し、アサイン停止日から業務に復帰するまでの間、Sさんが受けるはずであった金員相当額を支払うこと(バックペイ)、組合に対し「今後、このような行為を繰り返さないよう留意します」との謝罪文を交付すること、
を会社に命じました。
バックペイについては、塩田さんが事実上の継続雇用にあったとして、当時の日当×20日(当時の稼働実績)をひと月分とせよ、と認定しています。
登録型派遣労働者の継続雇用性が認定されているという点で、この命令は画期的なものであるといえます。
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都労委の判断-「会社の行為は不当労働行為」
都労委はこのような会社のやり方を、Sさんに対する事情聴取の場であらかじめ用意したアサイン停止を通知する文書を渡しているなど、「Sを職場から排除するアサイン停を既定の方針として既に決めていた」と断じました。
そして、「会社は、虚偽の事実を掲載したとか、重大な名誉毀損があったなどといいながら、週刊金曜日に対しては本件雑誌記事の訂正、撤回を申し入れるなどのことをしていない。むしろ会社は、Sにのみ責任を転嫁」した、と判断したのです。
 
そして、会社の狙いは「Sが野村の取材に応じたことを奇貨として、派遣添乗員の労働問題、とりわけ事業場外みなし労働時間制の撤廃を巡って激しく会社と対立していた組合の支部執行委員長である同人を職場から排除することによって、組合の会社における影響力を弱体化することにあったと判断せざるを得ない」と明確に会社の不当労働行為意思を認定しました。
「言論の自由の侵害」-社会的な包囲と支援
インタビューに応じた労働者を「処分」するということは、企業への批判の声をあげることと、これを報じるメディアに対して「告発したらこうなるぞ」という見せしめでもありました。
この点から、雨宮処凛さん、宇都宮健児さん、佐高信さん、中島岳志さん、湯浅誠さんの5人を呼びかけ人とする「Sさんへの事実上の解雇を許さない!文化人・言論人アピール」運動、MIC(日本マスコミ文化情報労組会議)の抗議声明、「週刊金曜日」を発行している株式会社金曜日とライターの野村さんもHTSに対して損害賠償を求める訴えを起こすなど、社会的包囲が形成されていきました。
 
同時に、「週刊金曜日」主催のSさん支援岩手ツアーの開催、たくさんのカンパが寄せられるなど、支援態勢も確立されていきました。
 
このように、今回の勝利命令は、支部の団結、そして社会的な包囲・支援の中で勝ち取られたものと言えます。
組合は、勝利命令を受けただちに厚労省記者クラブで週刊金曜日との共同記者会見を行い、Sさんは「職場復帰を強く求める」と訴えました。
組合は会社に対し、都労委命令を守り、Sさんをただちに添乗業務に復帰させるよう、強く求めていきます。
新聞各紙のWEBに記事が掲載されています。
朝日新聞<asahi.com>
「記事掲載後に業務外す 派遣社員への不当労働行為認める」
http://www.asahi.com/job/news/TKY201102040195.html
東京都労働委員会は4日、阪急交通社関連の添乗員派遣会社、阪急トラベルサポート(本社・大阪市)が、登録添乗員で労働組合幹部の男性に仕事を与えなくなったのは不当労働行為に当たるとして、同社に男性の業務復帰と、復帰までの賃金相当額(日当約1万8千円)の支払いなどを命じた。男性は労組活動について週刊誌の取材を受け、2009年2月の記事掲載後に業務から外されていた。
 命令書によると、労組は何時間働いても定額の日当しかもらえない「みなし労働時間制」の撤廃をめぐって同社と対立。同社はこの問題を扱った記事に対し、「虚偽で業務妨害」などと主張し、男性に仕事を与えなくなった。しかし、都労委は、この目的は男性を職場から排除し、労組を弱体化することだったと結論づけた
毎日新聞<毎日.jp>
「不当労働行為:阪急トラベルサポートに救済命令 都労委」
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110205k0000m040047000c.html
読売新聞<YOMIURI ONLINE>
「労組幹部の業務外しは不当、都労委が復帰命令」
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110205-OYT1T00279.htm
「週刊金曜日」きんようブログにも掲載されました
「Sさんに勝利命令」
http://www.kinyobi.co.jp/blog/?p=2804
松原さん撮影の記者会見の動画がユニオンチューブとYouTubeにアップされてい
ます。
↓ユニオンチューブ
http://video.labornetjp.org/Members/akira/videos/0204hts.wmv/view
↓ユーチューブ
http://jp.youtube.com/uniontube55

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