大阪市立大学特任教員Aさんのストライキ闘争にご注目いただき、ありがとうございます。
3月29日に通告をし、現在も無期限ストライキ中です。
現在のところ、大阪市立大学都市研究プラザのホームページは更新されておりません。
その他、Aさんの担ってきた業務についても遂行されておらず、Aさんの業務が恒常的で基幹的なものであったことがストライキによって改めて明らかになりました。
今後も皆さんにご注目いただけることによって、「財政難」の大阪市立大学が新たな予算措置を行ってストライキ破りをすることが難しくなりますので、ぜひ今後ともご注目下さい。
また大阪市立大学から公開質問状に対する回答がありましたので転載します。
「研究推進本部長の委任を受け、以下のとおり回答いたします。
今回の都市研究プラザの人事方針につきましては、財政状況、業務量等を考慮し、通常の勤務時間中は都市研究プラザの業務を優先していただくことを念頭に、特任教員の募集を行っているものであり、各特任教員個人の取得した科研費に係る研究を阻害しようとする意図はありません。また、一定範囲の科研費に係る研究については、当該研究が特任教員の主たる職務範囲であることを要しないこととされており、組合の指摘は、当たらないものと考えております。
A氏の雇止めについては、期間の定めのない労働者を解雇することと社会通念上同一視できると認められるものではなく、更新されると期待に合理的理由があると認められないことから、期間の定めのない労働契約に当たる余地のないものと認識しております。
したがって、平成28年3月31日の契約期間満了をもって労働契約は終了し、契約期間の更新は行わないため、平成28年4月1日以降は本法人と雇用関係はないため、特任講師の身分は有しないこととなります。
以上、ご理解賜りますよう、宜しくお願い致します。
以上」
特任教員は2016年度以降「自らの研究は都市研究プラザでの勤務時間外に行うことを条件に雇用する」という阿部昌樹・都市研究プラザ所長の決定の意味について十分吟味された回答とは思えないので、以下のように独立行政法人日本学術振興会に問い合わせを行っております。
なお、都市研究プラザは2015年度の予算が数百万円余ったので、消化するために様々な施策を実施したとの情報が入ってきました。事実関係の確認などを目的とした団体交渉の申し入れを行う予定です。
日本学術振興会 研究事業部 研究倫理推進室 御中
総務企画部企画情報課 不正告発窓口 ご担当者様
大阪市立大学で特任講師として働いてきたAと申します。
所属部局である都市研究プラザには、科研費の研究代表者をしている特任教員(短時間勤務教職員)が例年のように複数名おりますが、昨年11月に阿部昌樹所長が「自らの研究は都市研究プラザでの勤務時間外に行うことを条件に雇用する」との採用方針を示し、これが運営委員会での決定事項とされ、その決定に基づくものとして(過去7年間ではじめてのことでしたが)採用期間の満了通知なるものを受けとりました。
わたし自身の雇用問題については別途係争中ではありますが、しかし、まがりなりにも研究職として雇用した研究者に対して研究するなということが許されるのでしょうか?
すなわち科研費の研究代表者を、教育・研究を職務とする特任教員として雇用しておきながら、その労働時間中に研究しないように条件づけるとすれば、それは科研費の「その研究活動を、当該研究機関の活動として行わせること」とされた、応募資格ある研究機関としての第一要件をそもそもみたさない、すなわち失格にあたるのではありませんか。
少なくとも論理的にいうならば、労働時間中に研究をするなということは本来、都市研究プラザに所属する特任教員としては科研費の応募資格をみとめない、あくまでも労働時間外の活動として他の所属から研究者登録しなさいということになるし、出張もその振替休日をとることもみとめなければ備品管理もなにも、研究費の使用そのものを所属では一切しないことを意味します。
逆に、研究機関に所属するものとして科研費を使用している事実が現にあるにもかかわらず研究をするなというならば、それは研究を機関の活動として行わせるという要件をみたさない端的な「科研費ルール」違反であるのみならず、なおも研究機関として科研費を執行させているならば、その間接経費だけはせしめようとする重大な不正かつ組織的な公金の詐取・横領ないし背任の疑いさえあるのではないでしょうか。
こうした深刻な問題意識から、先日、労働組合を通じて、添付のような公開質問状を送付いたしました。
これに対する所長の回答によると「科研費に係る研究を阻害しようとする意図はありません」とのことで、「勤務時間中は都市研究プラザの業務を優先していただく」程度の意味であったとのことでした。たしかに、研究者の応募資格上は「有給・無給、常勤・非常勤、フルタイム・パートタイムの別を問わない」さらには「研究活動そのものを主たる職務とすることを要しない」とありますから、不払いである労働時間外に、それでもなお都市研究プラザの活動として所属の特任教員が研究しているのだと詭弁を弄することはできるのかも知れません。
しかし、仮にそうであるとしても、特任教員の定義が、短時間勤務教職員就業規則上「教育又は研究に従事する者」とされ、依然として労働契約書における従事業務の内容にも「研究」を職務に含むことが明記されている以上、特任教員としての労働時間外とされた、しかし科研費代表者としての研究時間は、そのすべてが不払い労働にあたる、すなわち労働基準法(第24条)違反であると考える他ありませんから、法的にも、倫理的にも問題であることに変わりはありません。間接経費は研究代表者自身の雇用財源にあてることも認められているというのに。
そもそも、実務を主たる職務とする程度の意味であれば、少なくともこれまで一貫して情報基盤を担当し部局ネットワーク・サーバ管理人として働いてきた私のばあいには、従前の労働実態となんら変わるところはなく、あえて研究を労働時間外に行うことを条件に明記する必要などないばかりか、今回にかぎって雇用を打ち切る理由もなかったことになります。それにもかかわらず所長の言い分では、研究を阻害する「意図」がなければ問題はないというのか、遺憾ながら「決定」の、どの点についても見直すことを考えられた様子さえありませんでした。
このように、研究機関の決定として不合理かつ理不尽な条件を強いるようなことは、また(実態とは異なるのだとしても)そうした決定をなし、議事録に文言として残すことじたいが研究機関の将来にも禍根をのこすばかりか、研究倫理および不正防止の観点から組織的なモラルハザードを招かないために何としても是正される必要があるものと思われますので、都市研究プラザには、公式な撤回ないし訂正する他ないことを勧告されるよう、また大学はその判断をあらためて周知するように、是非とも学術振興会として、真摯にご検討のうえ迅速にご対応ください。
以上、年度はじめご多忙の折たいへんなご面倒とは存じますが、ご指導のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
追伸:なお上述の公開質問状に加えて、決定内容が資料にふくまれる議事録の抜粋と、その決定に基づくとされた期間満了通知とを添付しましたので、あわせてご参照ください。また特任教員をふくむ短時間勤務教職員の就業規則、わたし自身の労働契約書、その他の資料につきましても必要があれば可能なかぎりご用意いたしますので、いつでもご依頼ください。