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花園大学との団体交渉

大学は雇用に対してどのように向き合っているのでしょうか。大学は非正規雇用労働者とどのように向き合っていくべきなのでしょうか。花園大学との団体交渉はとても象徴的なものでした。

花園大学との団体交渉(2018年2月6日)

経緯

Aさんは、花園大学で非常勤講師として働いてきました。また、人権教育研究センターの委嘱研究員でもあります。2012年から2017年まで5回の契約更新を重ねてきました。2016年に大学は10人以上の非常勤講師がになってきた人権科目を2018年3月末で撤廃し、人権総論という前期・後期4コマの授業のみにする新カリキュラムをつくりました。Aさんは5回の契約更新を重ねているので、無期転換を希望し、雇用を維持するように要望しました。Aさん以外の非常勤講師はすべて雇い止めされ、Aさんは最後の一人になりました。

団交の記録

組合側は、Aさん、B組合員。

大学側は、和田寿人・総務部長、大原孝弘・事務局長特命課長、他職員3名。

(以下は団体交渉のダイジェストです。文字起こしではありません。)

Aさん はじめに私は人権科目を維持してくださいと要望しました。しかし、大学は難しいというので、人権教育研究センターから要望が出たら検討できますかと聞いたところ、それは助かりますと回答がありました。そこで、人権教育研究センターにも事情をお伝えし、センターも現カリキュラムへの移行には反対しておられたので、私の雇用も含む新カリキュラムを提案してくださいました。ところが、大学側からお願いしますと言われて調整したにも関わらず、大学はゼロ回答を繰り返しました。ゼロ回答ばかりを繰り返すので、組合からは、人権総論をリレー講義にして、その一部を担当する形にして雇用を維持するのはどうか、と提案しました。

前回の団体交渉では、人権教育研究センターに確認してください、と言って終わりました。その回答を聞かせてください。

和田総務部長 大学の回答は以前と同じです。センターからは人権総論のリレー講義で担当いただく件について、何ら連絡はありません。

Aさん そうではなくて、大学として確認はしていないのですか。

和田総務部長 確認と申されますが、カリキュラムの問題ですので、こちらから確認することではございません。

Aさん 前回もお互いの立場の違いが出ました。こちらは雇用問題、そちらはカリキュラムの問題と対立しましたが、カリキュラムをいじれば雇用が失われるんです。雇用の維持のために人権総論のリレー講義担当ができるように積極的に働きかけてほしいという要求に対して、カリキュラムに関わった大学改革IR推進室の吉田さんが前回の団交で「わかりました」と発言しました。

和田総務部長 吉田はそのような趣旨で言ったわけではないと記憶します。

大原特命課長 吉田からは人権教育研究センターのセンター長に確認したと聞いています。

Aさん どのような確認でどのような答えがあったのですか。

大原特命課長 確認したと聞いたまでで、どのような返事があったかは分かりません。

Aさん 今日回答するべきは、そのことのはずです。センターに確認した結果、やはり雇用維持は難しいという回答はありえると思っていましたが、まさかセンターに確認さえしていないとは思いませんでした。

大原特命課長 ですから吉田から確認はしております。

Aさん では、吉田さんにいま電話して聞いてください。いますぐです。どこで、誰が、誰に、どのような確認をして、どのような回答があったか、きちんと聞いてきてください。その回答がないと始まらないでしょう。

大原特命課長 電話ですか、、、吉田は学内にいて、いま別の業務をしておりますので、聞いてきます。(退席)

Aさん 事前にメールでも今日の回答については示唆したはずですが、なぜ確認さえしなかったのですか。

和田総務部長 センターに確認する義務はありません。むしろAさんがセンターになぜ確認をされなかったのですか。確認するべきでしょう。

組合員B 大学に確認する義務はありますよ。団体交渉の席で、労働者が雇用に関する要望をしたわけですから、それを検討する義務はあるでしょう。配置転換を団体交渉で要求した労働者に対して、「配置転換はあなたが自分で調整するべきでしょう」と言えますか。

Aさん これは不誠実団交です。そもそも花園大学ではどのようにして有期雇用労働者を増やしてきたのですか。たとえば、私たちが知っているケースでは、立命館大学はある時期、ある日からそれまで任期なしで働いてきた人たちが同じ仕事をしているのに、任期をつけられて雇い止めになる、ということがありました。

職員A どの段階からというのはいま分からないですが、正社員、アルバイト、パートとそれ以前から多様な雇用形態があり、任期付きも加わったということかと。

Aさん あなたは有期雇用はなぜあるのだと思いますか。その意味は何だと思いますか。

職員A それは、いまは有期雇用でもがんばったら正社員ぞとお尻を叩くといいますか、それでがんばる人には正社員への道も開いておりますし。やはり、業務縮小の時などに、企業側が切りやすいということだと思います。

Aさん・組合員B そうなんです。クビを切りやすくするためなんです。

(大原部長帰ってくる)

大原特命課長 いま聞いたところ、吉田から松田に引き継ぎ、松田からセンター長に確認をしたということです。

Aさん それで回答は?

大原特命課長 センターからはとくにないということです。

Aさん 大学からセンターに回答をいつまでにしてくださいと働きかけはしていないのですか。

大原特命課長 そこまでしたかは分かりません。

組合員B 話にならないでしょう。何も案を準備してこないで。今日は何をしに来たんですか。

和田総務部長 ですから、こうして話し合いの場を誠実につくっているでしょう。カリキュラムのことはセンターの管轄ですので、私たちが確認する義務はありません。

組合員B 和田さんは回答の義務はないと言い、大原さんは確認していると言い、大学側もまったくばらばらじゃないですか。回答の義務があると吉田さんが考えたから、吉田さんは現にセンターに確認したわけです。その回答を準備してくるべきでしょう。

Aさん このゼロ回答は不誠実ですよ。不誠実団交です。

和田総務部長 ゼロ回答だと不誠実になるのですか(笑)。

組合員B ゼロ回答の内容によります。大学が雇用維持について何の前向きな提案もしないので、そちらからお願いしたセンターからの要望もはねのけて、リレー講義の話もこちらから提案してわかりましたと言っておきながら、確認さえしてこない。ゼロ回答ではなく、マイナス回答ですよ。あなたの回答には人間味がなさすぎる。大学に限らず若者の非正規の問題は深刻ですが、もしあなたのお子さんが雇い止めになったとしていまのような対応を受けたらあなたはどう思いますか、と先ほど聞いたときに何も答えてくれませんでしたよね。本当に想像してほしいんです。この時期にまだ雇用が決まらないで宙ぶらりんで待たされて、思わせぶりなことを言しながら、期待をもたせて先延ばしにして。生活のことだってあるわけですよ。

和田総務部長 ・・・回答はひかえさせていただきます。

組合員B じゃあ義務がないのになぜあなたはここにいるんですか。

和田総務部長 使用者だからです。

Aさん そうですよ。使用者で団体交渉応諾義務があって、ここはいま雇用問題を話す場なんですよ。それをカリキュラムの問題と整理して義務はないと言っても、カリキュラムをいじると雇用に関わるわけですから、確認さえ怠るのは不自然すぎるでしょう。

有期雇用は、先ほど職員Aさんも言われたとおり、使用者がくびきりしやすくするためのものです。しかも、相手の顔を見ないで切れるものです。花園大学は入学者数が減って、業務縮小の流れにあり、その中で今回の人権科目の削減もあったはずです。私としては無期転換も希望し、これは実質上の整理解雇なので、整理解雇の要件を満たしてほしいとお願いしました。非正規のくびを切って調整して終わりではなくて、痛みを分かち合う姿勢が見たかったのです。しかし、大学は整理解雇ではない、カリキュラムの問題だと繰り返すばかりでした。学長にセンター会議でこの話をした際には、学長も業務縮小だから止むをえないと語っていました。業務縮小なんですよ。

今日の回答は雇い止めということですね。

和田総務部長 いや。雇い止めではないですよね。ですよね。

大原特命課長 雇い止めではなく、契約満了ですね。

組合員B 有期雇用労働者を契約満了で契約更新しないことを「雇い止め」というのです。

Aさん いまの言い直しが、本当に象徴的と思います。雇い止めですし、私の考えでは解雇です。有期雇用は顔を見ないで切れる仕組みです。切るなら顔を見て切ってください。花園大学もこれから業務縮小に入り、雇い止めになる人たちがさらに増えると思います。きちんと顔を見て切ってください。

和田総務部長・大原特命課長 (下を見る。)

Aさん 確認さえしないでゼロ回答であったこと、抗議します。

(組合側、退席)

立命館大学との団体交渉のお知らせ(2月13日)

2018年2月13日、学校法人立命館と立命館大学朱雀キャンパスにて団体交渉を行います。

2017年度で雇い止めになる非常勤講師(授業担当講師)のみなさん、授業担当講師の契約を結び雇い止めを不安に思っているみなさん、ぜひご連絡ください。一緒に行動しましょう。明日の労働相談は立命館分会の者が担当しています。お電話ください。

雇い止めをストップさせ、非常勤講師5年雇い止めルール(授業担当講師制度)を撤廃させましょう。

立命館大学の労基法違反に抗議するビラ配り・第3弾

今日、立命館大学の労基法違反と労働契約法脱法に抗議するビラ配りを、正門でしました。厳しい寒さの中も日差しは暖かく、受験生たちが今日もバスを降りてキャンパスに入って行きました。「立命館大学の非常勤講師です」「5年くびきりに反対しています」「授業の質を上げるためにがんばっています」「試験がんばってください」など声をかけながら、ビラを配布しました。

今日会った受験生の皆さんが入学される頃には、5年くびきりルールを撤回したいです。学生の皆さんが受ける授業の質を保てるように、活動を続けます。

立命館大学は一刻も早く、非常勤講師の5年で切り捨てる「授業担当講師」を廃止するべきです。労基法違反を是正するべきです。

(写真のチラシやプラカードは撮影後すぐに片付けました)

立命館大学の労基法違反が記事に(『赤旗』)

『赤旗』で、立命館大学の労基法違反と労働契約法脱法の非常勤講師5年雇い止め(「授業担当講師」制度)が、記事になりました。

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立命に是正勧告 京都労基署(『赤旗』2018年2月3日)

立命館大学が(京都市)が、非常勤講師を5年で雇い止めとする就業規則を改定したことなどにかかわって、意見聴取が必要な労働者過半数代表選出の要件を満たしていないとして、1月30日、京都上労働基準監督署から労働基準法違反の是正勧告を受けました。
 同大学の労働者過半数代表選出にあたって、労働組合側は、正規教職員を中心とする立命館大学教職員組合だけでなく、非常勤講師が加入する複数の組合も選挙管理委員会に参加し選挙を行っています。しかし、複数の立候補があり、得票1位も過半数に達していないと判断されました。
 立命大では、2016年、非常勤講師を雇い止めとする就業規則の改定を行っています。非常勤講師が加入する関西圏大学非常勤講師組合、ユニオンぼちぼち、ゼネラルユニオン、は5年雇い止め撤廃を求め、立命大教職員組合も5年以上の契約更新による無期転換を春闘要求としています。
同大学広報は、「労働者代表だと認識していたので困惑している。就業規則については、見直しを求める団体交渉の申し入れを受けているので、それに対応する」と答えました。
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立命館大学の労基法違反が記事に(『京都新聞』)

2018年2月3日、立命館大学の労基法違反を報じた京都新聞の記事です。「早急に是正する」とのことですので、13日の団体交渉では誠実な回答を期待します。

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「立命館に時間外労働で是正勧告  労働者代表を選べず無協定」(京都新聞2018年2月3日)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180203-00000040-kyt-soci

学校法人立命館が、労働者の過半数の代表と協定がないのに時間外労働を行わせているとして、京都上労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが2日、分かった。京都市北区の衣笠キャンパスの労働者代表を選ぶために昨年実施した選挙の投票率が低く、代表と見なせないためという。
労働基準法では、使用者が時間外労働をさせる時には、労働者の過半数を代表する者と書面で協定を結ぶと定めている。同キャンパスでも昨年7月、教職員組合など複数の労働組合が合同で代表選挙を実施したが、教職員や学生アルバイトら有権者約2300人で、投票率は33%だった。立命館は「労基署と相談しながら早急に是正したい」としている。
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立命館大学の労基法違反に抗議するビラ配り・第2弾

 

立命館大学の労基法違反と改正労働契約法の脱法に抗議してビラ配りをしました。今日は衣笠キャンパスの正門と東門です。

入試日ということもあり、受験生を誘導するアルバイトの学生さんとも一瞬だけ言葉をかわす機会がありました。「立命館で検索したけど、何が書いてあるのか分かりませんでした」と言われ、苦笑い。「5年働いたら非正規の教職員を自動的にくびきりにするルールをつくってきて、いま非常勤講師が5年でくびきりになろうとしているんです。どんな人か何をしてきたかも関係なく、5年働いたら自動的にくびきりなんです」と説明したら、「それはひどいっすね」。

受験生に「がんばって。僕たちもがんばるから」と声をかけると、「ありがとうございます」と笑顔になる人、うなずく人、たくさんいました。みなさんの教育環境を向上させるためにも、がんばります。

 

立命館大学の労基法違反に抗議するビラ配布!

立命館大学は改正労働契約法を脱法して5年で非常勤講師を雇い止めにしようとしています。京都上労基署の是正勧告と指導により、非有常勤講師を5年で雇い止めにする手続きが労基法違反と分かりました。

そこで、今日は阪急西院駅で雪の降る中、抗議のビラを配布しました。
抗議のビラ配布は今後も継続していきます。

立命館大学は労基法32条違反で、労働者に時間外労働をさせることができません。このため2月3日(土)の入試業務における休日労働ができなくなると思われます。この点について、混乱のないように人事課に問い合わせをしましたが、まだ回答はありません。

また、立命館大学は労基法90条違反で、就業規則が無効になるので、2017年度末の授業担当講師(5年任期付き非常勤講師)の雇い止めをすることはできません。すでに雇い止めした非常勤講師に早急な救済を行うべきなので、人事課に問い合わせをしましたが、まだ回答はありません。

人事課からの回答があり次第、ご報告します。

立命館大学が労基法違反で指導を受けました。

昨年12月27日にユニオンぼちぼちは、労働者代表が事業場の全労働者の過半数を代表していない法律違反の状態にあると知りながらも、これを学校法人立命館大学が放置し隠蔽しているとして労働基準監督署に申告をしました。労働基準監督署は、この申告内容が労基法違反であることを認め、本日1月30日に立命館に対して指導を行いました(よって時間外労働に必要な手続きである三六協定も無効になり、残業・休日出勤を命じることが労基法違反になります)。

つまり、5年雇い止めを可能にする項目を含む「授業担当講師」の就業規則は、適正な手続きを経て選ばれた労働者代表への聴取を欠いたまま改定されたことになります。今後ユニオンぼちぼちは、この改定が労基法違反であったとして刑事告発を行う予定です。

私たちは年度末が迫るなか早期の団交開催を何度も求めてきましたが、2月1日より始まる受験で忙しいとの理由で法人側が譲らず、団交は2月13日になりました。その間、 法人より関西圏大学非常勤講師組合に対して、授業担当講師の就業規則にもとづく雇止めに問題はないとする回答が送られてきました。その回答に私たちは強い憤りを覚えており、「授業担当講師制度」の廃止、雇い止めの即時撤回を引き続き求めていきたいと考えております。

「授業担当講師」に関する問題点は下記の記事をお読み下さい。
http://rootless.org/botiboti/blog/blog-entry-2381

非正規労働者の増加と労働組合の組織率の低下により、職場の労働者の過半数以上を加入させている組合は少なくなっており、労働者代表選挙が行われるべき職場は増えているはずです。しかし、非正規労働者を排除したまま選挙を行うなど、民主的な手続きが行われないまま労働者代表が選ばれ、非正規労働者の雇い止めを可能にする就業規則の改定が行われてきました。

ユニオンぼちぼちは、授業担当講師制度(その他の立命館大学における非正規労働者の更新上限)が、制度そのものがひどいだけでなく、非正規労働者のいないところで決められてきたことも問題視してきました。当事者のいないところで、当事者の生活を決めないでほしい、“Nothing About Us Without Us”です。

今回の労基署の判断は、直接雇用された労働者全員を有権者とし、かつ投票率が過半数を超えなければ正式な労働者代表ではないと明確に認めるものです。非正規労働者が職場の意思決定に参加する機会を広げるという意味で民主主義の発展につながるものであり、また直近の課題である「5年雇い止め」問題においても威力を発揮するものだと考えられます。

まずは立命館大学に「授業担当講師制度」の廃止を認めさせるために頑張っていきます。
今後ともご支援、ご注目下さい!

—以下、労基署に提出した申告書

京都上労働基準監督署長 殿
労働基準法違反に関する申告書

2017年12月27日
申告者(略)

違反者
〒 603-8577
所在地 京都府京都市北区等持院
名称 学校法人立命館(衣笠キャンパス)
代表者 理事長 森島 朋三
電話番号 075-465-8144

労働基準法104条1項に基づき、下記のとおり労働基準法に違反する事実を申告いたします。



1 当事者
違反者は、学校法人であり、京都市北区、京都市中京区、大阪府茨木市、滋賀県草津市などに事業場をもつが、申告者が雇用され勤務していたのは北区の事業場である。申告者は、(中略)2016年度末まで学校法人立命館大学において非常勤講師として勤務していた。

2 労働基準法に違反する事実
申告者は、2012年度から全事業場の労働者代表選挙を選挙管理委員を設けて運営してきた。選挙管理委員には、正社員が構成員である教職員組合、非正規雇用が構成員である関西圏大学非常勤講師組合、関西非正規等労働組合ユニオンぼちぼち立命館分会、ゼネラルユニオン立命館分会が入り、これを共同運営した。しかし、この労働者代表選挙は、2012年度から2017年度まで、中京区の事業場を例外として、当選した労働者の得票数が事業場の全労働者の過半数を上回ったことはないので、労基法に違反している。

当初、選挙管理委員会は労基法にある過半数代表の意味を解することがなかったので、法令違反の状況を認識していなかった。2015年度、学校法人立命館は違法状態を認識しながらも、これを放置し隠蔽しようとした。2016年度、選挙管理委員会を運営する教職員組合は違法情勢を認識しながらも、放置し隠蔽しようとした。2015年秋、関西圏大学非常勤講師組合、ユニオンぼちぼち立命館分会、ゼネラルユニオン立命館分会が共同団体交渉を行い、労働者代表が聴取を受けた就業規則改定が争点になった。2016年度から立命館大学が就業規則を改定して設ける新制度「授業担当講師」制度の撤回を求めた団体交渉だった。この制度では、2016年度以降に雇用される非常勤講師を授業担当講師と名称変更され雇用上限 が5年となる。さらに、2013年度以降専門研究員等の有期雇用で雇用され、かつ2016年度以降に授業担当講師として雇用された者を、通算5年の雇用上限として計算し、2018年度で雇い止める制度である。これは学校法人立命館大学が改正労働契約法の無期転換権を回避する脱法的な仕組みであった。同団体交渉において、労組側は、早稲田大学の事例をあげ、労働者代表選挙の手続き不備を理由に、36協定と就業規則改定は無効になるではないかと主張したが、法人は労働者代表選挙の運営は選挙管理委員会に委ねているので関知しないと述べた。また、労組側は、法人に対して労基法違法か否かを上労基署に確認をするようにと再三にわたって求めたが、法人は法人顧問弁護士が違法状態にないと意見したと述べ、労基署への確認は行ったとしながらも、どの労基署にどのような説明で行ったかについては情報を開示しなかった。2016年5月28日、ユニオンぼちぼち立命館分会は、選挙管理委員会に意見書を送付し、労働者代表が違法状態にあると主張した。しかし、選挙管理委員会を主となり運営する教職員組合は違法状態にあることを認識しながらも、かりに事業場の全労働者の過半数得票をえられなかった場合でも選挙第一位の当選者がその資格を有するとする内部規定を設ける旨の協議をし、違法状態を放置し隠蔽しようとした。
上記のとおり、学校法人立命館大学は、同法人の労働者代表が事業場の全労働者の過半数を代表していない法律違反にあると知りながらも、これを放置し隠蔽している。

3 是正措置の申立
違反者の行為は、労働基準法第104条第2項に違反する。よって、速やかに調査を行うとともに是正措置をとられるよう求める。

4 添付資料
・2016年5月27日の選挙管理委員会の記録 写し 1通
・2016年7月22日付立命館大学からの回答書 写し 1通
・2016年7月31日付選挙管理委員会のまとめ文 1通
・2017年度労働者代表選挙結果通知 写し 1通

以上。

立命館大学は「授業担当講師」制度を廃止しろ!

私たちユニオンぼちぼち立命館分会が廃止を求めてきた立命館大学の「授業担当講師制度」は、無期転換を求める権利を不当に奪う制度であり非常に問題のあるものですが、その「就業規則」第9条3項(2)はさらにひどいものです。

(雇用期間および更新)
第9条 3
(2) 法人に期間の定めのある契約により雇用されていた者の雇用期間と締結しようとする授業担当講師としての雇用期間を通算した期間が5年を超えるとき。ただし、次条第2項第1号により雇用される者はこの限りではない。

関西圏大学非常勤講師組合に寄せられている相談事例などから、専門研究員と授業担当講師を合算して雇い止めを通告されているケースでは、専門研究員と兼業扱いになっていた非常勤講師が専門研究員終了時点で説明もなく授業担当講師に切り替えられ、「授業担当講師就業規則」第9条3項(2)が適用されて雇い止めにされるケースがあることが分かっています。

その結果、これまで従事してきた複数の立命館大学での非常勤講師として収入が大幅に減るだけではなく、科研費の共同研究者・申請者の資格を失い、研究者としても大きな損害を蒙ることになっています(大学は科研費番号を奪うことを予定していたにもかかわらず、同時に申請を強く要請していました)。これはそもそも授業担当講師制度が不法であるというだけではなく、立命館大学の研究者を養成する義務・取り組みの放棄でもあります。

このような実態に加え、第9条3項(2)には
・授業担当講師とは異なる職種の有期雇用契約も合算して5年で雇い止めを可能にするという点で、まさに改正労働契約法を脱法するものであること
・授業担当講師制度が導入されたのは2016年度であるが、それ以前にさかのぼって就業規則を適用し、雇止めを可能にしようとしていること
・「非常勤講師と同じ働き方をする授業担当講師の更新回数に上限を設けることは差別ではないか」という組合側の指摘に対して、立命館大学は「授業担当講師制度は全く新しい制度を導入するのであるから差別ではない」と回答したが、期間の定めのある契約で働いてきた期間を「通算」するとする就業規則は、この回答と矛盾していること
といった問題があります。

そこで
・授業担当講師制度の廃止
・「授業担当講師就業規則」第9条3項(2)の撤廃、及び同項を根拠とした雇止めは行わないこと(すでに通知したものに関しては撤回すること)
を要求する団交申し入れを関西圏非常勤講師組合とともに行いました。

ご支援・ご注目下さい。

生活保護費大幅削減の撤回と社会保障・労働行政施策の拡充を求める声明

【生活保護費大幅削減の撤回と、
社会保障・労働行政施策の拡充を求める声明】

 厚生労働省は第35回生活保護基準部会(12月8日)において、生活扶助基準本体や母子加算を大幅に削減する方針を示しました。私たちユニオンぼちぼち(関西非正規等労働組合)は、厚労省の示した生活扶助基準本体などの大幅削減の撤回を求めるとともに、社会保障・労働行政施策の拡充を求めます。

私たちは、これまで多くの団体交渉や労働争議を経験してきました。私たちの組合員には、正規/非正規労働を問わずして、長時間労働やパワハラ・セクハラ、賃金未払いなどの経験から、その後も「働くことができない」状況にある組合員が多くいます。「団体交渉の場にいくのも怖い」、「職場に行くと責められ続けるように思ってしまう」と追いつめられ、社会全体の労働環境の悪化を、目の前の組合員個人が映し出す傾向が続いています。

想像してほしいのは、働くなかで心身をボロボロにされ、経済的に困窮しているなかで、「具体的に使えるものはなにか」ということです。例えば、労働争議で解決を経たあとも不安定な環境は続くかもしれない。あるいは、雇用保険などの社会保険制度にアクセスできない/使い果たしてしまったかもしれない。親族や友人に頼れる人はいないかもしれない。貯金はもう尽きてしまうのかもしれない…。そのなかで、「健康で文化的な最低限度の生活」を保障してきたのは、他ならぬ生活保護制度です。

俗にいわれるような、生活保護利用者が「働いていない」というのは誤った認識です。実際には、心身の調子が悪いながらも、仕事をしようと、続けようと苦しんでいる人がいます。しかし、賃金が低いために、生活に必要な最低限の収入を得られず、差額分を生活保護から得ているのです。あるいは、生活保護バッシングによって、「生活保護なんか受けたくない」という心境に苦しみながら生活保護を利用せざるをえない/利用に戸惑う人もいます。厚労省の生活保護制度に対する姿勢は、生活保護バッシングに加担するもので、昨今叫ばれている貧困問題へのアプローチに逆行しています。

現に生活保護が必要であるにもかかわらず、生活保護の利用をひかえている人たちが多くいます。厚労省の推計では、所得が生活保護の基準に満たない世帯は705万に上るともいわれています。例えば、昨今は「子どもの貧困」が社会問題として各界や現場から叫ばれ、2014年には「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が施行されました。しかし、ユニセフ事務局長は「日本のおよそ16%の子どもが深刻な貧困状態にある。SDGsの下で、とりわけ豊かな社会において子どもが飢えや格差に苦しむことがあってはならない」と懸念を表明しています。貧困問題に対して、私たちの労組を含めた、地域の様々な団体やNPOが現場で闘っています。しかし、貧困の連鎖・拡大という蛇口の元栓を閉めるどころか、さらに開けているのは政府の対応のせいではないでしょうか。

政府はいま、自らが音頭を取って「一億総活躍社会」を謳っています。「一億総活躍社会」は、「一人ひとりが、個性と多様性を尊重され、家庭で、地域で、職場で、それぞれの希望がかない、それぞれの能力を発揮でき、それぞれが生きがいを感じることができる社会」を標榜しています。この音頭の是非はおいて、「一億総活躍」には「健康で文化的な最低限度の生活」が送れていることが前提ではないかと考えます。しかし、生活保護費は不合理な引き下げが続いており、生活保護利用者はこれまでつちかってきた人間関係を維持することもままなりません。長時間労働などで苦しんだ結果として、働けなくなった人たちが、生活保護が削られることで、友人や地域との関係も奪われ、部屋の中で、孤独に追い込まれています。

アベノミクスによって経済は「好景気」にあるといわれ、所得格差は毎年のように拡大し、企業の内部留保は過去最高を記録しています。政府の所得再分配機能は「高所得者層から低所得者層に再分配する」ものではなく、「低所得者層から搾り取って、高所得者層に再分配する」ようなものでしょう。今回の生活扶助本体などの引き下げは、「低所得者層の収入を考慮したもの」とされていますが、政府自らが生活保護利用者と低所得者を分断して、「不幸比べ」を率先しているようです。生活保護基準は最低賃金・税制・医療・地域福祉と連動していますから、生活保護基準を引き下げることは、低所得者層全体を下へ下へと追い込むものでしかありません。また、主観的にみれば、リスク社会化した現代であるからこそ、誰もが所得に関係なく生活保護の利用が射程となっています。度重なる「生活保護基準の引き下げ」は「生存権の引き下げ」に他なりません。

生活保護利用者と低所得者が混在する私たちからいわせれば、誰もが人間として生きられるように、「健康で文化的な最低限度の生活」を送れるように、社会保障・労働行政施策を拡充するべきなのです。