最近、退職についての相談をよく受けるので、
その内容を簡単にまとめたいと思います。
【相談】会社の労働条件がヒドすぎるから辞めたいんやけど、
辞めたいって言ったら辞められるんかな?
【回答】辞められます。
労働者には職業選択の自由があるので、退職も自由です。
期間の定めがない雇用の場合について、民法第627条は以下のように定めています。
「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。」
「辞めてもらっては困る」「退職の場合は会社の許可がいると就業規則に書いてある」と言われても、退職願を出したら2週間後に雇用契約は終了します。
契約期間の定めがある場合、民法第628条は以下のように定めています。
「当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。」
この場合の損害賠償の額ですが、労働基準法第91条が定めた上限を超えることはありません。
「第91条 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。」
また、会社は勝手に天引きすることはできず、賃金を全額支払った上で、請求する必要があります。
そして、「途中で辞めたら罰金」といった決まりは労働基準法第16条で禁止されています。
「第16条 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。」
「知識」カテゴリーアーカイブ
ソフトバンクが入社希望の学生に営業させる
就職希望の学生に営業活動をさせたり
新卒内定者に転籍同意書の提出を求めるなど、
就職氷河期につけ込んだ学生の買い叩きが進んでいます。
就職活動って通信費、交通費、スーツ代などなど、
かなりお金がかかるんですよね(お金のない人は就活できない)。
その上、無給で働かせるなんて信じられない神経です。
抗議した学生の真っ当さに比べて企業というヤツは。。
就活に賃金を!
は言い過ぎ?
【毎日新聞】ニュースセレクト > 話題 – 2009.03.24
ソフトバンク:採用基準に携帯契約取れば評価 厚労省が調査
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20090324dde041040076000c.html
携帯電話大手「ソフトバンク」(東京都港区)グループの通信3社が、10年春の採用に応募している大学生らに、携帯電話の契約獲得実績を採用の可否の判断基準にする方針を伝えていたことが分かった。内定すら出していない就職希望者に賃金を払わないまま「営業活動」を求めていると受け取られかねない異例の選考方法で、厚生労働省は労働基準法に抵触する可能性もあるとみて事実関係を調査している。【工藤哲】
【朝日新聞】ニュース > 社会 > その他・話題 – 2009.03.24
ソフトバンク、就活学生に拡販させる 実績は採用基準に
http://www.asahi.com/national/update/0324/TKY200903240433.html
ソフトバンクグループの携帯電話会社など3社が、10年春の採用活動で、応募した学生らに携帯電話の販売をさせて、実績を判断基準にする枠を設けていたことが分かった。入社希望者を実質的に営業活動に使う行為だとして、同社や厚生労働省に学生らから批判が寄せられており、同省も調査を始めた。
【東京新聞】社会 > 紙面から一覧 – 2009.03.24
新卒内定者に転籍同意書 技術人材派遣大手 新手の『取り消し』か
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2009032402000108.html
技術者の人材派遣大手「シーテック」(東京都港区)が、来月1日に入社する新卒内定者250人に、関連会社へ転籍する同意書の提出を求めていたことが、23日分かった。待遇の低い関連会社に移しかえることで、金銭補償が生じる内定取り消しを避けたとも受け取れ、専門家は「雇用契約の抜け道で悪質」としている。
労災認定基準改正「嫌がらせ」など追加
◆【朝日新聞】2009.03.20
最も重い要因に「パワハラ」追加 心の病の労災判定で
http://www.asahi.com/health/news/TKY200903190364.html
◆【日本経済新聞】2009.03.20
厚労省、うつ病や自殺の労災基準見直し
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20090320AT1G1903Y19032009.html
◆【時事通信】2009.03.19
うつ病などの労災認定
http://www.jiji.com/jc/c?g=tha_30&k=2009031900987
◆【毎日新聞】2009.03.20
労災認定基準:精神障害の基準、10年ぶり改定 「嫌がらせ」など追加
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20090320ddm002040070000c.html
厚生労働省は19日、仕事を原因とするうつ病などの精神疾患や自殺の労災認定基準を10年ぶりに見直すことを決めた。会社の合併や成果主義の採用、効率化など働く環境の変化を念頭に、ストレスの要因となる職場の出来事として「違法行為を強要された」「仕事で多額
の損失を出した」など12項目を追加。09年度からの認定審査に反映させる予定だ。評価項目の増加により、労災が認定されやすくなるとみられる。
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◆新たに評価に加えられた項目とストレスの強度
・ひどい嫌がらせ、いじめ、または暴行を受けた(強)
・違法行為を強要された(中)
・自分の関係する仕事で多額の損失を出した(中)
・職場で顧客や取引先から無理な注文を受けた(中)
・達成困難なノルマが課された(中)
・複数名で担当していた業務を1人で担当するようになった(中)
・研修、会議等の参加を強要された(軽)
・大きな説明会や公式の場で発表を強いられた(軽)
・上司が不在になることにより、その代行を任された(軽)
・早期退職制度の対象となった(軽)
・同一事業所内での所属部署が統廃合された(軽)
・担当ではない業務として非正規社員のマネジメント、教育を行った(軽)
就業規則について
懲戒処分のところでも触れた就業規則について。
就業規則は、職場の決まりや労働条件についてのルールです。
しかしルールとしての強さは、
憲法>労働法>労働協約>就業規則>個別契約
労働基準法以下の条件の就業規則は無効になります。
正社員やパートの区別なく常時10人以上の労働者を使用している使用者は、必ず作らないといけないことになっています(労働基準法89条)。
そして必ず書かないといけないことと必ずしも書かなくてもいいことがあります。
必ず書かないといけないことは
●始業・終業時刻、休憩時間、休日、休暇、交代制勤務の交代要領に関すること
●賃金の決定・計算・支払い方法、賃金の締め切り日・支払い時期、昇給(臨時の賃金などを除く)に関すること
●退職に関すること(解雇・定年制など)
*「解雇の事由」を必ず書かないといけません。
就業規則に定められていない理由による解雇はほとんどの場合、無効とされます。
また、就業規則の内容は労働者に知らせなければいけません。
とはいえ、「就業規則を見せて」とは言いにくいものです。
言い方は色々考えられますが、ケースバイケースなので、
不安な方はユニオンにご相談下さい。
懲戒処分について
今日、懲戒処分について相談を受けたので、簡単にポイントをまとめます。
社長から「懲戒処分で解雇するぞ」と言われたり、
「あれは懲戒処分の対象になるのかな」と不安だったりする場合
・まず「就業規則」には、どう書いてありますか?
雇っている人は、懲戒処分について就業規則に種類や程度について書いておかなければいけません(労働基準法89条9項)。
・次に「就業規則」に書いてあるからといって簡単に処分できるものではありません。
一定の合理性を必要とします。
一回の遅刻やミスなどでは、懲戒解雇といったことにはなりません。
経歴詐称についても、些細な場合は懲戒解雇にはなりません。
会社が「懲戒解雇」をちらつかせる場合には、他の問題が絡んでいる可能性が高いです。
ぜひユニオンに相談して下さい。